座頭市 (2003) »掲示板

ひでえ映画

2003/09/07 by 未登録ユーザ masamichi

座頭市

つまんない。なぜならキャラクターの性格がしっかり練り込まれて作られていないから。そのため感情移入が出来にくくなってる。はっきり言って、あの姉妹の敵討ちの話はいらない。すごく安っぽい。ありがちっていうか。あいつらのせいで物語の緊張感が途切れてしまう。そのせいか座頭市の性格はもっと曖昧。単なる殺人狂か義理人情のあるイイ奴なのかよく分かんない。たけし自身は殺人マシーンと言ってたけど、それならそれで徹底してほしかった。自分の観たなかでキャラ立ちがしっかりしていたのは、浅野扮する服部源之助。こいつのエピソードは安っぽくないし、男の哀愁みたいなものが感じられて、すごくリアリティーがあった。だから容易に感情移入ができた。この映画はもっと服部を見せるべきだった。もっと言えば服部が主人公でよかった。妻の薬代を稼ぐべく人を斬る服部が、町を跋扈する殺人鬼、たけし座頭市を退治する、みたいな。でもやられちゃう、みたいな。結局、善悪を超越して強い奴が生き残る、みたいな。そうすればもっと物語に深みが出たと思う。いや、なんでこんなこと言うかって、この映画そのものが陳腐じゃん。なに、あのラストのセリフ。陳腐すぎる。あの一言で完全にこの映画は終わったと思う。あんな終わらせ方をしたたけしの罪は相当重い。あのラストはたけし映画の終焉を予感させる。最近のたけし映画は駄作続きだけどこの映画で決定付けたというカンジ。おれは普通のアクション娯楽映画が観たかったんだよ。だから今回はすごく期待してたのに。「普通」の作品を作ることの何と困難なことか。それが今回はよく分かった。たけしは所謂、影像美とか様式美とかの監督に属するものに変わってしまった。そんな例を挙げれば枚挙に暇がないが、今作品でいえば特にラスト、服部が死んだと同時に妻が宿屋で自害する。これは翌日、夫の死を知って絶望して自殺する、というのが普通だろう。なんで夫が死んだと同時に、それを知らない妻が自殺するんだよっていう。つじつまが合わない。でも絵的に綺麗だからそうしたっていう。アクションへの運び方にしてもそう。普通なら、いろいろな伏線があって観客の気持ちを引き付けておいて最後に爆発させるだろう。だけどストーリーをぶつ切りにしていきなりアクションを持ってきたりするから拍子抜けする。でもこういう映画は海外では受けるんだろうな。だって白人達は日本を知らないから。表面的に日本っぽいことやってればOKみたいな。でも芯から日本人な自分からしてみたら、こんなのニセモノだよって言いたい。でも真に日本的なもの作ったら、今度は外人に分かんなくなっちゃう。たけしはそこらへんのさじ加減がすごく上手い。今回だって「え?ヴェネチア呼ばれるの?」って感じで振舞ってるけど、実は百も承知だよな、あれは。もう確信犯。もう「ソナチネ」の頃から思ってたけど、たけしは完全に白人共に魂を売り渡してる。もう海外の映画祭の中で、キタノの映画なら何でも良いっていう空気があるとしたらすごく怖い。白人を手玉に取り、海外で賞をとったからっていう理由で賛辞を送る権威に弱い日本人を騙してる。そのたけしの手腕は天才的だ。でもいつかはたけしを蹴散らすような日本人の監督が出てきてほしい。賞を取るようになったら終わりだぜ!とか言う奴が。そんでたけしにも目を覚ましてほしい。昔みたくハードボイルドに徹した映画を作ってほしい。  と、酷いことばっか言っちゃったけど、この映画、アクションは凄いよ。上映前の予告編で「ラスト・サムライ」やってたんだけど、殺陣なんか超普通でさ。トム・クルーズ主演の超大作ですらそれだし。あとタランティーノ監督の最新作「KILL BILL」もやってたんだけど、ワイヤーですっ飛んだりして、こっちも個性ゼロ。そんな中で、流行りのワイヤーアクションには目もくれずに、独自でああいうアクションを作り出すたけしはスゴイ。そこは認める。今までのクールで乾いたアクションもいいが、今回のもすごく良い。映画館で俺の隣に座ってたイイ年こいたオッサンが、アクションシーンで腕が飛んだり、串刺しになったりするたびに目をそむけるもんだから、笑っちゃったよ。ラストの服部との一騎打ちも良し。だらだらやんないで一撃必殺。イイ意味で観客を裏切る。しかし座頭市強すぎ。古今東西のアクション映画で最強なんじゃねえかな。おっと、そう言えば、西の方にも最強の男が・・・。「座頭市」・・。続編作るなら今度はそいつと戦ってくんないかな。え?タイトルはだって?そんなもん、「座頭市 破れ!セガール拳」に決まってんだろ!!!

