鉄コン筋クリート (2006)
»レビュー
街並がなぜか懐かしい
2007/02/10
by
Baad
年末からつい最近まで、ほとんど映画間に行く時間がとれなかったので、この映画はロードショー最終日に滑り込みで見ました。
年が明けてからの鑑賞でしたが、去年見ていたらベスト5には絶対入れていた作品です。
原作は読んでいませんが、とにかく素晴らしかったです。とくにアニメーションの動きに関してはこれより素晴らしいかもしれないと思った映画は2本ぐらいしか思いつきませんでした。(ディズニーの「白雪姫」と60年代に東映が製作した日本神話のスサノウノミコトを題材にしたアニメ映画です。)
物語的な部分に関しては既に書かれている方が大勢いらっしゃいますので控えておきますが、それ以外で素晴らしかったのは街並と時々挿入される水中シーンの映像でした。
街並は関西の下町の商店街やかつての香港のタイガーバウム・ガーデン、横浜の黄金町とか中華街等を連想させるアジア的な無国籍空間で、雰囲気は関西風なのに地形や走っている電車は関東風、というのが大変面白く懐かしく感じました。
フィルムの構成はなぜか、「ウィンターソング」に、とくに水中シーンの入れ方が、似ているような気がしてこれも不思議だったのですが、この映画の方が鮮やかで効果的なアクセントになっていた様に思います。それにもまして、映画全体の色彩設計は特に際立って優れていた様に思います。
本当に楽しい映画体験でしたが、また再上映するところもあるようで、時間がある限り、もう2−3回は見てみたいと思っています。
1人がこのレビューに共感したと評価しています。
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街は変化する
2007/05/26 by
Baad
最初に鑑賞した後、「時間がある限り、もう2−3回は見てみたいと思っています。」と書いたのですが、意外にはやく3回目を見ることが出来ました。
かなり遅い時間帯のレイトショーで、マイケル・アリアス監督の舞台挨拶つきの上映でした。時間が遅く、周囲が静かだったこと、熱心なファンが多かったらしく、場内に少し緊張感が漂っていたこと、同じ劇場での前回の上映より音の調整が非常に良くなっていたこと、等の好条件が重なって、連れがいたにも関わらず集中して鑑賞することが出来ました。
改めて集中して見てみるととてもスピード感がある映画です。以前は見落としていた細かいシーンが効果的に使われていてスピード感を高めているのが判りました。シロとクロの映画というよりは一つの街の生成と盛衰を見ているようでした。
とても地味なシーンだったので今回初めて気付いた、チョコラが母親と電車に乗って街を出て行くシーンが心に染みました。
マイケル・アリアス監督はもの静かで実直な雰囲気の人で、舞台挨拶の時も、終了後も、流暢な日本語で丁寧に受け答えをしていらしたのが印象的でした。
(5月17日京都みなみ会館にて鑑賞) -
ごぶさたです
2008/05/27 by
ペンギン
Baad様、ご無沙汰しております。
映画生活からのお知らせメールで私をお気に入りユーザーに指定して頂いたと知り、是非お礼のご挨拶をと思っていましたが、どうせなら何かの作品のレビューページでと思い、思わず時が過ぎてしまったことをお詫びいたします。ありがとうございました。
で、この作品を選ばせて頂きました。
昔の東映動画や手塚治虫作品、ディズニー、ジブリ、ピクサー等々、アニメもかなり観てきましたが、この作品の完成度の高さに驚き、感動した一人です。
ちなみにBaadさんの書かれていた「60年代に東映が製作した日本神話のスサノウノミコトを題材にしたアニメ映画です」というのは東映動画の傑作「わんぱく王子のおろち退治」ですね。私のフェイバリットアニメのひとつです。当時通っていた小学校の映画鑑賞の時間に講堂で観せて貰ったんですよ。良い学校でした。
あの当時の東映動画は世界でもトップ水準の良質なアニメ(漫画映画)を作っていましたね。
さて、今作は監督さんが外国の方だからか、宮崎駿や押井守、今敏などの日本人作家よりもドライでクールな印象を受け、あの表現過多にも思える背景の描き込み、色彩の洪水にもかかわらず暑苦しくないセンスの良さには感心しました。このあとでピクサーの「カーズ」を観たんですがこちらの方がよほど日本的な湿度を感じました。相変わらずよくできた映画でしたけど。
