戦火の勇気 (1996)
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真相万歳…ですか。
2008/07/14
by
黄金のキツネ
『JSA』を観た後にそのレビュー欄を見て、本作も似たようなプロットであることを知り鑑賞した。
確かに構成は「藪の中」的であり、黒澤の『羅生門』や韓国映画の『JSA』に似ている。
しかしテーマがまるっきり違う。『羅生門』は裁きの場(それが死刑に直結する)においてすら自尊心を満足させるために嘘をついてしまう人間の業を描き、『JSA』では国家間の対立のために個人の思いも命も磨り潰されてゆく不条理を描いている。両作品とも謎解きの構成をとってはいるが、真相は観客に納得感を与えるために必要だから描かれているだけで、あくまでもモチーフのひとつでしかない。つまり真相それ自体がテーマとはなっていない。
それに反して本作では真相こそが最重要課題だ。
真相を告白できぬ者が主人公であり、真相を闇の中に葬ろうとして自滅していく者たちが描かれている。そして明らかにされた真相で名誉は保たれ、真相を明らかにすることで赦しが与えられる。言ってみれば真相万歳、だ。
真相を正直に告げるという誠実さは、確かにどこの社会でも望まれる美徳だろう。本作品はストレートにそれを打ち出している。それは良いことではあるのだが、正直さのみでは立ちいかない人間の業や社会の不条理を描くことにより、そのような考えに対してザックリと別の切り口を見せつけた他の二作品と比べると、本作には底の浅ささを感じてしまう。言い換えれば、2時間近い映画をせっかく観たのに今さら当たり前のことを言われたって、「別にもういいよ」、ということだ。
真理や正直はキリスト教の徳目の一つだそうだ。そこに着地点を設定し赦しが与えられるというストーリーはハリウッドの王道なのだろう。でも逆にそれが足枷になって、突き抜けた作品が出にくいような気もしてしまう。テーマは悪くはないし、道徳的な割には肩も凝らないエンタメなんだけれど、ちょっと単純すぎて後には何も残らない映画だった。
(点数はすごく減量したマット・デイモンの努力込みです)
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