ミュンヘン (2005) »掲示板

ルイ親子についてお尋ねします(ネタばれあり)

2006/02/15 by カイタカケン

ミュンヘン

作品に登場するルイ親子が、とても魅力的で謎めいた存在でしたので、参考図書「標的は11人」を読みました。しかし、この親子の事は詳しく描かれていないのです。
むしろ、映画の方がいろいろエピソードを膨らませたあったという印象を受けました。
こうなれば、後は想像するしかありません(笑)

「ル・グループ」の頭領、通称「パパ」は、反ナチ抵抗運動(レジスタンス)の生き残りで、
いかなる政府(自国政府も含めて)にも組せず、
西ヨーロッパに張りめぐらされた地下組織によってテロリストや工作員の手助けをするサービス業、
機密情報を売買する「情報屋」です。
アヴナー達の様な、専門知識はあるものの経験の浅い、急造のチームが曲りなりにもやってこられたのは、ルイ親子の存在があってこそです。

ルイには、いつまで経っても超える事の出来ない偉大な父を持つ息子の屈折した心理が見え隠れして、なんだかかわいかった(官僚主義的な冷徹さを笑顔の下に覗かせていたジェフリー・ラッシュといい、脇役が秀逸)

さて、お尋ねしたいのは、アヴナーがパリ郊外の
「パパ」の屋敷に招待された時の事です。

帰り際、パパは「君が息子だったらと思う、しかし、君は息子ではないんだ」のセリフと共に、
「血入りのソーセージとチーズ」をアヴナーにお土産として渡します。
ユダヤ人には「コシェル(食物規定)」のしきたりがあり、肉はヒズメが割れていて反芻するもの(牛、羊、鹿など)以外の豚、ウサギ、馬などは食べてはいけないものとされています。
食べられる肉でも、屠殺の方法が厳しく定められていて、念入りに「血抜き」を行います。
乳製品も肉と一緒には食べてはいけないもので、調理器具、食器、流しにいたるまで、肉、乳製品用に分けてあります。

ルイ親子はアヴナーがユダヤ人である事は知っていた(食前の祈りのシーンで、ルイがアヴナーに
ちょっとした嫌がらせをしていました)筈なのに、
ユダヤ人の風習を無視したお土産を渡す「真意」がよくわからないのです。
ここは、どう受け取ったらよいのでしょうか。

 

  • あくまで私個人の解釈ですが ネタバレ

    2006/03/17 by キノ ユキオ

     これはつまり、
    「私は君のことをユダヤ人だとは気づいていないよ。」
    という意味ではないでしょうか?
     食事前のお祈りで、ルイが“ちょっとした意地悪”をして
    「お前、本当はユダヤ人なんだろう?私たちは気づいているぞ」
    という意志を見せますよね?
     パパは、ルイへの牽制の意味を込めて、アヴナーに対して
    「君はユダヤ人ではないのだろう?だったらこれからもビジネス仲間でいようじゃないか。」
    という意志表示をした訳です。
     つまり、アヴナーが“どの国の政府にも属さない人間”であれば、今までどおりビジネスを続けられる訳ですから、ビジネスを続けたいのであれば“何も気づいていないフリ”をしていれば良いという訳です。
     もちろん、アヴナーは「自分がイスラエル政府の人間であること」を「ルイ親子が気づいている」ことを知っている訳ですから、パパの真意は、
    「今回は特別に大目にみてあげよう。ルイもこれ以上とやかく言うな」
    ということではないでしょうか。

    …と、こんな解釈をして、いかにもこの場面の重要性に気づいていた
    ようなフリをしていますが、実はカイタカケンさんの質問を読むまでユダヤ人が血を決して口にしないことなど、きれいさっぱり忘れていました。
    カイタカケンさん、ありがとうございます。私の中で、この映画が更に奥行きを増しました。

  • 香水の残り香 ネタバレ

    2006/03/18 by カイタカケン

    はじめまして、キノ ユキオ様。レスありがとうございました。

    「君が息子だったらと思う、しかし、君は息子ではないんだ」
    これは、アヴナーの事をいたく気に入ったパパが、息子ルイの礼節に欠ける態度を詫び、「息子のやったことは許して欲しい。しかし、君とは血は繋がってはいないのだから、状況によっては、君達を機密情報として売ることもあるかも知れない」とやんわりと脅したとチラッと考えてしまいました(←ほとんど妄想です。私は人一倍妄想癖がありまして…笑)

    パパは苦労人ですから、如何なる政府も当てには出来ない(←いつ裏切られるか分らない)、一族の安全、家業を守る為にも固定した顧客を持たない(←知りすぎた者が真っ先に粛清の対象となるのは、世の常ですもの)事を信条としている…。

