ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (2005)
»レビュー
今回はノミネートだけでよし
2006/02/25
by
倉島穂高
ゴールデングローブ賞受賞、アカデミー賞ノミネートの朗報に、ついに愛するホアキンのたぐいまれなる演技力が広く知れ渡る時が来たのだなと感無量でした。欧米ではどうか知りませんが、日本では名前もリバーの弟だということもほんっっっとに知られてなかったもんなぁ……私はアカデミー賞(特に主演賞)の基準を信用してませんが、あの賞をとっておけばその後のオファーは数量ともに確実に増えますから、選択の幅が広がるでしょう。ホアキンの場合、もうちょっと知名度が上がってもよいと思うし、年齢的にもちょうどいい時期のノミネートかもしれません。魂を奪われるほどのファンになったのは『クイルズ』以降ですが、私は『バックマン家の人々』の頃からかれこれ16年も彼に目をかけてきたんだもの、まるでわが子の快挙のように嬉しいです♪
しかし受賞は次の機会でいい(なんて、私が決めることじゃないけど)。この映画ではホアキンの実力の一部分しか見えないと思うから。彼の才能と役作りにかける情熱をもってすれば、近年の実在の人物を演じることなど難しいことではないし、彼は他のきょうだいともども子供の頃から音楽の英才教育を受けているはず。役柄も彼自身のプロフィールにオーバーラップする点がすごく多い。物まねと歌唱力という目立つ要素で評価を得たと思われるのは長年のファンとしてちょっとシャクな気がするな。ジョニー・デップのように、ノミネート後はもっとメジャーな(しかし内容はよい)作品に出て知名度を不動のものにし、実力に磨きをかければオスカーを手にする日もそう遠くはないでしょう。ってなこと書いて今回受賞しちゃったら大マヌケだな……でも去年の受賞者が『レイ』のジェイミー・フォックスだということを考えると、今回は別路線に行くんじゃないかな。
それにしてもあの腹にずっしり響くような低い歌声にはびっくり。聞き慣れた地声とは全然違うんだもの。あの声を聞いただけで、彼が演技の才能にものを言わせるだけでなく、ものすごいトレーニングを積んだことがわかります。
リース・ウィザースプーンの好演は特筆ものです。私は彼女の顔が好きではないので今まであまり高く評価してなかったのですが、今回はみごとに役柄にはまっていて文句ありません。アカデミー主演女優賞は彼女が本命ではないかと思います。歌声も実に伸びやかでノリがよくていいですね。ホアキンの声とのコラボも最高で、デュエットだと両者の声が倍くらい生き生きとして聞こえました。
よく引き合いに出される『レイ』も遅ればせながらDVDで観てみました。確かにいろんな意味で似たところがありましたが、作劇のテクニックとしては『ウォーク・ザ・ライン』のほうが優れていると思います。幼少時や軍隊時代のシーンがその後の伏線としてちゃんと生かされていますからね。
このレビューに対する評価はまだありません。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
-
ホアキン・フェニックスの演技力
2006/03/02 by
むぎわら帽子のジミー
私は倉島さんのマイページある「ホアキン・フェニックスとイ・ビョンホンの演技力は世界一」という書き込みを読み、その評価を意識しながら本作を観ました。たしかによかったとは思います。ただ、トップクラスとまでは言えるかどうかはわからんかな...という感じでした。
ところが、帰ってきてから調べて驚いたんですが、彼は「炎のメモリアル」の主役の消防士を演じていたんですね! これは、本作のジョニー・キャッシュとはまったく異なる印象のキャラクターでした。スティーブン・セガールのようにキャラ作りをしない俳優もいるので、一概にそれがいいとは言えないかもしれませんが、 "演じ分け" という点では、たしかにホアキンの演技力はすぐれていると思います。 -
はい、まさにそこが世界一と思うゆえんです
2006/03/04 by
倉島穂高
ホアキンの出演作のほとんどすべてに同じことを書いてきましたが、彼の知名度の低さの原因は、あまりにも完璧に役柄を演じ分けてしまうせいだと思っています。同じタイプのカメレオン役者であるジョン・タトゥーロ、ジュリアン・ムーア、ケイト・ブランシェットなども映画ファンからの評価は高いですが一般的な知名度はかなり低いですよね。名を知られた大スターになるためには、何を演じてもキャラクターを通してギラギラと光を発する「俺様オーラ」が不可欠なんでしょう。かてて加えて、ホアキンみたいな濃い顔は日本人ウケしないし(^^;)
ジミーさんが驚かれたように、彼の実力はいくつかの出演作を見比べるとわかります。特に同じ2000年の公開作『グラディエーター』と『クイルズ』と『裏切り者』を立て続けに観てみれば、アカデミー主演男優賞もぶっとぶほどの演技力に誰もが驚嘆するに違いありません。『誘う女』のバカ高校生役も迫真です。「千の仮面を持つ青年」の名を進呈したい。そして私はそのように優れた演技力を見せてくれる役者のほうが、俺様オーラを持つ役者よりも好きなのです。
今回のノミネート&受賞を機に、彼に興味を持つ人が増えると嬉しいですね。 -
Re: 今回はノミネートだけでよし
2006/03/09 by
むぎわら帽子のジミー
倉島さん、レスありがとうございました。ホアキンの他の主演作では「誘う女」だけ観ていますが、もうほとんど覚えていないのです。旧作上映などで観る機会があれば、積極的に彼の作品をチェックしていこうと思っています。