 

  • Re: ひでえ映画

    2003/09/13 by 未登録ユーザM

    masamichiさん、あなたスゴイよ...
    文章いいし、映画見る目も鋭い。
    この映画に関してほとんど同じ感想。日本人のほとんどは、「北野武の映画の割には分かりやすかった」なんて思ってるわけだし、外国人は「よく分からんけどこれが日本的な美の世界やな」なんて思ってみている。
    どちらもズレていて、正面から映画を見ていない。
    北野武が外国受けするために滑った映像を撮りまくっていることに、いい加減みんな気づいてほしい(それとも気づいて言ってんのか...?)

    とにかく、楽しみにしてるんで、これからもっと感想書いてください!!

  • Re: ひでえ映画

    2003/09/13 by 未登録ユーザエスパニャ

    masamichiとMさんのご意見、当りだと思います。
    タケシはヴェネチアでの賞狙いの確信犯だと思います。タケシほどの感性なら、その辺は承知の上でのことでしょうし、黒澤さんから「日本の映画を頼んだぞ」って言われたと、ことあるたびに発言するのも。
    日本人が、海外での受賞に「弱い」という民族性も承知で、ことさら実績のあるヴェネチアでの賞狙いを続けるのでしょう。
    でも、それはそれで、邦画の活性化に役立てば、という気持ちもあるのでは?いや、あって計算ずくでやっていて欲しいです。日本の映画ファンは、まだまだ底辺の狭いと思うのです。タケシのキャラ、知名度を利用して、映画館に足を運ばせることがけっこう大切なんじゃないでしょうか。ヴェネチアでの受賞がそれに一役買っていれば、結構じゃないでしょうか。タケシも実はそんなことは承知で、敢えてマスコミ受けをとぼけて演じていたり、まだ映画に浅い方々への受け狙いを演じたりしているのじゃないでしょうか、よくは分かりませんが。タケシって、一歩引いてクールに見ている処があるでしょう。
    真の映画ファンは、タケシの作品であっても真贋を見分けられるでしょう。masamichiさんの辛口採点、かつ、アクションは凄い、という客観的な評価。
    そのような評価とは別の次元に作品は位置する場面もあるのは、客が入らないと興行は成り立たないという必然性でもありますから、Mさん曰くの「北野武が外国受けするために滑った映像を撮りまくっている」のも、日本人の弱い「外国での受賞」狙いで、確信犯じゃないかと思います。
    それだけにタケシには、確信犯として責任を持って邦画を盛り上げて欲しいです。私は、過去のタケシ作品に固執していないせいか、「ドールズ」は、「鈴木清純の影響かな、色に凝ってはいるけどもいまいちだな。」って思いましたが、座頭市は面白く、かつ、単純に感激もして楽しめました。後であれこれと掲示板の感想を読むと、確かに色々と辛口な事も考えますが
    見ている間は、その世界に入れました。なので、けっこう楽しめたという単純な評価です。
    でも、皆さん色々と辛口なのは、それだけタケシが期待されているからなんでしょうか。これがここでの私の感想です。

  • Re: ひでえ映画

    2003/09/14 by 未登録ユーザ桑畑四十郎

    浪人の妻を後追い自殺としか観れないようじゃ
    この作品を批判できません。

  • ひでえ映画の見方

    2003/09/14 by 未登録ユーザレクター博士

    桑畑四十郎さま。

    おっしゃる通り。世界配給されるのはいいけれど、外国人に浪人服部の妻の自害、この意味が分かるんだろうかと危惧しておりましたが、やっぱり! 日本人にさえ理解出来ないんだ、と。

    補足します。服部の妻女は自分の病ゆえ、用心棒となって人を斬ることで薬代を稼ぐ夫に、申し訳なく思い自害して果てたのです。自分がいなくなれば、こんな生き方をしないで済む。侍として真当に生きて欲しい、侍の矜恃を無くさないで欲しい、という愛情の発露なのです。

    たけしの映画はいつも舌足らず。サイレント映画的であるが故、その不足部分を観客は勝手に補足してしまいます。だからある意味普遍的であり、その映画作りは確信犯的であり、この「補足装置」が「映画」として機能させている所以だと思います。
    でも、近年のたけし映画の中では、一番面白かった!

