ミュンヘン (2005) »レビュー

権力の怖さ

50点 2006/03/09 by 椎茸

ミュンヘン

人殺しなんてした事がないごくごく一般的な人がある日、権力者達から殺しの指令が下される。
断れば裏切り者扱いをされるのか‥逃げれば一生追われるのか‥主人公はやもなく指令を遂行せざるおえない状況に追い込まれるという、この冒頭の異常な事態にこそ僕は1番の恐ろしさを感じました。
権力というものの本質に容赦のない恐ろしくも醜い側面があるんだという事をこの映画は図らずも語ってる気がします。
僕はこの映画を見る限り、主人公が大義を持って復讐をしていたとは思えなく、むしろ権力から来る畏怖の念が行動理由だったんじゃないかって思えて仕方なかったです。
故に主人公のその後の行動全てが必然性を帯びてる様に思えて、空しい限りでした。

 

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  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/16 by Baad

    はじめまして

    > 断れば裏切り者扱いをされるのか‥逃げれば一生追われるのか‥主人公はやもなく指令を遂行せざるおえない状況に追い込まれるという、この冒頭の異常な事態にこそ僕は1番の恐ろしさを感じました。

    冒頭にそういう異常な設定はなかったように思いますが。
    主人公が任務を受けたのは悪まで自由意志ですし、逃げれば一生追われる、というのも多分主人公が追いつめられた結果持った妄想だろうと思いますよ。
    たしかに任務についている間はそのような状況にあったと言えるかも知れませんが。

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/17 by 椎茸

    はじめましてBaadさん。 
    自由意志があったか無かったか‥って話なら僕は無かったと解釈したんです。
    プラス、主人公の抱いた不安も"妄想"などではなく、母国のイスラエルが国際法を無視してどれだけ恐ろしい事をしようとしているのか、どれだけ厳しい要求を自分に命令してきたのかと考えれば、自ずとこの指令に自由意志があるなんて生易しい解釈にはならないと思うんですよね。
    権力の怖さってむしろそういう目に見えないプレッシャーなんじゃないでしょうか。

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/17 by Baad

    重箱の隅をつつくようで申し訳ないんですが、そもそもがユダヤキリスト教的な考え方では、全ての人間には自由意志はあると言うことになっていますので、その有無は解釈以前の前提で、どう言う状況に置いても有るのです。で、それを行使できたかどうかに関して言えば、実際的な強制が明らかに働いていない限り、自由意志による決断と言うことに自動的になります。この映画では、妻が身重であるということを理由に断っても良いという選択肢を差し出されていますし、身体拘束や拷問を受けての選択ではないので、自由意志による決断と言うことに関しては議論の余地はありません。そこに反論されても困ってしまうのですが・・・

    それと主人公に実質的な選択の余地があったかどうか、というのは別問題です。更に言えば主人公は一般人といっても情報局の職員で、恐らくテロリストに近いことをして服役もして祖国の英雄とたたえられている人の息子なのですから、この件に関しては全くの普通の人とは言えないわけですよね。あと、イスラエルという国が恐ろしいことをしているかどうかと選択肢の有無は直接関係がありません。

    >権力の怖さってむしろそういう目に見えないプレッシャーなんじゃないでしょうか。

    この映画における目に見えないプレッシャーというのは権力から来るものより、主人公の出自にまつわる信念から来るものの方が大きかったような気がしたのですが、それも権力の一部なのでしょうか?

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/18 by 椎茸

    困ってしまうと言われても僕はそう解釈しているので困ってしまいます‥(笑)
    >そもそもがユダヤキリスト教的な考え方では、全ての人間には自由意志はあると言うことになっていますので、その有無は解釈以前の前提で、どう言う状況に置いても有るのです。
    これに関しても根拠としては不十分だと思うし、前提がそうだからなんて言われても僕は自分が感じた見解を感想として述べさせてもらってるので、こう言いきられると元も子もないです。
    プラス、あのケースの場合はどんな解釈をしても正しいと言えませんかね?
    なぜなら人間の心情と立場の問題を僕は一つの解釈として述べたつもりだからです。
    拘束や拷問を受けてないのだから選択の余地があったというのも、それはBaadさんの解釈として尊重しますし、僕はただそうはとらなかったというだけですよ。

  • 解釈ではなくて用語を正しく使っていないと言うことです。

    2006/03/18 by Baad

    >>そもそもがユダヤキリスト教的な考え方では、全ての人間には自由意志はあると言うことになっていますので、その有無は解釈以前の前提で、どう言う状況に置いても有るのです。
    >これに関しても根拠としては不十分だと思うし、前提がそうだからなんて言われても僕は自分が感じた見解を感想として述べさせてもらってるので、こう言いきられると元も子もないです。

