阿弥陀堂だより (2002) »掲示板

2003/02/15 by 未登録ユーザ さくらんぼ

都会から心を病んだ女医さんが療養のために田舎にやってきた。そんな彼女が今回お世話になる病院は阿弥陀堂という。宗教的な場所は心を清める所でもあるので、阿弥陀堂には心を癒す病院の意味がこめられている。そして阿弥陀堂の院長先生はおうめさんであり、これは女医さんに呼応している。

一方、女医さんの夫が作家なら、おうめさんにもライターがついている。このように、この映画は都会と田舎、都会の毒気と田舎の透明感、病院と阿弥陀堂、生と死、この世とあの世、肉体と心・・など対照的な構図で作られている。だから田舎の違和感を感じるほどの平和な描写は意図的なものと観た。

そして田舎にやってきた女医さんが癒されて元気を取り戻すかわりに、無医村だった田舎には新しい病院ができて、都会に住む者と田舎に住む者の双方に利益が発生するのである。この「ブレンドの幸福」こそ、この映画の語っていることだろうか。おうめさんの言葉にも「境」という言葉が登場するが、これを意味しているのだろう。

ところで、おうめさんのライターである彼女は、女医さんが来たことで外科手術が成功する幸福を手にした。ならば女医さんの夫の作家は何を手にしたのだろうか。

いや、彼も素晴らしい物を手にしている。彼は恩師から形見分けで日本刀を譲り受けた。恩師は病に冒されながらも凛とした生き方してまわりにすがすがしさを与えている。その精神があの日本刀にこめられた願いである。そして、その精神は作家に見事に伝えられた。売れない作家としての生活の中にあっても彼は美しく生きられるはずだ。彼が踊る剣舞がそれを物語っている。

もうすぐ新緑の季節である。

 

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