バベル (2006)
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どうこの映画を見るか
2007/05/07
by
りんぼ
「21グラム」同様に時間軸の定まらない構成なので、一度見ただけだと疑問に思うところもありました。それを作品として粗と見ることも出来るだろう。それぞれが細切れになっていて、関連性としては決して整っているとはいえない。だが、それを芸術性という言葉で片付けるのも違う気がする。
恐らく、そういう粗はこの映画には内在している。ただ、そういうところに着眼してしまうと、この映画から読み取れるものを見逃してしまう気がして、私はそういう部分には目を瞑った。そうして、ここにいる登場人物の心情といった部分でだけ着眼するような気持ちで映画を見た。
その結果、この映画は愚かしさから始まる人々の悲劇を題材にしていますが、決して悲劇のみの映画ではない。私にはこの映画から垣間見れる希望のようなものを感じた。
この映画では明確な悪人という者が存在しない。あのメキシコの甥にしても極めて愚かではあるが、悪意は無いのだ。だが結果的に彼等は悲劇に見舞われる。モロッコの兄弟にしても実に子供っぽい愚かさで悲劇に見舞われる。観客は誰だってもっと上手く立ち回れば良いのにと思うだろうが、現実には上手くことが運ばない。そういうやるせなさが世界の姿でもあるだろう。
この全編の中で東京のエピソードはやや番外の位置にある気がする。チエコの印象はやはり強い。彼女の脱ぐという行為にエロティックなものよりも、どうしようもない孤独を感じる。あの嗚咽にどこにも行き場の無い閉塞感がある。確かに圧倒されるものがこの映画にはありますね。
私はこの映画で、もっと救いようの無い結末を迎えるのでは? という予想をしていたのだが、必ずしもそれだけでは無かったのは意外です。当然のように悲劇的な死もあるし、ハッピーエンドなんてものは全く無い。だが、結果的に変化はあったと思える。モロッコの兄弟のエピソードにしても、変化はあったと思う。それを成長と言うには語弊があるが、やはり何かが変わった。
特にラストシーンをあそこで締め括ったことに私は希望を感じてしまった。ただ、それは私自身が愚かさの果てにも、そうあって欲しいと願ったからだと言えなくもない。
あと、蛇足ですが例のクラブのシーンは確かに強烈でした。事前に情報を得ていて画面を直視しないようにしたので大きな影響は無かったのですが、もし何も知らずに見ていたら私も気持ち悪くなっていただろう。つくづく私は映画に弱い;;
11人がこのレビューに共感したと評価しています。
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Re: どうこの映画を見るか
2007/05/20 by
たかみやnobta
りんぼさんの映画評に同感します。
悪気ではないチョットしたミスが、人に悲劇をもたらし、人生を狂わせることが世の中にあります。それが運命というのかもしれませんが、そうした偶然の繋がりが悲劇を生むというやるせなさが、この映画に出ていたように思いました。
例のクラブのシーンですが、ミラーボールに反射された光の点滅と激しいビートの効いた音楽は強烈で、一部の方が不調を訴えられたという報道がありましたが、若いチエコがひと時の陶酔に浸る感じがよく出ており、映画シーンとしては、よかったと思っています。 -
Re: どうこの映画を見るか
2007/05/21 by
りんぼ
たかみやnobtaさんこんにちは。
>映画シーンとしては、よかったと思っています。
演出としても良く出来たシーンだと思います。音の使い方もなかなか聾の人の感覚が伝わってきます。
この映画、チエコの友人の方々は実際に聾の学生さんだと聞きました。そういう部分もリアリティがあるんですね。
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