  • Re: ひでえ映画

    2003/09/14 by 未登録ユーザM

    まあ、妻自害の理由は分かってましたが…。

    「エスパニャ」さんの話しに戻って、北野武の「確信犯」的行動が、本当に日本の観客レベルとか、邦画レベルの向上につながるかどうかが問題ですね。

    過去の日本映画の黄金時代、黒沢にしろ小津にしろ外国での受けなど気にせずに、徹底して国内で勝負しようとしたからこそ、普遍性を持ったということがあると思う。
    最近の邦画の観客動員数は悪くないんですよ。宣伝をたくさんすれば、「踊る××」みたいに観客はバッと入る。
    外国の賞をテコに観客動員を増やす、という北野武の戦略(それが「戦略」―個人的利害ではなく―だとして)が、本当にいい映画を見分ける観客層を厚くできるのかどか。
    自分は逆じゃないかと思いますが。

  • Re: ひでえ映画

    2003/09/14 by 未登録ユーザエスパニャ

    Mさんのコメント、
    「外国の賞をテコに観客動員を増やす、という北野武の戦略(それが「戦略」―個人的利害ではなく―だとして)が、本当にいい映画を見分ける観客層を厚くできるのかどか。自分は逆じゃないかと思いますが。」
    そういう危惧を抱く方々もおられると思いますし、否定はできません。
    私の場合は、こう思います。まずは、眠っている潜在映画ファンを劇場に呼ぶことです。なりふり構わず。
    そして、映画を見る回数が増えるほどに、目が肥えてくるでしょう。そうすると、今の現状での目の肥えた映画ファンより更に増える、と期待するんです。その内に、外国賞かぶれの日本人の姿に気づく方々も出てくると思います。評価基準がより厳しくなってくるでしょう。そのようにして観客の絶対数が増えれば、製作する側もウカウカできなくなってくると思います。
    タケシが実際にそこまで考えているかどうかは分かりませんが、いまの外国受賞狙いのプロセスを経て、変遷をしていって辿り着く姿で、彼の真贋が見抜けるかと思います。
    タケシ擁護のようにとられてしまったかもしれませんが、私の彼への期待です。結果はまだまだ先でないと分からないでしょうが。

  • レクター博士へ

    2003/09/14 by KKK

    なるほど。自害の理由はそういうことになるのでしょうか?
    ただ「自害の理由他」のスレで議論されているように、同じ時刻にというのは、やはりビジュアル面で見せたかったということと、夫婦の第六感的なつながりというのがあったのかもしれないと思うのですが。
    やはり夫婦が同じ時刻にというのは意味があるような気がするのですが。
    いずれにしろ、「自害の理由他」のスレでレスしたように、そこに至る妻の心理がちょっと描き切れていないような気がします。
    それがたけしの作風だと言われるとたしかにそうなのですが。

  • 感性の映画作家?

    2003/09/15 by 未登録ユーザレクター博士

    KKKさま。

    >同じ時刻にというのは、やはりビジュアル面で見せたかったという・・・
    >夫婦の第六感的なつながり・・・
    >妻の心理がちょっと描き切れていないような気がします。それがたけしの作風だ・・・

    あえて、伝統的なシナリオ術を避けている感があります、北野監督は。
    第六感という表現は私の中ではなかったのですが、服部の妻女は自害の前に、2度ほど「私に構わず」云々と言う前フリが有りましたので、自害のシークエンスの冒頭ではすぐに「あっ、やるな」と感じました。逆に「止めろ!」と心の中で叫んでいました。ですから妻女の心理が描き切れていない、とは思いませんでした。
    時代小説や歌舞伎に接しているからかな(^-^)。
    数カット、夫と妻としての、繋がりのシーンを挿入すれば分かりやすかったと思いますが、北野監督の感性的には、そんな絵を撮る必要が無かったのでしょう。

    たけしは「感性の映画作家」だと思います。当たるとスゴイが、外れると・・・(^-^;)。

  • 読み取る

    2003/09/15 by 未登録ユーザ桑畑四十郎

    レクター博士の書かれている通り、1つ台詞が伏線に
    なってたりします。武監督の作品は省略されすぎという
    意見がありますが、ちゃんと伏線は張ってあります。

    ビジュアルに頼る監督、観客が多いように思います。

  • なんでかな?

