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ペ・ドゥナとソン考察

2007/10/20 by 未登録ユーザ OUTSIDER

リンダ リンダ リンダ

ペ・ドゥナは、決してめちゃめちゃ美人というわけではない。しかしとにかくチャーミング。表情も仕草もしなやかで、眼を惹かずにはおかない。
美しかったりかわいかったりは、いくらでもいる。しかし、この眼を惹くという魅力はどうにもならない。まさに天性のものだろう。彼女がいたからこその本作だった。
仮に日本人の高校生の自分が韓国に留学したと仮定してみる。孤独はいかばかりだろう。作品の中で、日韓友好のイベントは、先生が言い出したものかも知れず、案の定、人は全く来ない。そんな状況でのソンの思いは・・・。そして、バンドに参加することになってからのソンは・・。その移り変わりを、見事に描き出している。
例えば、深夜の練習。携帯や耳掃除をしているメンバー。彼らあってこそのボーカルで、ソンは居場所がなさそうに体育館へ行く。言い知れぬプレッシャーと孤独に押しつぶされそうになりながら。きっと、大勢の人を前にして歌うなど、初めてのはず。
しかし、部室に帰って来て「ソン、やるよ」と声を掛けられた時の彼女が実にいい。仲間がここにいたんだという安心感が染み渡ってくる。
また、他のメンバー達は、普通の日本人相手のようにソンと接する。それがまたいいのだ。
時間に遅れたことを知り、別のスタジオから雨の中、真っ先に飛び出したのはソンだった。ベースを忘れたと、取りにまず戻ったのもソンだった。タクシーから降りて最初に駆け出したのもソン。ステージで歌っている部員の姿を、緊張感丸出しで見詰めているソン。歌う前のソン。歌い終わって顔をクシャクシャにして笑うソン。
壁にあった何かの表に大きく書かれていた文字は、ハングルなので当方には読めなかったが、きっとバンド名なのだろう。その色が青なのがいい。そういえば、バンド名をステージ上で発したのはソンだった(野良犬のくだりが活きている)。確かに文化交流は大切だ。が、それとは別に、一緒に時間を過ごすことの大切さが、この殴り書きに隠されている気もする。
こうした一連のソンのシーンは、長回しが多いゆえに漫然と流れていると思われがちで、結果、観客は漫然と観てしまう危険はある。が、そのさり気なさにこそ、監督の狙いはあろう。人生にアップは滅多にない。つまり、日々の中で、人の感情に気付く人は気付くし、気付かない人は気付かないのだ。
エンド・ロールのトップにペ・ドゥナの名がある。それだけの仕事を、彼女は見事にやり遂げたのだ。

 

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