ターミナル (2004)
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アメリカという国の魂についての映画(ネタバレしてます)
2004/12/20
by
ガタカタ
オランダに世界は神が作った、オランダはオランダ人が作ったと言う言葉がある。
ジャズはアメリカが作った音楽。
そのジャズに憧れた鉄の扉の中の国の父にアメリカのジャズメンからのサインが届き続ける。
憧れた自由は向こうからは来るが、こちらからは行けない。
時代が変わり、息子は父の魂を届けるためにその自由の国にやってくる。
だが、その手前で立ち往生させられる。
それは自分の国が革命という自由を獲得したせいで。
男は入国管理官の前でいう。
「私はクラコウジアを愛している」
自由の国を夢見た父から、時代は移り、息子らは自由を手にした、それは自由の国に行くのではなく、自由の国を作ることで。
だから、ビクターは最後その自由の魂を持って、自分の国に帰るのだ。
王道?確かに語り口は王道だろう。
だが、コレは現代の映画である。
ラストの主張に今のアメリカへのスピルバーグらからの提言がある。
自由はアメリカにあるのではない。
自由を約束した場所にあるのだ。
父との約束はたんなるサインではない。
自分らの国を自分の主張を言える場所にすることなのだ。
テレビの中の自国の革命と同じように、ビクターは空港で自由を戦う。
テレビを見て、ビクターが流す涙は、
平和が崩れた悲しみだけでなく、自由を勝ちとろうと故郷が変わろうとする歓喜が混ざっている。
だから、ビクターは空港で戦う。
自由を求めて戦う(待ちつづける)自由、
自由を守ろうと自由を殺す自由、
人のために自由を捨てる自由‥‥
この映画で描かれる自由には覚悟がある。
ビクター・ナボルスキーが待つのは、自国が自由を勝ち取る日だった。
ナポレオンは革命の象徴である。
それを語る女は、自由を与えるために自由を捨てたのか?
金をせびられたインドのタバコ屋は自由のために警官を刺し、自由を求めて、米国へ逃げた。
だが、彼は自由を与えるために自らが犠牲になる。
自由は与えられるものではない。
その手で勝ち取るものだ。
だから、ビクターはピーナッツの缶を持って帰るのだ。
一昔のアメリカ映画ならば、あの缶はアメリカの土に埋められただろう。
エンドクレジットにこの映画のスタッフが
サインを残すのは、自由への覚悟へのサインである。今のアメリカがコレを歓迎しない国であることを憂う。
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運命とは、命が運ばれるのではない、命を運ぶのだ。(すげぇネタバレ)
2004/12/20 by
ガタカタ雑記の羅列になってしまいますが。
ビクターはエスカレーターではなく、階段を駆け上がる。
荷物を運ぶカートを運ぶ。
飛行機に運ばれるスチュワーデスの折れたかかとを拾い、靴屋を薦める。すべる床から救う。
サインをくださいと手紙を送らず、自らがサインを受け取りに行く。
テレビを見る自由さえ、会員制と言う格差によって阻まれる。
パスポートをチェックされた後の待たされる時に囲まれるロープ。ただの線で世界を制限しようとする。
だが、入国許可をもらうための線を、彼は恋によって越えさせる。
監視カメラと戦った時から、ビクターの主張は明白である。
彼は監視される国からやってきたのだ。
電話に縛られトイレにも行けない。
空港の中にいながら、外で食事をし、空港を仕事場である彼女にこんな場所があるなんてと言わせる。
自由とは互いの信頼によって成り立つのだ。
父親への薬はダメで、ヤギへの薬は無許可でもいいのは動物は信用しても人を信用しない事への比喩だろう。ビクターは男を信用したのだ。
(その直前に義母へのお土産の胡桃を破壊するディクソンを見せている。だが、信頼しすぎるのも恐ろしい事態を招くのだから、ディクソンを悪とは呼べない)