    2003/09/15 by 未登録ユーザサンドキャッスル

    masamichi(改めM)さんへのコメント

    >あんな終わらせ方をしたたけしの罪は相当重い

    たくさんツッコミ所があるんだけど、これが一番わからないコメントでした。どういう意味ですか?話の前後を読んでもわからないです、教えて下さい。

    あと、
    海外狙いだろうが国内狙いだろうが、面白いものは面白い、ツマランものはツマラン。それでいいじゃない。何故そんなにもこだわるのかな。それこそ正面から見てないのでは?そもそも、海外狙いだなんて監督本人しかわからないでし。想像で「決め付け」のコメントはどうかと。せめて言葉尻に「思う」とつけるべき。
    つまらなければ評価の所に「作品の内容そのもの」の批評をちゃんと書いて0点つければいいと思う。わざわざここに「作品外」の事を長々と書き込む理由がわからないです。ストレス発散の投稿に見えてしまうのは私だけかな?


    私は基本的に他の映画と比較しないし、監督がどうのこうのに興味無い。映画そのものを見ているので。別に無名の監督で賞に縁が無かったとしても、この映画はまあまあだとは思いました。
    ただ、キャラがいまひとつなのは同感。どこか抜けた感じがしました。賭博屋で、いきなり刀抜くのはどうなんでしょう?相手は刀に触れてもいなかったような気がしたけど、私の見落としだった?

  • ファン心理

    2003/09/15 by KKK

    たしかに自害の理由をきちんと読み取れなかったのは観客の僕の方のミスでした。すみません。

    ただ上のレスのように思ったのは、個人的に前から北野武監督について、どうも男と男の関係は描くけど、男と女のドロドロした関係は描くのをさけてるのではないかみたいな印象をもってて。
    「あの夏、いちばん静かな海。」とか「ドールズ」とか、恋愛ものをやるともうひどく純粋な世界にいっちゃうじゃないですか?
    でもあれだけの人なんだからもっとドロドロした恋愛とかも経験しているはずだし、いっぺんこの監督が照れずに女を描いたらどうなるんだろうか?という期待が自分にはあるのです。
    まあ、こういうのは勝手な期待なのですが、ファン心理としてそういうことをつい過剰に期待してしまうのは仕方がないのではないでしょうか?
    masamichiさんは男と男のハードボイルドをやってくれと期待していて、僕は男と女のドロドロした部分もやってくれと期待している。まことにファンというのは勝手なもので、北野監督も大変でしょうが、そういうことを全部、分かった上できちんとやっておられるわけでしょう。

  • うーん・・・

    2003/09/15 by 未登録ユーザmasamichi

    ・・・まず最初に僕からサンドキャッスルさんに質問をしたいんですけど・・一行目の「masamichi(改めM)さんへのコメント」って・・これ、どーゆー意味ですか?もしかして僕(masamichi)とMさんが同一人物で、僕が自画自賛の返信を自分にしてるってことですか・・・? だとしたら勘弁してくださいってカンジです。僕はそこまで恥知らずではないです。というよりも、せっかく僕に返信してくれたMさんに失礼だと思います。 のっけからこんな書き方されたら、正直、うーん・・って感じなんだど・・・  まぁ、それはともかくとして・・「なんで海外とか国内とかにこだわるの?」ってご質問に関しては、寺島漣さんの「自害の理由他」(僕への返信)へ僕が返信しているので、そこを読んでみて下さい(多分読んでくれてないと思うので)。たけしのようにあらゆる面で独創的な映画を作り出す個性派作家に関して言えば、作家の映画に対しての哲学、若しくは取り組み方は作品そのものに如実に反映するものだと思います。そのような意味では、僕自身、「作品の内容そのもの」について批評しているつもりです。それでもサンドキャッスルさんが「作品外」とおっしゃるなら別にそれでもいいです。ただ「ストレス発散」では断じてないです。ただ、おもしろおかしく書きたかっただけです。      そして一番の質問、「たけしの罪」についてですけど、まさにラストのセリフ、ただ一語です。僕はあのような哲学的なセリフはセリフという手段を用いて表現すべきではないと思う。映像の中に作家の主張したいテーマを仄かに匂わせる程度が作品の品位を保つ重要な要素の一つであると思う。それをセリフにしたら下品以外のなにものでもない。それは作家として怠惰といってもよい。現に僕はあのセリフで「おいおい、そんな青臭いことをいちいちセリフで言うなよ、恥ずかしいなー」って思った。でも、「そんなこと言うのはお前だけだろ」って言われたら、そうかも知れない、とも思う。でもこういう感想は自分の心の内から出た感情だからどうしようもない。だから、突き詰めて言えば、シンプルに「僕には合わなかった」、それだけです。

