カポーティ (2006)
»レビュー
素晴らしい
2006/10/19
by
浪花のロッキー
フィリップ・シーモア・ホフマンがおそらくオスカー狙いの野心マンマンで
気合十分に取り組んだ力作ですね。テーマも演出も演技も脚本も、
いい意味でりきんでいるのがびんびん伝わってきて見応えたっぷり。
抑制がきいて成熟した、シリアスな大人の映画というスタンスの向こうに、
俺たちで一丁すげえ映画作ろうぜと頬を紅潮させ(小さな)目を輝かせる
ホフマンら制作陣の情熱が仄見えるようで、非常に好感が持てます。
何よりもやはりホフマンのパフォーマンスの素晴らしさでしょう。
カポーティという一癖もフタ癖もある素材に溺れることなく距離を保ち、
突き放した批評的な捉え方で臨んでいながら、存在感と演技力で
陰影に富んだカポーティ像を丹念に説得力十分に築き上げています。
なぜ「冷血」の後は一作も書けなくなったか…作家故の苦悩や葛藤、
罪悪感に対する鮮やかで容赦ない断罪はカポーティへの非難ではなく、
それも含めて全部カポーティなのだという作り手の複雑な共感でしょう。
処刑直前のヒコックがカポーティに笑顔で話す「その後」の話が
生半可なホラーより恐ろしくて後を引きます。どう答えていいか
分からずにグニャグニャに歪むカポーティの表情を見れば、
まあホフマンのオスカーは当然だろうなあと。見事な演技です。
いやあしかし、重くて辛い話なのに見終えたときのこの充実感と
幸福感はどうだろう。映画を見る醍醐味ってこういうことだよな。
今年のベスト5に入る素晴らしい作品です。未見の方は是非ご覧下さい。
3人がこのレビューに共感したと評価しています。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
返信を投稿
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.









