ヒトラー〜最期の12日間〜 (2004) »レビュー

同居する二つの顔

70点 2007/06/02 by 未登録ユーザ Hiro

ヒトラー〜最期の12日間〜

DVDで鑑賞

昭和天皇の『太陽』をみたので、じゃあドイツにいってみようかとおもって…なんて言ったら怒られそうだけど、ホントなんで仕方ないか。

終戦間近というか、崩壊寸前のナチスの最後の二週間を描いた作品。
出てくるのは極端な二つの視点
ひとつはヒトラーの秘書になった女性の視点。
彼女が接する個人としてのヒトラーは意外なほどに柔和で気安い。
この作品のヒトラーがどこまで事実と重なるのかは知らないが、そうであったことは可能性として十分考えられる。

それと対照的なもうひとつの視点がヒトラーの『個人』の外にいる軍医の視点だ。
戦線は劣勢を極め、終焉が色濃いなか最高司令官から届く命令は冷酷で非現実的。
凄惨を極める状況で、戦いの意義に疑問を抱く。
しかし共に戦う者の中には、総統のために生命を投げ出すものも少なくない。
そこにあるのはヒトラーの『総統』としての像。
僕らが歴史で知る顔はこちらの方か。

この正反対の二つの顔をこの作品は見せる。

さらに崩壊が目前に迫るにしたがってヒトラーから『個人』の部分が徐々に削れて行く部分も見事だと思う。
「どうなるのか」は有名な史実なので周知の事実。
ならば「どう見せるか」に力を注いでいる。

個人的にはゲッペルスの妻が一番印象に残った。
彼女の行動は、あの時代それほど異常なことだったとは思えない。
それと同じくらい当然の感覚として、ヒトラーと自らの所属するナチスを見切ったような感覚も存在したんだろう。
両方をバランスよくしかも同居を自然に描いているのはお見事。

彼女の言動を狂信的だと感じられるということは、幸せなんだろうな。

けして後味がよい作品ではなく、気軽な気持ちで見るものでもない。
けれど見て損はない良作だと思う。

 

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