殯(もがり)の森 (2006)
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映画と現実の隔たり
2007/07/23
by
りんぼ
純粋に凄い映画だと思う。しかしやはり見るには辛い映画だ。この映画はエンターテイメント性はおろか、映画としての演出が排除され、剥き出しの現実を撮っているように見える。ドキュメンタリー的ではあるが、ドキュメンタリーではない。
極めて強いメッセージ性があるし、それを理解するのはそう難しいことではない。実はこの映画のテーマというのは最初の方で明確に説明されていたりする。しかし、その言葉はあくまで言葉であって実感することとは別のことだ。
森での出来事は全て一つのことの実証ではなかったのかと思える。
見ていて辛いのは台詞が聞き辛かったりするところで、雨の音でかき消される声はそのまま消えたままだ。映画ならそれは音を編集して台詞を入れるだろう。
しかし、もし自分がその場にいたのなら、言葉は聞き取れない。この映画での追求は言葉が聞き取れないリアルさのように思えた。
また、台詞自体が書いたものというより、その人物が発した言葉という実感がある。何一つ飾りは無いし、正に現実世界での言葉のやりとりそのままが映し出されている。老人たちの台詞に至っては、全く演技の無い言葉ばかりだ。それらの台詞は謂わば真実の言葉であるから、ラストシーンで主人公が発する言葉もまた真実の重みがある。監督の目指した方向というのが実に明確にあるが、なかなか出来ることではない。
唯一違和感を感じたのはしげき老人についてだ。彼の演技は実に上手い。だが、それ故に「作られた」感じを微塵ながら受けてしまった。
この映画を辛く感じるのはそれだけ自分に「死」の現実が無いからかもしれない。ここで死そのものは描かれていないが、この中での死の重さは格別に重い。ここにある「死」は映画とは思えない現実味がある。
映画のとって身近なテーマである死というものも、それがどんどん脚色されることにより、逆に真実味が欠如したり、重さが感じられなかったりする。
この映画を見ると、やはり映画と現実の間の大きな隔たりというものを感じずにはいられない。
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