JSA(共同警備区域) (2000)
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乾いた森、不必要な真相。
2008/07/09
by
黄金のキツネ
ようやく観ました。むずかしいストーリーです。一回目はまさしく『藪の中』でした。
でも傑作だと思います。
供述書の通りの映像。
交流の日々の回想。
PTSDで記憶が混乱した者の供述通りの映像。
最終的な真相。
そしてこれらの間をつなぐ劇中現在形の映像。
これらの映像が次々と登場するので、ラスト間近でスヒョクのとった行動の動機が一瞬腑に落ちず、それにソフィー少佐がどこまで事実を把握したのかについてもきちんと把握できず、ちょっと混乱しました。翌日後半部分をもう一後観て疑問点を解消し、より深くこの作品の素晴らしさを堪能できました。大傑作だと思います。
冒頭でソフィー少佐の上官が、「乾いた森(ドライ・フォレスト)」と「火種(スパーク)」について語り、「真相究明」は必要ではない、と言い放ちます。この上官の言葉が物語のすべてを貫いています。
生活や教育により刷り込まれた思想・信条、さらにそれに軍隊の訓練で身に付いた命令遵守の習慣、そして殺傷技術が当事者たちにはあります。ですから国家間のレベルのみならず、個人のレベルにおいても常に彼ら軍人たちは、「乾いた森」の状態となっているのでしょう。そんな状況ではささやかな交流で育まれた友情が、「たったひとつの火種」で一気に燃え上がってしまうのはとても悲しいことですが、それもまた十分にありうることなのでしょう。そして罪の意識を抱えている人たちが、ソフィー少佐の生真面目な捜査や何気ない発言を「火種」として、あっという間に衝動的ない行動をとってしまうのも、ある意味では必然なのかもしれません。彼らは「真相」という美名の前に捧げられた供物なのかもしれません。
「分断された国家間で翻弄される個人」、というテーマでは、たぶん今までも数多くの作品で語られてきたことでしょう。不勉強なためそれらをテーマとした文芸作品については全くといっていいほど知りません。しかし翻弄されずに生き残るためには、ソフィーの父親のように法の枠から離れる、つまりアウトローになるしか道はないような気がします。しかし北鮮のギョンピルの示した優しさと好意をもってしても、ソンシクとスヒョクが選んだ道が、最も悲劇的なアウト・ローへの道であったことに、ただただ悄然とし深いため息をつきました。
とても哀しい物語でした。そしてまたここ数年の北鮮の現状を考えると、この映画の内容ですら絵空事でしかないという事実にも打ちのめされてしまいます。
流れが分かりにくい作品でしたが、たいへん見事な作品でもあります。
それはラストにおいても同様で、知らないうちに涙が頬を伝わっていました。今までに観た映画の中でもトップクラスのラストでした。
傑作です。
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