その男、凶暴につき (1989)
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働くおっさん
2006/05/16
by
masamichi
北野映画の中で一番好きだ。
無駄なシーンが一つもない。
緊張感が途切れることなく、作品全体がカミソリのようなオーラを放っている。
北野を天才とするなら、それは後に世界で認められたからではなく、初めから作家として完成されていたからだと思う。故に初めの作品が100%とするなら、以降の作品はそれを上回ることなく下るのみだ。
と思う。個人的に。
またこの作品が他の北野映画とは闘争の観念が決定的に異なっている。
この作品の前面には虚無的な死の世界ではなく、黙々と職務を果たすおっさんの姿がある。
生や死といった観念とは無縁の現実を淡々と片付けるのみの思考停止の世界。
もはや死に捉われることすらくだらない徹底的且つ容赦ないリアリティ。
北野映画といえば「ソナチネ」や「HANA−BI」なのだろうが、それらを押す人々は何を感じているのか。
北野映画の「死」はまだ若造の自分には親近感がない。
もしかしたら一生ないかもしれない。
それよりも虚無に捉われながらも「生」と闘う「その男〜」に魅力を感じる。
作品自体が非人間性であるために、受け手は各々の人間性で各々の解釈ができるのだと思う。
この作品こそ北野映画の最高峰であると共に、映画のあるべき一つのスタイルを提示しているように思う。
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