さらに「鉄コン...」で感心したのはCGの使い方で、これ見よがしな下品さは微塵もなく、いびつな形のものをカメラが回り込みながらパンニングしてゆく時の、表面に書かれた文字や絵のなめらかな変化や、クルマの窓に映り込む風景の光の反射による変化などよほど意識して観なければその高度な技術に気づかないさりげなさに「CGってこうあるべきだよな」と思わされました。ご指摘の水中シーンもそうでしたね。
あと、あの町並みは大阪人にはうれしい天王寺〜新世界界隈を彷彿とさせまして、大阪の街のデザイン的な美しさを思わず認識させてくれました。L.A.や新宿じゃこうは行かない。
松本大洋の原作は多分にグラフィカルで、2Dの静止画であることを存分に利用した漫画で、おおよそ動かすことを前提としないものなのに、よくぞここまであの世界観を保ったままアニメ化したものだと思います。
加えて、蒼井優の「シロ」が素晴らしい出来でした。彼女が優れた女優なのは昨今の活躍を見ても明らかですが、こういう仕事も見事にこなすセンスとインテリジェンスも持っているんですね。
私個人の選ぶアニメ映画の最高傑作はイギリスの「イエローサブマリン」ですが、「鉄コン筋クリート」は、間違いなく五本の指に入ります。
ともあれこの度はありがとうございました。
また何かの作品でご一緒いたしましょう。
今後ともよろしくお願いいたします。
ペンギンでした。 -
こちらこそ大変ご無沙汰しました
2008/07/07 by
Baad
ペンギン様
大変丁寧なレスを頂き、実はずっと恐縮しておりました。ここしばらくずっとバタバタしており、ようやく少し落ち着きました。
どうやら私は、ペンギンさんとほぼ同世代らしく、何分にも同じアニメを見ていたアニメ世代の端くれということになりますので、子供の頃こそアニメはよく見ていたはずなのですが、大人になってからは、子供の付き合いでしか見ておりません。偉そうなことを書いてしまって冷や汗ものです。
「わんぱく王子のおろち退治」については、別スレで他の方からもご教示頂いているのですが、やはり小学校でご覧になった様でした。私は幸いにも小学校低学年か年長の頃にロードショーで見ているのですが、そのときの併映はなんと「サイボーグ009」でした。どちらも色彩が大変鮮やかで、「009」の方は少し刺激が強すぎるような怖い場面もありました。
小学校で見る映画、というのはなぜかいわゆる傾向的なものが多かった様に思うのですが、そのかわり、地域で盆踊りの前などに屋外にスクリーンを貼ってアニメやチャンバラ映画を見たり、ということがあった様に記憶しています。
東映動画について言えば、子供と見た劇場版の「セーラームーン」のシリーズが回を追うごとに素晴らしくなっていって、いそいそと子連れで映画館に通っていたのですが、その頃でも、私はジブリよりも好きでした。
>あと、あの町並みは大阪人にはうれしい天王寺〜新世界界隈を彷彿とさせまして、大阪の街のデザイン的な美しさを思わず認識させてくれました。
たまたまですが、ここでお返事を頂く少し前に天王寺公園にある市立美術館に行ってきました。時間の関係で通天閣の辺りまで足を伸ばせなかったことが残念です。
デザイン的には大阪だろう、というのは見て分かったのですが、地形は横浜の川沿いの京浜急行の沿線によく似ています。(とはいうものの、沿岸部の川沿いの地域の地形というのはどこでもよく似ていますが)走っている電車の色彩は京浜急行を意識している様ですし、京浜急行線の終点は海水浴場でした。実写映画並みに考え抜いて、より多くの人の無意識に訴える様にロケハンをしているのでは?と思わせる仕上がりです。
松本大洋の原作は子供達が持っているのですが、なぜか私はあの絵は苦手です。3次元より2次元についてのほうが許容範囲の狭い体質のようで原作が読めないのは本当に残念です。
「イエローサブマリン」は2次元に近い絵が流れるように展開されていたような記憶がありましたが、この映画に限らずビートルズが関わっていた動画は全て好きでした。
「セーラームーン」は五本の指に入らないのですが、他に選ぶとしたら、初期のミッキーマウスの動きや、鈴木清順が監督していた頃の「ルバン三世」あまりグロテスクでないチェコアニメが好きです。ただ、この辺はあくまで動画だけの好みなのですが。
最近は、この映画の様にほぼ全てo.k.と言えるアニメに出会うことは少なくなった様に思います。
とりとめのないレスになってしまいましたが、これからも宜しくお願いいたします。
(以前書いたレスにミスを見つけましたので、訂正の上投稿しました。)
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