墨攻 (2006)
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水清ければ、魚住まず
2007/10/05
by
理屈屋
う〜ん、人格的にも高潔で、知的肉体的にも優れているのだけれども、求める理想があまりにも高いので、周りの人々がついてゆけず、意外な結末を迎える「無念ッ!」な感じの物語でした。
「理想論ばっか言ってんじゃねぇ!」ってほどの考え方ではなく、現実の世の中で実践できそうなギリギリの戒律でありそうなだけに「無念ッ!!」感、大!っでありましたなぁ。
「たった一人で10万の敵と…」という宣伝文句に釣られて、かっこいいヒーローの知略に富んだ戦略映画を期待するとちょっと意外な展開に面食らうかもしれません(そういう要素も確かにありますけど)。
しかし、「予想外の作品だった」と思ってしまった場合であっても、たぶん後悔はしないであろう、良い物語であると思いますよ。
墨家の「非攻・兼愛」という理想が素晴らしくて、涙がちょちょぎれて来そうになりますよ。
今、自分達を攻めて仲間を殺している敵が、時が過ぎて今度は逆に他の誰かに攻められ、「助けてくれぇ〜」てなピンチに陥った時がもし来たなら「(ざまぁみろ!って思うんじゃなくて)きっとその時は助けに行くだろう」って思想には、グッと来るものがあります。
攻められている者が正して可哀想な者だから、とか、攻めている者が強く悪い奴だから、などということは、関係ないんですな。
「命を失いそうな者は悪い奴でも助ける。
命を奪おうとする者は、正しい奴とでも戦う」分け隔てなく全ての命を愛する「兼愛」という思想らしいです、それが。
墨家という、この「非攻・兼愛」を掲げた思想家集団は、秦が中国を統一する頃には忽然と姿を消し、その痕跡も残っていないらしい謎の集団だそうなので、きっと趙の国(この物語で梁を攻めていた、今回の悪役です)を守るために秦と戦って、趙の国人共々、皆殺しになってしまったのかもしれませんね。
「そうすることが誰にとっても最も良いに決まっている」ジョン・ナッシュ博士もそういう方法が確かに存在することを数学的に証明したことを映画「ビューティフル・マインド」の中で描いていましたね。墨家というのは紀元前から既にそれを実践していた集団だったのかもしれません。
いやぁ、面白い映画でした。
「人間の本性とは?」とか、
「人類の歴史について」など、
いろいろなことを考えて、見終わった後しばし呆然とさせて頂きました。
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Re: 水清ければ、魚住まず
2007/10/05 by
汚
>「命を失いそうな者は悪い奴でも助ける。
>命を奪おうとする者は、正しい奴とでも戦う」分け隔てなく全ての命を愛する「兼愛」という思想らしいです、それが。
会社から帰ってきたら奥さんが犯されて殺され、首も据わらない子供が絞め殺されている。
非道な犯罪者に死刑判決が出たら助けるべきだとでも言うんでしょうか。
理屈屋さんはグッと来て涙がちょちょぎれるんでしょうね、きっと
全く理解できないし、こんなのを愛だなんて言って欲しくないですね。 -
これは私の個人的な感想です。
2007/10/05 by
理屈屋
汚さん、はじめまして。早速にコメントを頂きありがとうございます。
> 会社から帰ってきたら奥さんが犯されて殺され、首も据わらない子供が絞め殺されている。
> 非道な犯罪者に死刑判決が出たら助けるべきだとでも言うんでしょうか
もしも汚さんが書かれたようなケースにおいて、被害者の遺族が墨家のような考えを持った人だったとして「これ以上誰の命も奪って欲しくない」と言ったとしたら、「涙ちょちょぎれで感動」しませんか?
私は感銘を受けます、たぶん。
で、反対に「犯人を是非とも死刑にしてくれ」と言ったとしても、別にその人を軽蔑したりはしません。それはそれでやはり涙ちょちょぎれに辛いことではあります。
ご理解頂けるか分かりませんが、別に私はそのような個別具体的な例において「すべての人が常に墨家のような考え方をすべきだ、そうでない奴は人間のクズだ」などと主張しているわけでは全くありません。
「個人的に墨家のような考え方に非常に共感を感じます。自分はそうありたいと思います」という、この作品についての私の感想を書いたまでです。
その辺りをご理解下さい。 -
Re: 水清ければ、魚住まず
2007/10/05 by
おいおい
汚
屁理屈の極致だな。
この映画はそもそも民衆のためにたたかっているのだ。
>会社から帰ってきたら奥さんが犯されて殺され、首も据わらない子供が絞め殺されている。
>非道な犯罪者に死刑判決が出たら助けるべきだとでも言うんでしょうか。
状況がまるで違うだろ。
なんでもかんでも当てはめるんじゃないって。 -
Re: 水清ければ、魚住まず
2007/10/06 by
taru
おやおや、理屈屋さん、今頃ご覧になりましたか。
私は、映画版は革離に好意を寄せる女性とか、余計なものが目に付いてイマイチでした。酒見賢一氏の原作小説が一番簡潔でいいかもしれません。マンガ版はオリジナルストーリーが限りなく続いて、今でも終わってないのかな?映画公開記念で、一話読み切りがどこかのマンガ雑誌に掲載されていましたね。
墨家がなぜ歴史から消えて行ったのか、小説版はそのことも暗示しているようでした。まあ、簡単に言うなら、兼愛の思想は実践することがとても難しいということですかね。革離は城を守るために、味方も粛清してしまいますからね、見せしめとして。それって、軍事的には正しくても、思想的には自己矛盾ですから。難しいですよね。 -
あっ、そうなんですか?
2007/10/06 by
理屈屋
taruさん、お久しぶりです。コメントをありがとうございます。
> おやおや、理屈屋さん、今頃ご覧になりましたか
そうなんですよ。「墨攻」は公開当時に映画館で見たかったんですが、仕事が忙しかったり、暇があるかと思うと時間が合わなかったりで見られませんでした。
レンタルDVDが1週間借りられるようになってからの視聴でございます。
> 革離は城を守るために、味方も粛清してしまいますからね
小説やマンガではそうなんですか?
私は映画しか見ていないので、墨家の思想を誤解してしまったかも知れません。
映画だと、逃亡を図った民間人を罰した様子もなく、むしろ攻めて来た敵の命を奪ったことを後悔さえしている風に見えたので、墨家というのは、戦争と言う状況の中においてもなお、正当防衛で止むを得ない場合にしか人の命は奪わないのが基本かと思ってました。
謎の思想集団ってことなので、実際どんなだったんでしょうね。
少なくともこの映画の中の革離は、歴史上存在した「墨家」の典型的な姿ではない、ということなんでしょうね。
小説やマンガでは、どのように描かれているのか、それらを読みたいリストの上位に入れさせて頂くといたしましょう。
貴重なご指摘をありがとうございます。
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