奇跡の人 (1962) »レビュー

何が問題で、どうすればいいの?

100点 2005/09/24 by 理屈屋

素晴らしい作品です。たくさんの人に見て欲しいと思います。
作品の完成度が高い低いとか演技がどうとか演出が良いとか悪いとかでなく、このお話自体が奇跡的に素晴らしいお話で、しかも実話だという点に圧倒されてしまいます。
1個体としてのヒトが、1人の人間となっていくということは、まさにひとつの死闘なんだと感じます。
この作品は、目が見えない、耳が聞こえない、口がきけないという三重苦を持った少女ヘレンを、人間としてこの世界に繋ぎとめた奇跡的な家庭教師、サリバン先生を描いた物語ですが、人の尊厳とは?とか、子を愛するとは?とか、何かを成し遂げるには何が必要か?といった、我々平凡な人間にとっても大事ないくつかの疑問に対する答えを、その中に見つけることが出来そうです。
信じることを止めた瞬間が、人が敗北した瞬間なんだと思わされます。
諦めることが最大の罪悪であることを痛感します。

「あの子を何とかしろ。」「あの子を救って欲しい。」「私達を救って欲しい。」
ヘレンの両親が問題を解決したいと口にする言葉が変化していきます。
世の中には沢山の問題があります。
しかし問題そのものをよく見て、原因がどこにあるのか考え、解決に向けて行動すると言うことがいかに難しく、その闘いが困難であるのかがよーく分かった気がします。
戦う第一の相手は、問題を抱えている対象そのものではなく、問題の所在を理解しようとしない周囲の人間なのだという衝撃が凄いです。

十代の子たちの様々なニュースを目にすることの多い昨今ですが、それらの問題行動のどこに本当の問題があり、大人はそれらに対しどういう行動を取るべきなのか、この映画が教えてくれている気がします。
「彼らをなんとかしろ!」とだけ言っていては、問題は決して解決しなさそうに思えますね。
彼らを信じようと死闘する一人の大人がいれば、多くの子供達は救われるのかもしれません。

世間を騒がすカルトな教団の人々とか、いろいろな犯罪に走ってしまう人々とか、「なんとかしろ!」と思ってしまいがちなことは他にもたくさんあると思いますが、「なんとかしろ!」と思っている自分こそが、ひょっとしたらそれらの原因ではないのか?と思い至らせたりしない限り、それらは決して解決しないのかもしれません。

 

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