  • 博打場のシーン

    2003/09/16 by 未登録ユーザ桑畑四十郎

    masamichiさん、はじめまして。

    博打場で突然斬りだしたシーンですけど、市は居酒屋で
    浪人と抜き合った時点でこの浪人と戦うことしか考えて
    いません。それ以外この村に留まる理由が見当たりませんでした。

    そう考えると、この博打場のシーンは、浪人を炙り出す為のイチャモンになります。ですからルールもへったくれもないんです。

    ラストのシーンですが、これは作品を大衆芸能としたタケシ流のギャグだと思いました。完璧な市が石につまずくオチ。

  • ラストの一言。

    2003/09/16 by 未登録ユーザうさ

    ラスト、笑っちゃっいました。
    あれは私もギャグ…というか、笑わせる為に監督が作ったカットだと思います。
    ただ石につまずいちゃった!ってだけでなく、
    あんな哲学的な台詞をわざわざつけたら
    陳腐ですよね〜〜っ
    そう観客が思うことを狙って作ったんじゃないかな?と思ったんですが。

  • 自害の絵

    2003/09/16 by 未登録ユーザM

    いやはや、こういう掲示板って何でも議論のタネにしちゃうもんですね…。

    妻自害について。あれは最後の「絵」を撮ること、それだけですよ北野武の目的は…。若くて美しい日本人女性が、一途に夫を思って胸を突き、タタミの上で果てる絵(背後には「オー、ゲイシャ、ハラキリ!」なんて大喜びの外国人イメージ…)。それを綺麗に撮ることしか考えていない。
    だいたい、そこに行くまでの夫婦の会話、あの陳腐でステレオタイプなシーンを見て、顔を赤らめない映画ファンがどれだけいましたか。今時テレビドラマでも、あそこまで空虚な会話はやりませんよ。(布団に伏せて咳き込む妻、「すみません私のために…」「いいんだよ」なーんていう説明口調の会話、何回繰り返されました?)
    確かに服部という浪人の方はかなり造り込まれてましたが、あの妻は、あくまで「武士の妻」というステレオタイプを形にしただけ。テレパシーも何も、特別な背景も物語も一切暗示すらされていない。「隙間」とか「想像力」とか、そういうレベルじゃなくて、説明口調で、クドすぎるんです。だから、最後の場面で妻が鏡に向かっている時点で、何をやるか全部分かっちゃうんです。

    私が困ったな、と思うのは、こういう「絵」を見せられて、「これこそが、日本的な美の世界だ!」なーんて〈学習〉しちゃう日本人がたくさんいるんじゃないか、ということです。繰り返しですが、あれは外国人の頭の中にある「日本人女性」「サムライの妻」のイメージを、映像化しただけですよ。だからあんなに空虚で、カタチだけで、ステレオタイプで、不自然なんです。
    北野武は例によって、「黒澤明に日本映画をよろしくと…」などと(計算ずくで)パフォームしてますが、彼の映画は黒澤・溝口・小津・成瀬らの作り上げた日本的な映画世界とは似て非なるものです。継承どころか、たんなる忘却ですよ。だからMasamichiさんが(当然当方とは別人格)「たけしは完全に白人共に魂を売り渡してる」とか「芯から日本人な自分からしてみたら、こんなのニセモノ」と指摘しているのは、直感的な表現ながら、筋は合ってるんです。

  • Re: 服部

    2003/09/16 by 未登録ユーザあこ

    私は服部は善人な感じがしなかったなー。服部は剣のプライドの為に自ら浪人になったんですよね?市との切り合いのシーンで、最後に奥さんに薬を買って遣れると思い浮かべて微笑むなら純愛かなと思いますが、市を切ってる事を想像してニヤリとした姿は、この人も歪んでいるなと思いました。剣にとりつかれた人だったんじゃないかな〜。奥さんよりも自分が大好きだった人のように思います。それはそれでカッコいいと思いますが。

