パンズ・ラビリンス (2006) »レビュー

怖い童話が悲惨な世界を語る

80点 2008/03/29 by 星空のマリオネット

パンズ・ラビリンス

少女オフェリアはどこかで見たことがあるような普通の女の子。
でも思い出せない。自然で落ち着いた佇まいが、誰かに似ているような・・・そんな身近な少女が、我々を暗黒の世界・ファンタジーの世界に誘(いざな)ってくれる。

ゆっくりとした自然な展開の物語。ゆっくりとしていること自体に特別の意味があるようには思えなかったものの、そのせいかとても分かりやすい映画になっています。
残酷なシーンがありますが、ホラー映画のように残酷さをどぎつく見せ、観客を怖がらせること自体を目的としている訳ではありません。

この映画は、大人と一緒に子供たちにも「しっかり」見てもらうことを、もともと意識した映画ではないでしょうか。
PG12(小学生以下の観覧には適していない部分があります。なるべく親または保護者が同伴して下さい。)という判断は、必ずしも誤った判断ではないと思います。

人は目の前で傷つけられ殺されていく。手術や拷問のシーンは怖ろしく、肉体の激しい苦痛を想像させるけれど・・・そのものをグロテスクに描きはしません。
俳優たちの演技に大仰さはなく、映像も落ち着いていて奇を衒ったようなところはないオーソドックスな作品。

内戦下のスペイン。家族が簡単に殺されていく暗く悲惨な時代。
人間らしく生きていきたいと願ってもかなえられなかった人々を、励まし慰める物語です。

 

4人がこのレビューに共感したと評価しています。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

  • 2回目の鑑賞です

    2008/04/23 by のびた

    星空のマリオネットさん こんばんは。

    地元の映画祭で上映していたので、もう一度観てきました。最初観た時は、その残酷な描写にかなりやられましたが、今回は、覚悟の上だったので、その点はクリアできました。

    そうして観直してみると、これはダーク・ファンタジーの傑作と言ってもいいと思いました。

    王国へ戻るための過酷な試練と、それを上回る残酷な現実。オフェリアには、まだ、ラビリンスの世界の方が、生きる価値のある世界だったのだと思います。

    その扉を自らの血で切り開いたとき、彼女を待っていた運命は…。

    僕はラストでまた、涙を滲ませてしまいました。
    星空のマリオネットさんの想像のように、僕は女性なのでしょうか?こんなに涙もろくなって。

    >
    > 内戦下のスペイン。家族が簡単に殺されていく暗く悲惨な時代。
    > 人間らしく生きていきたいと願ってもかなえられなかった人々を、励まし慰める物語です。

    そうなんですよね。
    多くの人が願っても、平和を実現できなかった、つらく悲しい時代があることを、僕たちは知らなければなりません。

  • Re: 怖い童話が悲惨な世界を語る

    2008/04/24 by 星空のマリオネット

    のびたさん、こんばんは。

    「パンズ・ラビリンス」、私は観る前に相当残酷なシーンがあるというこのサイトのレビューを読んでいたので、覚悟して観ました。観るのは嫌だなあという気持ち半分残したまま。
    (ずっと前に「エクソシスト」に驚愕し、そのあと「キャリー」に遭遇してもう残酷さは十分だと思い、「オーメン」以降のホラー映画はほとんど観ていません。苦手なジャンルの映画です。)

    しかし、この映画は残酷なシーンそのものを売りにはしていないし、そのようなシーンは最近の映画の中では特に多いようには感じませんでした。肉体的な恐怖が迫ってくることを感じさせるシーンは強烈なものがありましたが・・・
    残酷過ぎるという評価は、ファンタジー映画を観に来たはずなのにとか、子供も観ているのにという点が大きかったように思います。
    実際、このような残酷で悲しい映画を小中学生が観るのは好ましくないという考え方はあるでしょうし、商売優先の観客をミスリードするような宣伝に対し、批判的な見方が強いのも理解できます。
    ただ、小さな少女の目を通した、この映画の語り口が非常に優しくて丁寧だと私は感じました。
    監督がこの映画を子供にも観てもらうことを想定して制作したのではないかと、想像している所以です。

