皇帝ペンギン (2005)
»レビュー
人の子も 盗むほど子は 貴重な子
2005/09/03
by
裏木戸楽子
確かに、通常のエンターテイメント映画からすれば退屈でしょうねえ。私も、途中で寝そうになったのは本音です。でも、予告でペンギンの子どもが可愛いと思ったから見たんです。
でねえ、実際には可愛かった。でも、その可愛さと、もう一つの側面、残酷さ。
それは、親の残酷さ。そして、これは、人間にもありえるかも。そういう生命のきわどさを私たちも、実は、生きる中で味わっているはず。そうして、この映画で、ふと気づかされるはず。なのに、なのに・・・。
そのスタンスからすれば、それ以上を望むのは、ワクワクドキドキのエンターテイメントしかないのでしょうか。それとも、驚くべき、皇帝ペンギンの生態に、無知を翻すべきでしょうか。
こういう映画に、よく「つまらん」「おもしろくない」という評価をする人がいます。
もちろん、それは率直な意見でしょうね。でも、ある意味、それって了見狭いんじゃないでしょうか。映画は、いろいろな可能性をもったメディア、お茶の間のテレビと違って視聴率で一喜一憂、一般受けを気にして制作するのとは違う狙いがあるでしょう。
そういう映画に対し、テレビ見る感覚で、「つまらん」「へたくそ」「失敗」という言葉が飛び交うと、私は、日頃そんなに、いろいろな意見に許容範囲を広くしているつもりで怒りを露にしないんだけど、ついつい「じゃあ、観に行くなよなあ」と言いたくなっちゃいます。
例えば、ハリウッド・エンターテイメントしか面白くないというテレビ感覚の人には、ヨーロッパ映画、フランスやドイツ、さらには、東欧、ロシア映画は、見ても面白くないでしょうし、いわゆるジャンルというものがありますので、自分が面白いと思ったジャンル以外は、その人の特性で、映画自身はつまらなくても、その人にとってはつまらないのであります。
ただ、私は、この作品もそうだし、ほかの動物作品でも、映画の可能性を期待し待ち望んでいる人の一人なのです。例えば、この「皇帝ペンギン」だけじゃなく、最近の映画で言うと、日本映画の「星になった少年」、私は象が好きになりました。それから、あのジャン・ジャック・アノーの「トゥ・ブラザース」、私は、トラの人間以上の家族愛を見ました。人間だけのドラマでは得られないものを見た気がします。なんせ、あの愛の究極のおかしなドラマ「愛人(ラマン)」に、へなへな男のブラッド・ピットを聖なる人物まで引き上げた「セブン・イヤーズ・イン・チベット」を作った監督が、くだらんもの作るわけがありません。私は、この監督の人間の愛と性を様々な作品で乗り越えた結果、作りたくなった作品だと思っています。
そういう監督の思惟を、狭い了見で否定したくない、それが私の映画の観方です。
もっともっと、いろいろな、訳のわからない、多種多様な、おかしな映画出て来い、そう思うとともに、もっと、人間以外の、あらゆる動物にも登場して欲しい、そう思います。
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