バベル (2006)
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意思の疎通が不可能な現代社会
2008/04/30
by
牧坂満
湖面に投げ入れた石が波紋を広げていくように、モロッコで放たれた一発の銃弾が、アメリカ、メキシコや日本の人々の日常生活に影響をあたえていく構成が見事です。映画では、宗教や経済、人間の思考等が他の文化を侵食するまでに経過する時間は短時間内に起きてしまう現実を知らされました。
何の脈絡もない筈の事件が奇妙に繋がり合っているという同時多発的な群像劇の手法はロバート・アルトマン監督が得意としていたものでしたが、AG・イニャリトゥ監督はアルトマン監督が垣間見せたユーモアさえも一掃しています。
映画が訴えかける私たち人類を隔てるものは言語ではなく先入観なのではないでしょうか。異文化コミュニケーションは違いを乗り越えて人間を理解して信じる心にあるのでしょう。悲劇的な物語の結末にかすかな希望を滲ませるシーンは「羅生門」のようなヒューマニズムを思い起こさせる名作です。
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