ブラックブック (2006)
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見事な戦争映画
2007/04/20
by
りんぼ
ドイツ軍とレジスタンスという構造の映画は実に多い。その中でドイツ軍は悪役、レジスタンスは正義の味方という図式はごくごく当たり前なのだが、この映画はそういう型をぶち壊している。ではドイツ軍が善、などというのではない。ドイツであれレジスタンスであれ、善人も居れば悪人も居るということなのだ。それはごく当たり前のことなのに、映画の世界では忘れられがちだ。
この映画で出てくるドイツ軍将校のムンツェは実に人間的だが、実際にドイツ軍の中でもこういう人は居たはずだ。そして、それ故に処刑された人も多かったのだろう。また、虐殺や略奪といった行為が平然と行われる時代では、正義も悪も見失いそうになる。それでも、やはり人としての善悪というものは必ずある。この映画は本当に悲しいことの繰り返しなのだが、最後には善悪の部分に決着を付ける。そういうところが痛快でもある。
パーホーベン監督の演出というのはやはり奇抜なところがある。映画の中でも何度か監督らしい見せ場があったのだが、それでもかなり抑えられている気がする。しかし、それがマイナスになっているわけではなく、むしろこの映画においては妥当なものになっている。やはりベッドシーンは濃厚だったし、虐殺シーンは凄惨だ。そういうものがこの映画にとっては必要な分で表現されている。その辺りのコントロールがされているのだが、逆に度を越えた演出を期待したら肩透かしだろうか? 特に意識せず映画として見れば楽しむことの出来る映画です。
サスペンス色も非常に濃く、最後の最後まで誰が敵で味方だかわかりません。そして、冒頭からラストまで話が繋がっているあたりなど、脚本が非常に良く練りこまれています。ラストシーンの暗示するものもシビアで良いですし、見所の多い映画になっています。
聞いた話ですが、最初の脚本では主人公は冒頭に出てきた男性の方だったそうです。しかし、それでは脚本に魅力が無く、この映画のように改編されたそうです。この変更は正解で、主人公が彼女でなければこの映画は成立しなかったでしょう。そういう脚本の練り込みがあってこそ映画は良いものになっていくんですね。
結果、パーホーベン監督作品の中でも傑作と言って良い映画になっている。
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