浮雲 (1955)
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生まれてきて
2005/04/01
by
Godzilla Style
2005.3/31(Thu) 日本映画専門チャンネルで録画しておいたものを鑑賞。日本映画専門チャンネルが、成瀬巳喜男監督のことをかなり誉めていたので、「そんなにいい監督なのか」と思い、日本映画専門チャンネルが成瀬監督の一番の名作だとまで言っていた、この「浮雲」を観てみました。
非常に坦々と物語が進んでいく作品です。去年、脚本家の君塚良一さんの本を読んでいたとき、「昔の作品はテンポがよくない」と書かれてあったのですが、本作もその一つで、ずるずるべったりな展開に、少々退屈してしまいました。終始同じようなことを繰り返しつつも、少しずつ物語が動いていく。
あまり自分は、悲恋モノを観たり、悲劇などを好んで観るタイプではありません。どちらかというと心が明るくなるような映画が好きです。溝口健二監督の「西鶴一代女」も昔観たのですが、それはそれでいい作品なのですが、いまいちのめり込めず、心が暗くなってしまいました。
でも本作で素晴らしいと感じたのは、悲劇であるのに、その悲しさをあまり押し付けてこなかったこと。例えば、健気に生きる人物を、高峰秀子が演じる主人公、ゆき子だけでなく、森雅之が演じる富岡に託したこと。これによって、単なる悲劇とは違った一面を観ることができるのです。二人でいることで、悲劇とは相反するものが存在し、よりドラマとしての質が上がっています。だから悲劇に説得力が増し、それでいて、何か希望すら感じさせる美しさに溢れている。
森雅之が演じていた富岡は、すごく大宰治そっくりでした。やってることもかなり似ているんだけれど、顔立ちがとても似ている。映像の中に生きているだけで、「すみません」って聞こえてくるような佇まいが素晴らしい。対して、高峰秀子が演じていたゆき子は、話し方も、声も、大竹しのぶそっくりで驚きました。なんであれほどまでに似ているんだろう。太宰と大竹しのぶが愛し合うとここまでの恋愛ができるものなのか?
あの二人には、確かに愛が存在していたと思う。敗戦後という恵まれぬ状況下でも、愛する人がどんなに救いようのない生き方をしていても、その人なしには生きられないという強い絆。美しいじゃないですか。ゆき子がどんなに悪口を言っても、富岡がどんなに毒舌をかましても、その言葉は、「愛してる」にしか聞こえない。「死にたい」「死のう」「死ぬつもり」どんな暗い言葉を口にしても、あの二人は死にたくはなかったのだろう、そこが太宰と明確に違う。彼らのような生き方は自分にはとてもできそうにない。
だからこそ、あのラストシーン、ラストの言葉は心に沁み入ります。
本作を描ききった成瀬巳喜男監督。彼の作品を観たのはこれが初めてですが、いいものを観させて頂きました。あなたは凄い。素晴らしい。そしてありがとう。
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Re: 生まれてきて
2005/04/02 by
元映画野郎
「昔の作品はテンポがよくない」
昔も、今も人それぞれ、それぞれの監督がそれぞれの個性で、作品を生み出す。
成瀬さんも一つのスタイル。
Godzilla Styleさんは日本映画専門チャンネルをご覧になれる環境であるようなので、
もし機会があれば、明日からの故岡本喜八監督の追悼特集を一度ご覧になればなあ。
かっこよく、シニカルでウィットに富んだ、そして素敵な作品ばかりです。
成瀬さんと対称的なので、めくりめくもう一つの日本映画の世界が繰り広げ
られるのですが・・・・・・。
よし、明日は、『24時間まるごと岡本喜八』。うれしい。そして悲しい。
独立愚連隊、左文字小隊の一員として歌いまくるぞ。鎮魂歌として。
そして、お尻に向かって突撃!!。 -
元映画野郎さん、ありがとうございます。
2005/04/02 by
Godzilla Style
岡本監督の作品ということですが、観たいものあったら観たいと思います。そのときはクチコミも書いてみます。
昔の作品にはテンポがよくない、というのは、君塚さんのお言葉を引用させていただいただけで、僕自身の意見ではありません。本作は君塚さんの話に該当していたので書いてみました。お互いもっといろんな作品を観たいものですね。昔の作品でももっと話の進みがいいものがいっぱいあるはずですから。
改めて、ありがとうございました。
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