    どうも全く意味が通じていないようなので困惑します。
    こんれにかんしては、辞書を引いていただければ充分だと思います。
    あなたの自由意志と言う言葉の使い方は間違っているので、別の言葉を使わないと意味が通じないと言うことです。

  • 質問および私の見解はこちらのほうです。

    2006/03/18 by Baad

    > 拘束や拷問を受けてないのだから選択の余地があったというのも、それはBaadさんの解釈として尊重しますし

    そういう解釈はとっていません。自由意志による選択という事で言えば語義的には選択の余地があった言わざるを得ない場面だといっているのにすぎませんし、私はこの件に関しては私の解釈はまだ述べていません。総合的に見てあの場面では受けるしかなかっただろう、という解釈は有りだと思いますし私もそう思っています。

    >この映画における目に見えないプレッシャーというのは権力から来るものより、主人公の出自にまつわる信念から来るものの方が大きかったような気がしたのですが、それも権力の一部なのでしょうか?

    で、私の聞きたかったのはこちらの方。家族関係や民族的な考え方から来るプレッシャーも国家権力の一部だと椎茸さんは考えるのでしょうか?ということです。

  • Re:

    2006/03/18 by 椎茸

    >主人公の出自にまつわる信念から来るものの方が大きかったような気がしたのですが、それも権力の一部なのでしょうか?
    >家族関係や民族的な考え方から来るプレッシャーも国家権力の一部‥
    スミマセン、今一質問の意味が掴めなかったんですけど、もう少し分かり易く質問の内容を教えていただけませんか?
    権力の一部とは何をさして言ってらっしゃるのですか?

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/19 by Baad

    > スミマセン、今一質問の意味が掴めなかったんですけど、もう少し分かり易く質問の内容を教えていただけませんか?
    権力の一部とは何をさして言ってらっしゃるのですか?

    まず、この質問は3月17日の私の書込から続いているものだというものをふまえて、その書込の椎茸さんの文章の引用から続けて読んでください。

    *****
    >権力の怖さってむしろそういう目に見えないプレッシャーなんじゃないでしょうか。

    この映画における目に見えないプレッシャーというのは権力から来るものより、主人公の出自にまつわる信念から来るものの方が大きかったような気がしたのですが、それも権力の一部なのでしょうか?

    *****以上引用終わり。

    出自については辞書を引くこと。

    「家族関係や民族的な考え方から来るプレッシャー」というのは主人公の家族関係で、それについても同じ日の書込の上の方に書いてあります。
    つまり、国家的な英雄の息子である、とかイスラエルで育ったユダヤ人である、ということから来るプレッシャーも国家権力による見えないプレッシャーに含まれると椎茸さんは考えているのですか?という質問です。

  • Re:スミマセン返事が遅れました

    2006/03/21 by 椎茸

    スミマセンいまだに質問の意味が分かりません(笑)
    一つ一つの言葉の意味は分かっていますよ。
    >出自については辞書を引くこと。
    これは正直カチンときたんですが、出自の意味は十分承知しております。
    >国家的な英雄の息子である、とかイスラエルで育ったユダヤ人である、ということから来るプレッシャーも国家権力による見えないプレッシャーに含まれる‥
    この質問の意味がどうしてもよく分からないんですよね。
    要するにBaadさんは主人公は信念または英雄の息子であるが故の愛国心とか誇りで自ら権力者の指令に従い行動したんだ、と解釈なさってますよね?
    別にそれはそれで当たってると思うし、英雄の息子だとかそういう事は事実なのだから主人公の中に何かしらのユダヤ人としての誇りなり愛国心があるのは当たり前だと僕も解釈しています。
    でも僕が言いたいのはそういう事も内包しつつ、一方で権力者によってやりたくもない暗殺を依頼されたんじゃないのか?それによって主人公が少しでも心に負担を覚えたのなら、その時点で選択肢などあるわけが無く、僕が冒頭で言っている異常な事態があったんだという解釈に繋がるわけです。
    Baadさんは、その僕の見解に対して「そういう異常な設定はなかったように思う」と初めに述べて、このやり取りが始まってるわけですが、単に解釈の違いなんじゃないですか?
    それとBaadさんはど〜もこの主人公を特殊な人間として捉えたがってる様に思えるのですが、僕は彼が依頼以前までは人を1度も殺した事が無いという時点で、彼を一般人としてこの場合捉えても良いと感じました。
    要するにプロかプロじゃないか?という点において彼の背景は関係ないと僕は採ったって事です。

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/21 by Baad

    >>国家的な英雄の息子である、とかイスラエルで育ったユダヤ人である、ということから来るプレッシャーも国家権力による見えないプレッシャーに含まれる‥
    >この質問の意味がどうしてもよく分からないんですよね。