  • 自害の絵

    2003/09/16 by 未登録ユーザ桑畑四十郎

    そうですかねぇ。
    日本的情緒を絵にすると外国に魂をうっちゃうことになるんですか?
    小津も溝口も成瀬もとても日本的なんですが。

  • 活発な上に良いスレッドですね

    2003/09/16 by 未登録ユーザストライカー

    まず、皆さん「確信犯」の使い方間違ってますよ(笑)
    《自分が正しいと信じて疑ってないけど実際は悪い事してる人》
    簡単に言うとこんな感じの意味合いの言葉ですから。

    しかし、外国人受けするとか賞狙いとかいうご意見もありますけど、
    実際に受ける映画、賞を取れる映画を作るっていうのは難しいと思います。
    映画作りってそんな生易しいモノではナイんじゃないかと。
    さあ取ろう、で取れるならタケシ以外でもバンバン賞を取っているんでは…。

    姉妹の敵討ちは要らない、って言うなら、
    浪人夫婦の話も要らなくなってしまうのではないでしょうか。
    両方とも時代劇としてはベター、言い方を変えれば使い古された話ですよね。
    親の敵を探して旅する兄弟姉妹の悲哀、
    腕はたつけど真っ当に士官できない(しない)浪人とその妻との悲愛。
    新しい型の時代劇を作っているようでいて、その実、
    やっている事は時代劇の王道なんだよ、って事を見せたかったのでは?

    浪人の妻の台詞や自害がステレオタイプ
    というご意見もありましたが、当時の侍の妻というのは
    やはりどうしてもああいった感じなのではないでしょうか?
    妻は夫をたてる、夫の立身出世こそが妻の喜び。
    そういう時代だったのではないかと思います。
    僕には空虚ではなく、当時の女性達の切実さが伝わってきました。
    そしてこれも時代劇の王道ですよね。

    ただ、ボクが面白いなと思うのは、王道すぎるくらいの王道でありながら、
    王道の側道を平気でいっている事なんですよね。
    「すまないねえ、苦労をかけて…」みたいな会話をする夫婦や親子は、
    大抵がなんのかんのとハッピーエンドになっていると思うんですけど、
    この浪人夫婦にいたってはこれでもかとばかりに最期を遂げます。
    浪人は市に殺され、妻は自害。
    そして、その最期しか許されないとばかりな設定。
    何しろ浪人夫婦は物語が始まる前から「終わっている」んですもんね。

    矜持を傷付けた相手が実は真剣すら持たない貧乏長屋の人間だった、
    もうその時点でどうしたって幸福に戻れようはずもないんです。
    士官先を出奔したにも関わらず、怒りの矛先を失い、恥を雪ぐ事も出来ず、
    妻は病で薬を買う金が必要だけど、流れ者に真っ当な士官先があるはずもなく、
    手っ取り早く稼げる与太者の用心棒に身をやつすしかない。
    しかし妻にも妻の、侍の妻、としての矜持があり、
    自分の病のために外道まがいの事をする夫に申し訳がたたない。
    (もしかしたら夫は人斬りで歪んでいっているかもしれないとも思ったかも)
    明るい未来なんて何一つとしてない、
    本当に細い細い糸で繋がっていただけの人生なんですよね。

    そしてあの宿場町でわずかに保っていた糸がプツンと切れる。
    もしかしたら病がもう治癒しない程に進行していたのかも知れないし、
    単に、侍の妻としての矜持、の限界点にあそこで達しただけなのかもしれない。
    (侍に侍の矜持があるように、侍の妻にも侍の妻としての矜持があるはず)
    夫の死を薄々感づいていた、というロマンチックな話でもいいです。
    とにかく、妻は夫の足手まといにならないため、妻としての矜持のため自害。
    そして浪人は市によって行き着く先のない人生にも終止符が打たれる。

    完璧だと思いました。
    始まる前から終わっている物語を完璧に終わらせ切ったんですから。
    結末が見えていたかも知れませんけど、
    あの2人にはそれ以外の最期は有り得ないのだから、これで良し、と。

    夫婦の死がほぼ同時刻、という点でのご意見が幾つかありましたけど、
    あれは演出であって、実際の死亡時刻は違ってるかもしれませんね。
    ただ、2人の死で1つの物語の幕引き、だから、
    ああいう風に同時進行で見せたんではないかと思います。

