トム・ヤム・クン! (2005)
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象を返せ!
2008/03/13
by
キルゴア
素晴らしいの一語に尽きます。
アクション映画で大事なのは、「主人公の動機づけ」です。まあ、わかりやすく言えば「敵をブッ殺してもかまわない言い訳」ですな。
古今東西のいろんな映画が「復讐」だとか「正義」だとかたくさんの言い訳を使ってきたのですが、だんだんとその手の言い訳は使い古されて効き目が薄くなってきた訳です。
早い話が、今インディアンを虐殺する映画を作れば主人公の方が悪者にしか見えないでしょう。
かといって「僕たちは戦う必要はないんだ!」なんてヌルイ昨今のアニメみたいなことを言ってたら、そもそもアクション映画は成立しません。
そこで象ですよ、象!
「象を取り返すために戦う」
完璧です。
これ以上ないほどにタイトかつストレートな動機づけです。
象原理主義者にとって、必要なセリフは「象はどこだ!」のひと言のみ。
作戦などという小賢しいものは必要ありません。
常に正面から堂々と。
話し合い? そんなものは存在しません。
そもそも言葉が通じません。
行く手に立ちふさがる敵は、すべて殴り、蹴り、折り、砕くのみ!
敵のマフィアにもいろいろお家事情があるようですが、そんなことを気にしてる余裕もありません。
助けてくれた女の子や売春させられている女性にも目もくれず「象はどこだ!」
素晴らしすぎます。
普通なら、これだけ敵を倒すと「この人たちにも家族はあるだろうに」なんて敵もかわいそうに思えたりするもんだけど、この映画に限ってはそんなことはありません。
なんたって、敵は象を殺したんですよ! 象を!
倒された敵が死のうが怪我しようがマイペンライ。
「人の命は地球より重い」なんていいますが、タイでは「象の命は人より重い」のですよ。
殺れ! トニー! 殺っちまえ! という観客の祈りが届いたかのように、トニー・ジャーがまるで人間ターミネーターのように暴れまわってくれます。
「マッハ!」ではやや曲芸めいた部分もあったトニーの技が、今回は関節技を取り入れて痛さも殺傷力も倍増。
生身でのキルビルかマトリックスかというバトルもすごいし、ムエタイ対カポエラなんちゅう梶原一騎先生のマンガでしか見たことのないようなバトルも見られておなかいっぱい。
最高の一本です。
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