    のびたさんの論点からは少し外れてしまっていますね。ごめんなさい。
    それから、のびたさんが女性かもしれないなんて想像しているわけでは全くありません。変な冗談を言ってしまいました。お気に障られたようでしたら、お詫びします。
    (いろいろな映画や音楽等を愉しむためには、女性的?な感性もあった方がいいように思います。)

    PS
    ところで、この週末に、のびたさんは東京の神保町で開催された映画祭に、静岡からみえていたんですよね? お疲れ様でした!

  • 僕はいたずら小僧です

    2008/04/24 by のびた

    星空のマリオネットさん こんばんは。

    今回のお話に入る前に、まず、普段の僕のキャラクターについて、少し、お時間を下さい。

    実生活の僕は、いつも冗談ばかり言っている、お気楽者です。職場でも、家庭でも、映画仲間といるときでも、お調子者で通っています。
    時に悪ふざけが過ぎ、失敗することもあります。
    こんな僕だから、『アメリ』が好きなのもご理解いただけるかもしれません。
    この映画生活でも、時折、そんな僕が顔を出すことがあります。でも、まだ文字だけの世界になれない僕は、しゃべり言葉ならニュアンスが伝わるのになぁ、と悔しい思いをすることがよくあります。ブログでも。

    今回、星空のマリオネットさんにご心配かけている「のびた若い女性論」ですが、マリオネットさんは、しっかり「のびたさんを若い女性だと思っているわけではありません」と断っています。
    ですから、マリオネットさんに、何の落ち度があるわけでもなく、僕の気に障ったなどということも、更々ございません。
    ただ、いたずら好きの僕が、「これは面白い」と思ってしまったのです。実は「のびた」が女性だったなんて、素敵じゃないですか。僕は実は女性でした。これからは「しずか」のHNで投稿します、なんてのも楽しいかな、なんて思ってしまって、↑のレスになってしまいました。
    これも僕がいい年して、ふざけてしまっていたので、こちらこそ大変申し訳ありませんでした。

    さて、『パンズ・ラビリンス』の残酷性についてですが、僕も初めてこの作品を映画館で観たときは、ここまでの描写は本当に必要なのかと感じました。もしかしたら、TVでの鑑賞より、映画館での鑑賞の方が、より激しい描写に感じられたのかもしれません。

    このギレルモ監督、子供の頃から、ホラーが好きで監督になってからも、『クロノス』とか『ミミック』とかホラー色の強い作品を撮っていて、そういう傾向が好きなことは確かだと思います。

    『ボルベール』の監督がプロデュースしてギレルモ監督に撮らせた『デビルズ・バッグ・ボーン』という哀しいゴースト・ストーリーがあるそうですが、『パンズ・ラピリンス』の前日譚、姉妹編にあたるといいます。
    どんな作品なのか非常に興味があります。

    しかし、監督の意図がどうであれ、この作品は良く出来た寓話であることに間違いはありません。
    そしてあの描写があったことで、より一層、恐ろしい現実の世界が、観客にも伝わったことも確かだと思います。

    PS
    ブログを見て下さってありがとうございます。
    僕は東京で麻生久美子さんとお話してきました。そのときの内容は、またブログに書きますので、よろしかったらまた、読んで下さいね。
    それから、東京は星空のマリオネットさんのエリアですよね。また、よろしかったら劇場にも足を運んでみて下さい。僕からするととてもうらやましい環境です。街を歩きながら、今日も星空のマリオネットさんはDVDで映画を鑑賞しているのかな、なんて考えてしまいました。
    いつかどこかで、本当にお話が出来たらいいなぁ、などと思っている のびた でした。

  • Re: 怖い童話が悲惨な世界を語る

    2008/04/27 by 星空のマリオネット

    ☆のびたさん、丁寧なレス、本当にありがとうございました!

