ボーン・アルティメイタム (2007)
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人を殺すということ
2007/11/21
by
むぎわら帽子のジミー
「〜アイデンティティ」の掲示板に、「あれほど屈強な暗殺者であるボーンが、なぜ任務に失敗したのかわからない」という書き込みがあり、私はそれほど疑問を持たなかったものの、たしかにアレ一本だけを観たら、そういう感想を持つ人がいても不思議ではないかと理解し、そのようにレスしました。
おそらく1作目のときは、続編を作れるかどうかは微妙な情勢だったので、仮に作れなかった場合のときのことを想定し、物語をいったん閉じてしまったので、それが続編のテーマとなることを明確に提示できず、観客は惑わされたように思います。
ボーンがウォンボシ暗殺に失敗した理由は、「〜スプレマシー」で直接言及せずとも、彼がネスキー暗殺に深い悔恨を抱いていた様子から、だいたい理解したつもりでしたが、謎がすべて明かされた「〜アルティメイタム」においては、そういった疑問を持つこと自体にまず問題があると、気付かされたのです。
終盤の、ビルの屋上のシーン。パズの「なぜオレを殺さなかった?」という質問に対し、逆にボーンが問いかけます「キミはなぜオレを殺そうとする。それが人間の姿なのか?」 パズはそれに答えないが、結局、ボーンを撃つことはしなかった...
これまてのリアリティを重視した物語展開からすると、あれだけのやりとりでプロの殺し屋を躊躇させることは、まったくもって現実的ではないかもしれない。また演出的に見ても、セリフがストレートすぎるような気がしないでもない。
でも、それでもポール・グリーングラス監督は「あのセリフを、ボーンが投げかける最後の言葉にしたかったんだろうな」という印象を、私は持ったのです。
アメリカ映画だから、直接の批判は911テロと、その後の米国の軍事行動に向けられている可能性が大きい。でも、このテーマは最近日本のニュースでもよく報道されている、ささいな理由による殺人事件も包括しているはず。
相手を殺せば問題が解決すると考えるその安易な発想が、いかに恐ろしいものであるか、いかに罪深いものであるか。それをボーンは、自分の記憶探しの旅に付き合ってくれた観客に、よく考えてほしかったのだと思います。
このセリフのあとイーストリバーに飛び込み、ニッキーの笑みとともに泳ぎ出すまでのラストシーンは、映画史に長く残る名場面になりそうな予感がします。
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