夕なぎ (1972) »レビュー

焦がれてはいない

70点 2008/04/24 by アキラ

なかなかスプラスティックで楽しい三角関係モノでした。そもそもトリュフォーが目指した行動主義的な娯楽路線って本人の作品よりも長らく脚本家として強かに作劇術を学んだラプノーやこのソーテみたいな監督の方が的確に実践しているように思えます。特にこの作品は表面的な事件の連続ってよりも三人の対立関係がそれぞれの行動によって目紛しく変化して、その事によって更なる話のギミックが生まれるという根本的な所から行動的かつ流動的な展開を見せてくれます。やはり三角関係モノはこれ位サクサク関係を変化させなければ面白くはなりません。敵対したり仲良くなったり嫉妬したり失望したり。何を許せて何を許せないのかという波紋だけでも確実に人物を暴く。それこそがかつてヌーベルバーグの作家陣が目指した娯楽フォーマット。

コブ付き美女ロザリーと献身的に彼女を愛する初老の実業家セザール。ちょっとした手違いからロザリーに再会して再び恋心を抱く彼女の元恋人ダビッド。彼はマンガで稼ぐ好青年。過去の別れを引きずった彼女は再び彼を愛する気にはなれないが、セザールの態度で気に入らない事があると昔の友達に相談する感覚でダビッドに会ったりもしていた。それに嫉妬したセザールがダビッドにロザリーを諦めさせる為に彼女の為に人を殺したとか近日中に結婚するとハッタリかますと、それを知ったロザリーは彼の嘘に激怒。彼を捨てダビッドと逃げる。恋人を盗られて怒り狂ったセザールもまた激怒し彼らをしつこく追い回す。そんなこんなの珍騒動の中に見えるのはそれぞれに自立した意思。恋い焦がれてはいない。ただ単に物足りなくなってしまう。セザールは、そんなロザリーを思いやるが故に詮索し過ぎ深読みし過ぎてしまう。彼女が求めたのはもっとシンプルな生活。

 

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