    この質問は椎茸さんの、

    >権力の怖さってむしろそういう目に見えないプレッシャーなんじゃないでしょうか。

    を受けてのものでして、ようは、そういう目に見えるプレッシャーが具体的になんであるか判らなかったのでこの質問をしたわけです。

    > でも僕が言いたいのはそういう事も内包しつつ、一方で権力者によってやりたくもない暗殺を依頼されたんじゃないのか?それによって主人公が少しでも心に負担を覚えたのなら、その時点で選択肢などあるわけが無く、僕が冒頭で言っている異常な事態があったんだという解釈に繋がるわけです。

    ということであれば、そこが椎茸さんと私の解釈の違い、ということで納得できます。

    私自身は主人公自身が情報部の職員で、指令も情報部からのもの、という時点で主人公は一般市民とは違うし、むしろ徴兵などよりは選択肢があるという意味で特権性(一般市民よりはより大きな選択肢)を持っている人だと思いますので、選択の余地がなかったにしても、椎茸さんのおっしゃるようなやりたくもない依頼を強いられているという要素はこの国では誰にでもあり得る徴兵などと比べれば考慮する必要がないほど薄いのではないかと思います。

  • Re: 権力の怖さ

    2006/03/21 by 未登録ユーザ ヘビメタさん

    椎茸さん、Baadさん、こんにちは。
    横槍を入れるのは恐縮なんですけど、お二人ともすごくちゃんとした論客だし、泥沼って欲しくない気持ちもあって、僭越ながら書き込みをさせていただいました。

    1.Baadさん
    >出自については辞書を引くこと。
    っていうのはらしくないな。誰でもそんな言い方をされれば気分を害しちゃうし、自らの理論を端的に、しかし丁寧に説明するいつものBaadさんらしくないよ。


    2.椎茸さん・「やもなく指令を遂行せざるおえない状況」だったか?

    (1)確かに現実ではプレッシャーが介在したかもしれない
    とは言えですね、総論としてはじつは僕はBaadさんに親和的なんです。権力…確かに国家的な意思が介在しているし、もしスポットを最初の決断に置いたなら、「権力」の持つ傲慢さ、醜さ、恐ろしさなどを論じるべきかもしれません。それに、現実の主人公は権力によるプレッシャーを受けていたことも多分に考えられます。

    (2)でも、映画からは読み取れない
    しかし、やはり「この映画において」は、権力による選択の強制があったとの描写はなかったのではないでしょうか。Decide by tomorrow, if you can't make up your mind in one night, you'll never make itという軍の上層部の発言は、まさに「お前が自由意思で決めろ」と言っていると思うのです。主人公が首相の期待に応えたい、との想いがあったとしても、それは権力によるプレッシャーではなくて単なる「動機」だし。

    (3)むしろ内的要因では
    そうであれば、彼の決断と遂行の背景には「権力から来る畏怖の念」ではなくて、「国に対する愛国心」(組織への忠誠心という視点は、Papaとの会話でも出てきましたが)や、「モサドとしての職業的誇り」、あるいはそれまで数多くの犠牲の上にHomelandを手に入れた「ユダヤ人としての信念」があった、と考えるべきではないでしょうか。確かに主人公の決断は「必然的」ではあるんだけれども、しかしそれは彼の内心によるところであって、あくまで「自由意思」と呼ぶべきもので、(権力という)外的な圧力(プレッシャー)によって判断を拘束されたとはいえないと思うのです。あくまで、映画の中の主人公は、という話ですが。


    3.椎茸さん・主人公は一般人?

    (1)諜報機関員の日常
    これ、確かに難しいところですね。現実にも、KGBやCIAの工作員といっても、実際に発砲したことのある人はほとんどいないのだという話を読んだことがあります。実際にそうした「諜報機関」がやる仕事というのは、情報の売買だったり、産業スパイだったりして、ジェームスボンドみたいな肉体労働(笑)はほとんどやらないみたい。そうだよね、そんなことが頻繁に行われていたら、大問題になるもんね。

    (2)主人公は比較的普通の感覚の持ち主だった
    なので、主人公は平気で人殺しをするような神経の持ち主ではなかったし、職業的暗殺者のような異常な日常を繰り返していた人物ではなかった、その点に僕は同意します。

    (3)「ごくごく一般的な人」か
    でも、やっぱり「モサド」の構成員を一般人と呼ぶのには抵抗があるんですよね。主人公もまさか特殊な訓練も受けずに暗殺任務に配属されるとは思ってなかったと思うのですが、首相警護の職(SP)を務めていた訳だし、彼が冗談でエルアル航空の警護(エルアル航空は現在でも数名の武装警護官を載せています)ではないみたいですね、という台詞からは、少なくとも銃火器を日常的に使う仕事に従事する人間であったことは推測されますし。特にモサドってのは、旧ナチスの戦犯なんかを南米から拉致して連れ帰り、自国の裁判にかけるような強硬派であることも併せ考えると、やっぱり主人公は人を殺したことがないとはいえ、「一般人」と言うよりは「特殊な人間」といった方がいいんじゃないかな?

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