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カボチャと蝶々

2002/10/07 by 未登録ユーザ 仮名側之丞

黒澤監督作品。「三船敏郎+志村喬」コンビの刑事ドラマ。
戦後すぐのある暑い夏、拳銃をすられた新米刑事の三船が職を賭けて犯人を追う。捜査の最初は三船の孤軍奮闘でひじょうに長い。横流しのピストル売りが声を掛けてくるまで、ずっと歩きつづける三船を延々とカメラが追う。天気もずっと晴れなのが恨めしい。
やがて横流し組織の女を挙げると、物語は動き出す。盗まれた拳銃で強盗事件が起こり、三船はベテラン刑事の志村と組む。若さだけで突っ走る三船に対し、勘所を抑えながらも見た目のんびりの志村が好対照。
横流しの中心人物を挙げる場所が後楽園球場、ジャイアンツ対ホークスの試合(日本シリーズ?)と言うのが結構見せ場だ。よくある「大観衆の中からどうやって捕まえるか」の展開。
やがて三船の拳銃を持っている男の身元が割れる。
「犯罪の陰に女あり」の定石に則り、レビュー(少女歌劇)の娘と男との関係が知れる。だが娘は口を割らない。天気は曇りから雨へ。どしゃ降りの雨の中のドラマ、そして雨があがって・・・

刑事物だが戦後の復興の様子(昭和24年)を記した記録映画でもあると思う。しゃれた住宅街も有り、プロ野球も5万人の観客が集まる。しかしその一方、マッカーサー進駐軍はまだ居るし、三船が孤軍奮闘で歩き回る場面で映し出されるこの頃の日本は貧しく、飢えている。まるでイスラム圏かアジアの貧しい国の様に。
黒澤の子供への視線はここでも印象的。「ほっ」とするのは志村の家で3人の幼い志村の子供が三船を出迎える所。カボチャでもてなされた三船の帰り際に、志村が子供達の思い思いの寝相を見せながら言う「カボチャ畑みたいだろ」。
その一方で子供たちに「はっ」とさせられるのは最後のシーン。雑草の花が生い茂る中、三船と犯人が倒れている時に聞こえてくるのは昆虫採集の子たちの「ちょうちょ」の歌。狂犬と化した犯人、それを追った三船もまた狂ったよう、その彼らと対照的な純真な子供たちの歌。

クリント・イーストウッドはこの作品を『ダーティ・ハリー2』『シークレット・サービス』で真似たと思う。前者は弾の出所を警察の射撃場から探す所。後者は犯人の銃口の前から逃げずに弾を受ける所。ピアノを聞くと凶悪犯が一瞬静かになるのは、アラン・ドロンが『フリック・ストーリー』で真似た。また、レビューの娘がきわどい姿で歌い、楽屋から階段で降りる場面はP.バーホーベンが『ショーガール』でイメージを膨らませたんじゃないかな。

 

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