ブラックブック (2006)
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人さまにには見せない姿
2007/12/15
by
星空のマリオネット
この監督の作品は余り観たことはないのですが、冒頭のシーンから、どこか普通とは違った奇妙な雰囲気があるなあと感じました。
物語は1950年代半ば聖地を巡るツアーバスから始まります。
砂漠地帯の異様に輝く黄色の崖。その崖沿いを走ってきたバスから降りる観光客(=彼らは平和を満喫する我々観客そのもの)を待ちかまえていたのは、煙る砂塵、世にも美しい海、そして子供たちの清らかな歌声。
しかし、それらを潜(くぐ)り抜けると、そこは一転、第二次世界大戦末期1944年のオランダ。ナチス・ユダヤ人・オランダ人レジスタンスたち、一人一人の生存をかけた陰湿な闘いが繰り広げられています。
登場人物はみな突き放されて描かれています。映画的な美化どころか、虚飾を剥ぎ取られ、普段は決して人さまには見せない姿を現実以上にありのままに描いていきます。
しかし、突き放しているだけではありません。カリス・ファン・ハウテンが演じるラヘル(別名エリス)を見つめるヴァーホーヴェン監督の視線は、ドガやロートレックが踊り子や娼婦を見つめた視線を想起させます。
(彼らドガやロートレックは、楽屋裏で誰の目も気にせず佇んでいる疲れた女たちの姿をありのままに描いています・・・淡々と、しかし暖かく。)。
欲望と裏切りが渦巻く修羅場で、生死の狭間といとう極限状態のもと、感傷の入り込む余地さえない激しい悲しみ、憎しみ、醜さに打ちのめされながらも、生き抜いたラヘル。
(カリスの演技は見事!)
・・・・・・
いまや透明感のある美しい女ラヘル。悲しみを背負った彼女にも新しい生活が訪れている。
しかし、とてつもなく大きく不穏な影が迫っている・・・
彼女に安住の地はないのでしょうか!?
映画「ブラックブック」は、悲惨な歴史の舞台上で、人間の汚い負の側面を感傷や情緒を徹底的に排除し描いた、力のある作品だと思います。
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