メゾン・ド・ヒミコ (2005)
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夢という責任放棄
2008/04/15
by
アキラ
脚本が上手いのか話自体が優れているのか。ちょっと意表を突かれました。オカマとして成功した男が作ったオカマ用老人ホーム。老い先短くなった彼(彼女と云うべきか)の為に仲間が彼の実の娘を使用人として呼んだ事から始まる珍騒動。際物ネタのようでいて実に上手く家族との関係を浮かび上がらせています。彼らは女になるという夢の為に妻子を捨てた裏切り者。夢の為に後ろ指さされて生きた彼らは自分の事で精一杯。扶養者に捨てられた側の気持ちには想像が至らない。そこを捨てられた側の感情がガツンとぶん殴る。全くもって無意識で無防備だった真後ろからぶん殴られた気持ちになりました。いくら成功しても何かに向って突っ走る生き方の側には無意識に踏み潰されていた誰かがいる。その痛みが自分に跳ね返って来るかのような作品です。
図書館に出ていたので随分久しぶりに見た犬童作品。過去に見た作品のイメージからしてもっとメルヘンチックかと思いきや、ほとんど飾り気なく話の面白さで引き込むタイプの作品でした。きらびやかなオカマたちが自分たちの世界に閉じこもる一方で切り捨てて来た外の世界を灰色で味気なく描く事で、叩き付けられる現実の厳しさが印象を増す。夢を生きる人々の目には止まって見える窓の外も実際は忙しなく流れていて、その流れはいつか窓のこちら側さえも押し流す。資金提供を打ち切られれば行く所はない。家族にさえ疎まれる存在。親の借金返す為にいかがわしいバイトに手を出し処女を奪われてもステディな相手と恋愛する余裕すらなく必死に生きている娘からすれば、乙女として愛だの恋だの浮かれている老いた男たちの幻想はちゃんちゃら可笑しい。そんな風に突っぱねていたヒロインが平行線を辿りながらも少しづつ心を開く様が可笑しくも哀しい。
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