で、アカデミー賞の話なんですが、「ホアキンはノミネートだけでよく、リースが本命」というのは的中しましたね。おめでとうございます! ただ、私としては、ノミネートだけで終わるのと、オスカーをゲットするのとではぜんぜん違うと思っているので、残念に思いました。
ひょっとしたら、今回は受賞タイトルがけっこうバラけているので「リースにあげるからホアキンはおあずけね」ということになってしまったのか? ウーム... -
まだ31歳ですもんね
2006/03/12 by
倉島穂高
ジミーさん、jeuさん、ホアキンを高く評価してくださってありがとうございます。私がお礼など言う筋合いではないかもしれませんが、もう嬉しくて嬉しくて。
自慢じゃありませんが、私は自分のブログでは「主演男優賞はフィリップ・シーモア・ホフマンが本命」と予言しておりまして、それも的中しました。主演男優賞候補者はホアキンしか観てないのですが、さまざまなメディアで各映画の紹介文を読み、「あのホフマンが主演してはまったのなら彼に行くな」と思いました。ホフマンも個性的なバイプレーヤーでたくさんの作品に出ている人です。ホアキンともども、助演賞タイプの役者なのですが、最近は主演作がかなり多くなってきているホアキンと違って、たぶんメジャーな主演作は『カポーティ』が初めてじゃないでしょうか? それで実在のカポーティそっくりに化けちゃったのなら、ホアキンのジョニー・キャッシュよりインパクト強いに違いありません。主演賞は時として一発屋的な当たり役にもたらされることもある賞なので(もちろん、ホフマンは実力のある役者で一発屋なんかではありません)、ホアキンのように安定した実績を築きつつある役者の場合はもっと突出した役柄を演じないととれないと思います。
主演女優賞については『プライドと偏見』『スタンドアップ』と見比べて、明らかにリースの演技が頭ひとつ抜きん出ていると感じました。
私はどちらかというと、ホアキンには助演賞をとってほしいんです。今年みごとゲットしたジョージ・クルーニーだって、主演級のスターなのに助演賞ってところが渋くてカッコよくて、本当に実力つけたんだな〜って感じがしません? ただの思い込みかもしれませんけれど。ホアキンなら向こう10年くらいの間にきっととれます。
そういえばジミーさん、『ホテル・ルワンダ』をご覧になったのですね。ホアキンがちょっとだけ出ていたのに気づかれました? -
完璧すぎるのも問題か...
2006/03/16 by
むぎわら帽子のジミー
倉島さん、レスありがとうございます。
>そういえばジミーさん、『ホテル・ルワンダ』をご覧になったのですね。
>ホアキンがちょっとだけ出ていたのに気づかれました?
いいえ、もちろん気づきませんでした(笑) 知ったのは、翌日公式サイトを見たときです。彼が演じたのは、前半のバーのシーンで、となりの女性にフツ族かツチ族かをたずねていたヒゲ面のカメラマンですよね? もうね、昔話に出てくるタヌキやキツネじゃあるまいし、あんなに完璧に化けられたら、わからんですよ(←これはホメ言葉です)。
しかし、完璧すぎるのも問題があるようですね。結局このケースだと、ジョニー・キャッシュの生き様や、命を賭けて消火活動する消防士の活躍や、「恥ずかしい」というセリフを残して立ち去ったカメラマンは観客の心に残るけど、ホアキン・フェニックスという俳優は認識されないわけです。私も、倉島さんの書き込みを読まなければ素通りしていたと思います。私はどちらかというとルックスよりも演技力を堪能したい方なので、ホアキンのような俳優には好感が持てるのですが、世間でなかなか評価されないのは残念。そういう意味でも、やはり彼にオスカーは必要だったかと思うのですが...
ところで、ホアキンの他の出演作を調べたんですが、シャラマン監督の二作品は観ています。ただ、一回ずつしか観てないので、どの役をやっていたのかは見当が付きません。あと「Uターン」も観ていて、これはDVDを持っていますが、いま手元にないので確認はできないです。ただ、彼が出演しているとすれば、おそらくクレア・デーンズが演じた少女の恋人役ではないですか? -
ホアキン話はつきない
2006/03/23 by
倉島穂高
『サイン』ではメル・ギブソン牧師の弟の元マイナーリーグ三振王。『ヴィレッジ』ではシガニー・ウィーバーの息子にして盲目のヒロインの恋人の寡黙な青年。『Uターン』は正解です! どの板でもホアキンに言及したレビューを書いておりますので、お目よごしにどうぞ。
ホアキン自身はおそらく、世間的な知名度が上がることなど望んでいないと思います。「真に愛する相手が見つかったら役者を辞めてもいい」と言ったとか言わないとかいう情報もあるくらいで。向こうのフィルムメーカーたちはホアキン・フェニックスという役者の真価を知っています。だから大ヒットはしなくても主演作が次々と作られるのだと思います。バカなのは知名度しか尺度を持たない日本の配給会社。『ホテル・ルワンダ』だってヘタすりゃ日本未公開に終わりかねなかったのですからね。ホアキン主演作もいくつか未公開のままなんですよ。確かにオスカーをとっていれば、それらの公開は無理でもDVDは出たかもしれません。それはちょっぴり残念。でも検索エンジンでのヒット数もここのところ格段にアップしました。やはりアカデミー賞ノミネートにはそれなりの効果があったと思います。
返信を投稿
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.