    ネットでの会話は難しいですね。双方向の媒体ではありますが、1回1回は一方的なメッセージの送りつけになってしまって、その時のお互いの表情も分からないですし。
    自分自身、様子見的な曖昧なメッセージを送ってしまうこともあります。

    ★『デビルズ・バッグ・ボーン』を観ると、『パンズ・ラビリンス』への理解も深まるかもしれませんね。上映されたら私も映画館で観るようにしたいと思います。

    ☆のびたさんのブログで、麻生久美子とのびたさんとのやりとりや、麻生久美子さんの受賞挨拶読みました。私にはのびたさんのような勇気はありません。昨年の経験を活かされたんですね。
    記事の内容も良かったです!
    心のこもった映画祭の様子が伝わってきました。

    ★映画館に行く「気力」が最近私には欠けているのかもしれません。「劇場」の雰囲気は好きで、フリー投稿板の「名画座の思い出・・・」のスレにも投稿してみました。

    いろいろなライブ小屋や飲み屋も「劇場」の一つですよね。そんな空気を感じさせてくれる、個性的でアットホームな店が好きです。
    時間と財布に余裕のある時、仕事が終ったあとそんな場所で寛ぐのが好きです。

  • 御歓談中失礼します

    2008/04/28 by 牧坂満

    「星空のマリオネット」さん、「のびた」さん、こにちは。映画生活のサイトのお陰で、この作品を知った「牧坂満」と申します。
    少女オフェリアの弟は1944年に誕生しているので、同じ、フランコ独裁政治による犠牲者を描いた「サルバドールの朝」を思い出してしまいます。サルバドールが死刑宣告を受けた年が1970年ですので、少女オフェリアの弟と同世代ということになります。
    スペインに議会制民主主義が布かれたのは、フランコが死んだ1975年だとすれば、少女オフェリアのような体験は30年以上も続いたという現実を知らされることにもなった名画ですね。

  • 「デビルズ・バックボーン」について

    2008/04/29 by のびた

    星空のマリオネットさん こんにちは

    「デビルズ・バックボーン」の情報について、舌足らずな点があったので、取り急ぎお伝えいたします。

    まず、“・”をうつ位置がひとつ余分でした。
    「デビルズ・バック・ボーン」ではなくて
    「デビルズ・バックボーン」でした。悪魔の背骨ですかね。
    そしてこれは2001年公開作品で、もうDVDになっているはずです。
    映画生活にも、すでにレビューが書かれていました。
    ここの検索システムは“・”ひとつ違っただけでも検索できないのが不便です。
    「デビルズ・バック・ボーン」では出てきませんでしたから。

    「パンズ・ラビリンス」の姉妹篇という触れ込みでしたが、舞台がスペイン内戦時の小さな村ということで、直接「パンズ・ラビリンス」とは関係ないかもしれません。
    そして、ジャンルはホラーになっていました。

    ちょっと怖そうですね。
    鑑賞どうしようか迷ってます。

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)


掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.

ユーザログイン

Mail
Pass


上映情報

有楽町  日比谷  銀座  渋谷  歌舞伎町  新宿3丁目  新宿  池袋 

他の地域

この映画のファン

  • fujiko
  • とらじゃ
  • 蒼月城
  • 如月遙
  • はなよ
  • Tighten up!
  • pem
  • しろぽん
  • カイタカケン
  • 朝潮橋
  • hitochan
  • 名画座の怪人
  • yoking
  • marinblue
  • ひとっぴ

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連DVD

パンズ・ラビリンス 通常版

  • 定価:3990円(税込)
  • 価格:3152円(税込)
  • OFF:838円(21%)

 

携帯で見る

qrcode

満足度データ

100点
46人(19%) 
90点
52人(21%) 
80点
62人(25%) 
70点
31人(12%) 
60点
29人(12%) 
50点
7人(2%) 
40点
4人(1%) 
30点
4人(1%) 
20点
3人(1%) 
10点
2人(0%) 
0点
1人(0%) 
採点者数
241人
満足度平均
78
ファン
52人
観たい人
187人

 

満足度ランキング

満足度 投稿数 観たい ファン 全作品