グッドナイト&グッドラック (2005) »レビュー

時代を撃つ映画でありながら、娯楽作品でもある!

90点 2006/06/05 by 未登録ユーザ Handara Yabanye

グッドナイト&グッドラック

いや、観てよかった。たしかにあまりお金をかけた大作ではないし、あら捜しはできるかも知れない。
でも、今、この時に、この作品を創り、「アメリカの自由」の中身を問い、軌道修正を訴えるクルーニーの凄さ。
でも、メッセージ性もさることながら、ちゃんと娯楽作品にもなっている。本番前のスタジオの慌しさは「E.R.」を思い出させる仕掛けがある。やたらと煙草を吸い(マーロウの死因は肺癌)、女性は使い走りのような仕事、アフリカン・アメリカンは歌い手のダイアンと、上院の査問を受ける記録画像の女性アニーだけ(でも、日本の企業もそうだった。うちの会社も社内結婚したらどちらかが辞めなければならなかったそうだし)。バラカンさんも言っているけれど、スラングだらけの現代アメリカ口語でなく、はっきりとした発音の耳に快い英語。
しかも、極端なマッカーシズムがあった一方で、勇気ある正論も生きていた時代だとクルーニーは言いたいのだろう。それは父へのオマージュでもあるかもしれない。加えて、ダイアンのバックバンドに故・ローズマリー・クルーニーのバンドメンバーを起用したことは、叔母へのリスペクトも作品に含まれているということだろう。
「赤狩り」がぴんとこないという話もあるけれど、いまや日本は同じような状況になりつつある。赤狩りの犠牲者にはスイスへの「亡命」を余儀なくされたチャップリンもいる。軽井沢生まれのカナダ人外交官・ハーバート・ノーマンは故・都留重人氏と接触があったためにマッカーシズムの標的となり、ホレンベックのように自殺した。
ロバート・ダウニーの役どころがぴんとこないというのは、たしかに観ただけではそうかも。実は、演ずるJ.ワーシュバ氏はマーロウと過ごした時代の回顧録を著し、今回、作品の考証を手伝っているそうだ。クルーニーが敬意を払ってキャスティングした結果だろう。
ところで、ちょっと調べたら、冒頭と最後のRTNDAでのマーロウのスピーチ、実はもっと長いのだけれど、なされたのは1958年10月25日ではなかった!ここにもクルーニーの「悪戯」が潜んでいる?

 

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