墨攻 (2006)
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限界を感じた者たち。
2007/10/12
by
黄金のキツネ
革離の悩みは、墨家としての思想とその実践との間に矛盾を感じたことに由来する。その矛盾は限界と言ってもいい。そして彼の悩みとは別のところで、二人の人間がそれに気づく。封建領主と女性である。領主は嫉妬と権力を奪われることの恐怖から、女性のほうは個人的な愛情から墨家の教えの限界に気づき、それを突いてくる。
人間の本性に深く関わっている嫉妬、恐怖、愛情などの感情。この際それらの善悪は問題にはならない。場合によっては愛情ですら忌むべき場合もあるからだ。感慨深かったのは、それらに敏感な者ほど、墨家思想に欠けているものを本能的に見極めていたことだった。
原作のコミックも小説も未読なので勘違いをしているかもしれないが、墨家の思想が「墨守」という言葉と書物(竹簡?)の中にしか残らなかったのも、なんとなく分かるような気がする。人は正解を求める生き物ではない。己にとって好ましい選択をそのつど求めるものだ。だから個人の思い・欲望・愛情などに目をつぶってしまうのなら、あるいは特定の政治組織に利益を与え続けないのなら、そのような思想集団は歴史の中に埋もれてしまっても仕方がない気がする。残念なことではあるけれど。
まあここでややこしいことを言うつもりはありません。私が一番言いたかったのは次の歌です。
やは肌の あつき血汐に触れもみで さびしからずや 道を説く君
もし彼女が歌を知っていたのなら、こん風に詠みたかっただろうなぁ。
でも、なんで女性はこうも本質を貫けるのだろう。
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