    「アヴナーが“どの国の政府にも属さない人間”であれば、今までどおりビジネスを続けられる訳ですから、ビジネスを続けたいのであれば“何も気づいていないフリ”をしていれば良いという訳です」
    パパはある意味、理想家でもあり、ビジネスとしても現実的な判断を下せる、正真正銘の『ワル』ですから、「お互い、ビジネス優先でいきましょう」とアヴナーに伝える為であったというのは、無理のない考え方だと思います。

    深刻でデリケートな問題を扱った本作品において、こんな事を書くのは不謹慎極まりないのですが、ルイ親子やオランダの女殺し屋(←彼女はホテルの部屋のドアに香水のサインを残していましたね。こういった演出は大好き♪)が魅力的で、これだけで映画一本撮って欲しいと願ってしまうのです(笑)

  • 番外編が観たいです。 ネタバレ

    2006/03/19 by キノ ユキオ

    >ルイ親子やオランダの女殺し屋(←彼女はホテルの部屋のドアに香水のサインを残していましたね。こういった演出は大好き♪)が魅力的で、これだけで映画一本撮って欲しいと願ってしまうのです(笑)

     私も、このルイ親子やオランダの女殺し屋に惹かれました。特に、女殺し屋と主人公のやりとりの場面は本当にお色気プンプンで、まるで違う映画を観ているようでした。

     今回の私の解釈は、あくまで私が感じた印象ですので、例えば前項の「ディアスポラのコスト」でBaadさんが書かれたような解釈もあると思います。
     
     あの映画は一度観ただけでは見逃してしまう場面や、色んな解釈の出来る場面が多くて見応えがありました。映画館では一度しか観られなかったので、ビデオになったらゆっくり見直します。そうしたら、もっと違う解釈も出てくるかもしれません。

  • 別の場面の事だと思います。

    2006/03/19 by Baad

    >今回の私の解釈は、あくまで私が感じた印象ですので、例えば前項の「ディアスポラのコスト」でBaadさんが書かれたような解釈もあると思います。

    こちらに書くと混乱を招きそうだったので、感想の一部に書いてしまいましたが、私が書いたのは、アヴナーのニューヨークからの電話に応えてルイのパパが言った台詞についての解釈です。最初のフランスの隠れ家での会話に関してはほぼお二人のやり取りに近い印象を私も持っております。
    それにしても確かにルイの親子はなぞめいていて、この親子のセリフをどう受け取るかでこの映画の解釈はがらっと変わってしまいますね。
    私も妄想癖があるので、ひょっとして、かくれアナーキストかも、とかいろいろと想像してしまいました(^^)。

  • おもちゃの観覧車 ネタバレ

    2006/03/20 by カイタカケン

    キノ ユキオ様、再度のレス、ありがとうございました。

    オランダの女殺し屋さん、本当に色っぽい人でしたね。女の私から見てもカールが罠に引っかかってしまった事、よ〜く分ります(笑)

    >一度観ただけでは見逃してしまう場面や、色んな解釈の出来る場面が多くて見応えがありました

    私もそうなんです。あれもこれも、確かめたい事がいっぱいあって…
    おもちゃの観覧車の場面もそのひとつです。
    後、ヨーロッパの都市の空気感が伝わってくる様な映像も素敵でした。映画を観る贅沢さを味わうことが出来ました。

    Baad様、はじめまして、レスありがとうございました。

    >ルイの親子はなぞめいていて、この親子のセリフをどう受け取るかでこの映画の解釈はがらっと変わってしまいますね。

    本当にそうですね。
    Baad様の「隠れアナーキスト」説も面白いと思いました。
    「世界同時革命」なんてあれば、パパは絶対に暗躍しそう…(^^)

    ショーウインドーにルイの顔が映り込んでいたり、車のルームミラーからルイのショットに繋がっていたりと、鏡(ガラス)を利用した映像が印象的でした。
    この辺りが妙に気になります…。

  • 私も不謹慎な人間です。 ネタバレ

    2006/03/21 by キノ ユキオ

     はじめまして、Baadさん。
     わたしの勝手な引用と勘違いの解釈に、丁寧な訂正をありがとうございました。確かに、Baadさんの言われるとおり、食事の場面と電話でのやりとりの台詞は、別の解釈をした方がしっくりくると思います。
     
     それにしても、同じ「ソーセージとチーズを贈る」という行為も、最初の場面と後の場面では、違う意味になるとは…。本当に深い映画です。一人の人物の同じ行為や台詞でも、時間の経過や状況によって解釈が変わってくるのですね。こういう演出は面白いですが、やはり一度観ただけでは分かりません。何だか、監督に試されているような気がしてきました。「それなら、こっちも気合い入れて研究してやろうじゃないか!」という気にさせられます。

     映画のテーマ、演出、出演者等々…。本当に私好みの映画です。もちろん、この映画が扱っているテーマを考えたら、軽々しく「このテーマが面白い」なんて書いてはいけないのは分かっているのですが、この映画を観て「面白い」と感じたからこそ、今までより更に国際問題に関心を持つようになったのも事実なのです。

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