この事件を経て、ビクターは自由をもらう人間から、与える人間へと変わっていく。
コピーの手形は自由への発行手形だ。
そして、ビクター自身も信頼を勝ち取るのだ。
それからのビクターは自由を与える人間に変わっていく。
不倫の愛に縛われるスチュワーデスに、入国許可の女性を恋の世界に、自分自身も恋の世界に。
だが、最後には、彼は友に働く自由を与えるために
自らの自由をあきらめようとする。
そのとき、今まで与えた自由の恩返しをもらう。
ジャズはアドリブの音楽である。
フリージャズという言葉さえある。
ビクターは言う。
「このピーナッツ缶にはジャズ(自由)が入っている」
だから、ビクターは缶を持って帰るのだ。
(胡桃から、ドラッグが出て来たのは皮肉にも取れるし、サスペンスも呼ぶが)
ヤギ(ゴート)=いけにえと言うのもある。
いけにえのビクターと呼ばれる時、そこに込められた意味は深い。 -
スピルバーグのプレイタイム
2004/12/20 by
ガタカタスピルバーグの脳裏には、ジャック・タチの『プレイタイム』があったのではないかと想像する。
思えばあの映画も巨大な空港のセット(実際には街も)を作っていた。
あの線や色はトラフィックや僕のおじさんを思い出させる。
最後のサイレントコメディアン、ジャック・タチのpユロ氏をトム・ハンクスの英語のしゃべれないビクターから想像する時、饒舌なる肉体と世界が現れてくる。
そういば、ジャクタチの作り上げたユロ氏は音を聴く人でもあったなぁ。 -
Re: アメリカという国の魂についての映画(ネタバレしてます)
2005/05/26 by
カイタカケンお久しぶりです。
他の方が、この映画についてスレを立ててらしたので、約束━ジャズについて書こうと思って過去ロムを見ていたところ、此処に辿り着いてしまいました(笑)
ヨーロッパにジャズが広まったのは、2つの大戦がきっかけになったと、何かの記事で読んだ記憶があります。
当時、ヨーロッパ戦線に送られる兵士達の多くは、比較的貧しい層のアメリカ人(黒人、アイルランド系、イタリア系)であって、それらの兵士達が日頃聞いていたジャズが、戦争を契機に、自然と受け入れられる様になったという内容でした。
此処から先は想像ですが、
ビクターの父は、日々繰り広げられる凄惨な戦いの中で、初めて「異国の音楽=ジャズ」に出会ったのではないでしょうか。
自由の国「アメリカ」、自分達を開放しにやって来た「アメリカ」、そして自由をもたらしてくれるであろう「アメリカ」・・・
その希望も、後の『冷戦構造』の中に押し込められてしまうのです。
9.11のテロ以降、アメリカは『自由の国』(その内実はとっくに空疎なものになっていたにしろ)から、
『単独行動主義』の傾向を示す事になりました。
この映画は、排他性を強めていくアメリカに対して、その原点ともいえる『移民の国』、『寛容の精神』を問うという意味合いが込められているのではないでしょうか。 -
終点
2005/05/27 by
ガタカタお久しぶりです。
ターミナルに終点の意味があるのは深いですな。
映画自体はユダヤ的説話ではありますが、古き良きアメリカのコメディのスタイルを選択したことにも、アメリカに原点を取り戻してほしいと言う意図を読み取れますね。 -
Re: アメリカという国の魂についての映画(ネタバレしてます)
2005/05/27 by
カイタカケンもともとこの映画は、貯まったマイレージが年末に期限切れになる為、あわてて観たものでして、内容についてはまだまだ浅い理解しか出来てません(^^)
スビルバーグ作品は非常に評価が難しくて、ちょっと苦手だったのですが、結果、見てよかったと思ってます。
レンタルでまた観てみるつもりです。
何か気づいたことがあれば、また書かせていただきます。
それでは、おじゃましました。
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