大脱走 (1963) »掲示板

元祖プロジェクトX

2005/06/11 by 未登録ユーザ マックイーンには野球よりサッカーをやらせたかった

脱走計画の場面が面白く、なく[×8]なーい。
こういう話は、いつもどこかで見せられている。 名画のはずなのに 飽きている。大スクリーンで見ても、感動できるか自信がないほど。 おそらく、NHKをはじめとする感動話再現もの、「プロジェクトX」他の類似番組が乱立したせいだ。
「プロジェクトX」のXは、ビッグ"X" バートレット少佐が由来かと思えるほど、NHK他TV局はまねて量産してしまった。 その結果、本家「大脱走」までつまらなく見えるようになった。 これは1つのマスコミ公害ではないか。
コリンとヘンドレイの涙ちょちょ切れる友情も、ただの浪速節に見える。つまり観客受けを狙った脚本に思える。 映画の冒頭で、「映画は実話で、脱走の手順は実話のまま、登場人物や設定は少し変えた」と説明されるので、事実との突き合わせが必要かと思える。
テーマ曲がビールCMで流されたのと同時期に、40周年リバイバル上映された。ハイビジョン放送時の元フィルムも綺麗になった。 先日の放送時にピタリ合わせて、マックイーンの軍隊時代の「脱走王」エピソードも報道された。 映画はドイツ国内からの大脱走だが、来年はサッカーW杯で、ドイツへ大集合だ。
若者にはほとんど縁がないと思っていた、大脱走テーマ。 ところが、前回の W杯でイングランド・サポーターが繰り返し演奏していて、意外に思った。 映画をあらためて見ると、脱走をゲーム感覚、スポーツ感覚で扱っていて、捕虜たちがトンネルから顔を出すのも草の上なら、ヒルツが捕まるのも草の上。 自分たちが逃げることで、敵兵力を引き付け、前線を少しでも手薄にさせる。 直接殺し合わないが、1つの戦争である。 逃げる、追う、敵を引き付ける、この連続が、スポーツ、それもサッカーを連想させる。後に、脱走にサッカーが絡んでくる映画が作られたのは、両者が元々非常に似ているから[あの有名筋肉俳優にブロンソンでなく、マックイーンをやらせたのは大失敗]。 ただし、クライマックスのヒルツの動きは、サッカーよりはアメフトに近い。

プロジェクトXのおかげで、映画を見ていても、大脱走テーマより、「風のなかーのすーばるー」が浮かんでくる。 情けない21世紀になった。 しかし、脱走中と脱走後の緊迫場面は色あせない。 彼らが逃げ切れるかどうか、ちょっとずつ見せる編集は、今見ても感心する。 まるで、TVのチャンネルをザッピングする感覚で、次々に切替えて見せる。 例のヒルツのバイクシーンもあれだけブツ切りなのに、最初から最後まで、しっかり覚えている。
スピルバーグは、この映画の大ファンだと確信する。「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」にもサイドカーを使った追跡劇があり、直接的なパクリである。 より間接的な模倣シーンは、「ET」の、空を飛ぶ自転車シーンである。
マックイーン本人はバイクで鉄条網を跳べなかったようだが、代わりに、彼を追うドイツ兵役を自ら演じている。 バイクの尻を振りながらヒルツを追うドイツ兵が登場、これが彼のようである。
ラスト、50人が殺された悲愴感も漂う中、映画の最初と同様、ヒルツが笑いを浮かべて独房に入るシーンに希望を感じる。 決してあきらめない、これは失敗談とも言え、プロジェクトXとは別次元である。 マックイーンがまさに彼の等身大を演じていたのだから。

あちこちで言われているように、ヒルツは大脱走計画とは、それほど関わっていない。 映画の半分近くは、イギリス人の小柄なジョッキー、アイブスと関わっている。 ヒルツとアイブスのコンビは、ちょうどよい凸凹コンビで、SWの、C3POとR2D2の原形にも見える。ジョージ・ルーカスはさかんに、黒澤の「隠し砦の三悪人」から拝借したと言っていたが、案外この映画からもヒントを貰っていると、邪推するのも一興。

 

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