ブロークバック・マウンテン (2005) »レビュー

ゲイの目線

100点 2006/05/10 by 未登録ユーザ ゲイリーマンのカミングアウト的思考

ブロークバック・マウンテン

女性と結婚をしたゲイはこの映画をどのよう見るのだろうか。
耐えられるだろうか。
ゲイである俺にとっては最悪の人生の選択の結果をみせられているようで、辛さでいっぱいになった。ちょっと間違えば、俺自身だってそのような生き方をせざるを得なかった。本当に堪りません。悲しみで叫びだしたい気分を押しこらえてボロボロ泣き続けました。

「偽装結婚なんて信じられないな〜!」といったところまでゲイライフの幸せを追求し始めている最近の日本の若者たちには、立場も環境も違いすぎて共感できないなって人も多いと聞く。それを聞いたとき、その奔放な感覚こそ次の世界を切り開くのだろうと心強く思う。
でも、現実、結婚しているゲイも多数いる。彼らを思うと、また切なくなる。自分の人生をゲイとして生きていけるのかと悩んでいる若者は多しこれからも続く。迷っている若いゲイに是非見ておいてほしいと思った。
今でもゲイであることで殺されるかもしれないアメリカにおいてこのような作品が出来、アカデミー賞レースにまで持っていけ、世論に問いかけた、本当にすごい意味があること映画だと観て改めて思った。今だからやっと、この昔話を作ることが出来た。だけれども状況はまだまだ変わってはいない。

以下ネタバレ注意!
自分の旦那が、実は自分を愛しているのではない。奥さんの苦悩。女性との不倫であればまだ救われるのに?何故に同性なの?勝負も出来ないわけ?そんなことを思ったに違いありません。

イニスの奥さんの苦悩は、見てられないものでした。本当に辛いです。寡黙な旦那が、数年に一度の楽しみの釣り?に嬉々と出発準備する様子、旦那の彼から山の写真の絵はがきが届く、すべてを知っている彼女にはもう堪らない気持ちになったでしょう。その小さな叫びを釣り糸の先につけていたのに・・・。

ジャックの死ははっきりしないものの、多分イニスの不安どおりだったのでしょう。遺族たちの様子を見ればその不安は募るばかりです。なんてことを・・・。
イニス、ジャック、二人の奥さん、家族、子供たち、両親、皆が皆辛いのです、切な過ぎる。
今日一日、ネットで感想を探しつつ、思い出しては震えが戻ってきました。辛くて泣きそうになります。前半は単調でゆっくりで2度とは見たくないなあ、なんて思ったりするのですが、後半からは息も出来いつらいストーリーが押し寄せてきます。今を思えば、前半の展開も分かるような気がしてきます。彼らが仲良くなる過程も唐突なのですが、それも後で見れば・・。

後を引く映画です。ブロークバックマウンテンのころが人生で一番幸せだった・・血だらけの2枚のシャツ・・イニスの娘との会話・・最後の一言・・思い出しては涙ぐむシーンの数々。細かな情緒溢れるシーンが見終わった後も次々思い起こされます。

単調と思えていたものが終わってみれば、また見直したいと思うのです。描かれているわずかな心の機微を見直したくなるのです。

ネットで見つけたコメントで感銘を受けたものがありました。

「正直に生きるということは大変なことだけど、とても大切な事なんだと改めて感じた。ごまかしとかじゃなくてちゃんと人を愛せる人間になりたいです。人を騙し、自分を騙して生きるって・・せつな過ぎるね」

私たちは自分自身をもっと大切にして生きて良いし、また大切に生きていかねばならない

 

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  • Re: ゲイの目線

    2007/05/09 by ごろにゃん

    > 私たちは自分自身をもっと大切にして生きて良いし、また大切に生きていかねばならない
    本当にそのとおりだと思います。自分に嘘をついているから、イニスは、アルマを素朴で可愛らしい新妻から恨みに満ちたイヤな女にしてしまい、キャシーを泣かせ、ついには最愛のジャックさえ永遠に失ってしまう。
    ジュニアが、家に居辛い、パパと暮らしたい、とおずおず訴えるシーン、お父さん子だしイニスに外見も性格も似ているジュニア、あ〜当たられてるんだな、と切なくなりました。養育費にしても嫌がらせでは?と思えるし(再婚相手の方がよっぽどお金あるじゃない)
    これが「彼はお前を愛してるのか?」の台詞につなるんですよね。「居場所が無いから結婚するのか(俺のように)?」と言いたいところ、不器用なイニスが娘への精一杯の愛情を表す台詞。そして娘も輝くような笑顔で「ええ愛してくれてる」と返す。娘は親のようには生きないだろう、もっと率直にたぶんイニスの得られなかった幸せをつかむだろう。そして多分世界中で誰よりもイニスを理解し愛している。結婚生活は不幸だったけど、娘のおかげでイニスは孤独ではない。
    こことか、感謝祭のジャックの家とか、原作に無いけどとてもいいシーンがたくさんありますね。20年の物語を短編にした原作も素晴らしいけど、映画化するに当たって残すところ、変更するところ、つけ加えたところ等脚本が実に見事だと思います。
    主人公が身勝手だ、不倫だと言う方が多いのはわかりますが、ではどうすればよかったのか?貧しく教養もなく親兄弟にも恵まれず、相談できる人もいない。
    4年間も我慢し続けた訳でしょ。
    二人にしてみれば精一杯の努力だったはず。本当に愛してるならリンチなんか恐れるな!なんてレビューもあったけど、生命の危険がある時、普通の人間がそんなに立派になれますか?
    この切なさ、やるせなさは、どうすることもできないから。後半は本当に辛すぎてたまらなかった。
    作者は大勢のカウボーイから「私はイニスだ!」という手紙をたくさん受け取ったそうです。
    私はストレートの女性ですが、ずっと同性愛の方を応援しています。小さい頃から好きな作家に同性愛の方が多い、ということもあり、内側 心から知ったからではないかと思います。
    私事ですけれど、以前アジアの男性と結婚していたのですが、好奇の視線、失礼な質問等さんざん嫌な思いをしました。けれど、少なくとも法律的には一緒になれたし、暴力におびえたりもしなかった。
    どうか「まともな私にはわからない、関係ない」で片付けないで、少しの想像力を持ってください。同じ教室、同じ職場にこんな思いをしている人がいるかもしれないのですできたら、マシュー・シェパードさんのサイトなども見てください。イニスとジャックが幸せになれる世界では、他の人も幸せになれるはず。世界は変えられる。

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