    サンドキャッスルさんご質問の賭場での市の先制攻撃に関しては、
    自分に向ける殺意がありありと感じ取れたからではないでしょうか。
    どうせ斬合いになるなら先に斬っておくか、みたいな。
    先制攻撃によって心理的優位に立てば、より勝ちやすいでしょうしね。
    桑畑四十郎さんのご意見にも感心しました。
    なるほど、「お膳立て」のために最初から暴れる気だったのかも知れませんね。

    ラストの台詞に対するmasamichiさんのご意見。
    >哲学的なセリフはセリフという手段を用いて表現すべきではないと思う。
    ラストになぜあの台詞が出てきたかはまさにこれですよね。
    「表現すべきではない」事をやってみせる事による「オチ」。
    あれはただ単に観客からのツッコミ待ちな台詞に思えました。
    「そーゆーオチかい!(びし!)」っていう漫才風のツッコミ(笑)
    多分、そういう風にツッコミをイレる事で完結する映画なんだと思いました。

    ※『座頭市』に対する批評から少し外れます。
    masamichiさんのご意見の書き方はとても素晴らしいです。
    面白くなかったとしても「駄目映画だ糞映画だ」とけなすのではなく、
    「あそこはこうするべき」という建設的意見も述べた上で、
    「自分には合わなかった」と一歩引いてみせて、
    「でもあそこは良かった」と良い部分は素直に誉める。
    自分の言葉で作品を語るべき《批評》のお手本のようだと思いました。
    最近少し荒れ気味な所もあるので、
    こういう真っ当な批評家さんが増えるととても嬉しいです。

  • 失礼!

    2003/09/18 by 未登録ユーザサンドキャッスル

    masamichiさん Mさんへのコメント
    頭文字だけを取ったのかと思いまして、同一人物かと思ってました、失礼しました。

    Q.お二人へ
    ところで、この映画が海外で評価されてなくても、人気が無くても、ここまで辛口な投稿はしてましたか?

    Q masamichiさんへ
    「罪」というのはそういう事ではなく、誰に対して何に対しての「罪」なんでしょう?それを聞きたかった。質問が下手ですいません。読解力が無くてすいません。それとも「罪」ってのは、ただの言葉のアヤみたいなもんかな?「哲学的〜」と言っておられるので、そのへんに通じてるなら「言葉」には敏感かと思いまして。

    Mさんへのコメント
    >私が困ったな、と思うのは、こういう「絵」を見せられて、「これこそが、日本的な美の世界だ!」なーんて〈学習〉しちゃう日本人がたくさんいるんじゃないか、ということです。

    そんな日本人はなかなかいないでしょうね。というか、別に見た人がそう思ったって構わないかと。そんな事いちいち気にするのは、ちょっと的外れというか、そんな気がしてならない。
    まあでも、あれは外国人の頭の中のイメージだけでは無いと思います。そもそも、海外でもああいう話はありますよね?なんかで読んだ気がするな・・・

    >夫婦間のセリフについて
    「BROTHER」で大杉漣が指をつめた時に武が言うセリフがあるんだけど、あそこの方がもっとヒドイです。でも仕方ない、武は映像だけで勝負してきた監督、というか映像しか頭に描いてないみたいなので。まあ、そこが好きなんですが。武の映画はセリフを気にしてたら見れませんよ。たまにいいセリフもあるけどね。


    「最近の映画はしゃべりすぎでしょ」って有名な誰かが言ってたなあ・・・・・同感ですな。座頭市もセリフ多かった。

  • ひでえ映画とは思わなかったがmasamichiさんの投稿に関心!

    2004/06/27 by だいだい

    私がセガールを知らないので、残念ながらラストの一文は意味が理解できませんでしたが、
    なかなかmasamichiさんの投稿がおもしろくて一気に読んでしまいました。

    >「普通」の作品を作ることの何と困難なことか・・・
    の後のため息の音が聞こえてくる力作だと思いました。

  • Re: ひでえ映画

    2007/06/06 by 未登録ユーザm

    ひでえ観客がいるから海外に向け映画を作るのです。

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100点
40人(12%) 
90点
46人(14%) 
80点
65人(20%) 
70点
61人(18%) 
60点
40人(12%) 
50点
21人(6%) 
40点
14人(4%) 
30点
11人(3%) 
20点
8人(2%) 
10点
11人(3%) 
0点
7人(2%) 
採点者数
324人
満足度平均
69
ファン
12人
観たい人
49人

 

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