ショコラ (2000)
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ファンタジック(レビュー投稿200本目)
2008/05/16
by
牧坂満
宗教への誘い文句に、倫理の観点から世の中を批判して、清く正しく美しく生きることに共鳴させるところがありますが、人間の世界は多少の猥雑さを含んだ混沌としていた方が落ち着けるのではないでしょうか。「ショコラ」は雪が舞う寒風吹きすさぶフランスのある村に、赤いコートを纏った母娘が流浪の果てに訪れるシーンから画面に引きずり込まれます。
監督のラッセ・ハルストレムと「シッピングニュース」でも組んだ脚色担当のロバート・ネルソンは「シッピングニュース」とは逆の心温まる映画の一端を担ってくれました。撮影のロジャー・ネルスン・ジェイコブズは「ハリーポッター・シリーズ」のファンタジックな映像で有名ですが、私個人としては「フランケンシュタイン」の映像が印象に残っています。そのカメラが美しく冒頭の水面から高台の村を俯瞰するアングルは秀逸でした。この場面以外でも一枚の絵画を感じさせられますが、このプロローグの村は閉鎖的な雰囲気を出すために退色していますが、ラストシーンでは村全体の屋根の色が黄色に染まり春の訪れを感じさせてくれます。
人と違った思想信条を持って行動すれば、孤立無援に陥り、疎外感を味わいます。学校におけるイジメ問題などもこれに起因することが大ですが、「ショコラ」はそんな風潮をも描いています。ヒロインのジュリエット・ビノシュと互角に渡り合った「ポネット」の天才少女、ヴィクトワール・ティヴィソンの名演技には心を奪われますが、精神異常者扱いをされていたレナ・オリンがヒロインの母娘たちと交流することによって、自己を確立して自立していく変移も見事でした。もう一組の家族で母娘を演じた、007のM役のジュディ・リンチは文句なしの重厚な演技、娘役のキャリーアンモスの気品ある美しさにハートを射抜かれますが、インディペンデント・スピリット映画祭で助演女優賞を取得した本格派でもあるのです。
主観が入ってしまいますが、秋田県南部の有名企業に勤務されている某・社長秘書さんを彷彿とさせられてしまいました。ジョニー・デップを含んで名優たちの競演は、テレビタレントたちの共演による学芸会「蒼き狼・地果て海尽きるまで」のような邦画界へのアンチテーゼでもあります。
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