容疑者 室井慎次 (2005)
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セオリーの弊害
2005/09/12
by
りんぼ
この映画はやはり単品として見ることが出来ない。
シリーズの中の作品として見てしまうのは仕方の無いことだろう。
だから、シリーズとしてのお約束の部分は当然のものとして見てしまっている。
その辺り、明らかな演出過剰や抜け落ちている伏線など、ひっかかるのも当然と思う。
それらをさっぴいて見ると、盛り上がりには欠けるもののそれなりに楽しめる映画だった。
特に中盤までの室井さんが完全に追い詰められる辺りまで、かなり面白く見えた。
これは展開として当然、ぎりぎりまで劣勢で無ければいけないのだし、それは上手くいっている。
事件も殺人事件という枠を越えて権力闘争が関係する辺り、シリーズものの常道だろう。
そういう意味でここまでの展開は面白かったし、室井さんに同調した。
しかし、そこまで溜め込んだフラストレーションが完全に解消出来るほど綺麗に逆転勝利出来たかと言うとそうではない。
結果的に判定勝ちといった辺りに留まってしまっている。
それは、何においても田中麗奈演じる小原が明らかに力不足であったからだろう。
これは彼女の魅力という点でも同様で、私は彼女には感情移入出来なかった。
室井さんはもう性格上、こういう状況で逆転打を打てる人ではない。
役どころからして、間違いなく小原こそ室井さんの救世主でなければならないが、それをこなしきれていない。
彼女の役回りは暗闇の中の室井さんを引っ張り出す所で終わっていたように思う。
自力勝利というより、援護によるなんだかはっきりしない勝利。
それが結局フラストレーションとして残る。
敵役の灰島弁護師に対しても、その目的が判然としなかったのが残念。
それらのせいで、この事件自体こじんまりしてしまっているのです。
絶対に背後に大きな何かを臭わせていると思ったのですが、肩透かしを受けた気がしますね。
それから、相変わらず無軌道な若者が問題視されていますが、そのセオリーも大分飽きました。
またどうせそうなんだろうと思っていましたが、読み通りだったのは残念です。
このことに限らずシリーズ化すると、どうしてもセオリーというのは出来てしまうだろうが、このシリーズは寅さんや釣りバカほどセオリー化すべきシリーズとは思えない。
というのは扱っている内容が社会問題であるから、登場人物のいる場所は現実社会なのである。
現実社会というのは常に流動化するものであり、セオリーは存在しない。
そういう舞台においては、やはり内容もセオリー通りでは全てが生きてこないと思うのだ。
おそらくこのシリーズは更なる展開が続くだろうが、そろそろ色々な新しい転換をして欲しい。
それから、やはり青島はワンシーンでも出演すべきでしたね。
電話越しでもいいので、出て欲しかった。
そうでないと、青島というキャラが物凄く薄情に見えます。
その辺りもこういうシリーズものとして他の主役は出さないみたいな決まりごとがあると思うが、そういう制約こそ映画をつまらなくしていると思う。
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