殯(もがり)の森 (2006)
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生きる実感と癒し
2007/09/23
by
Shiro
映画が終わったとき、率直に言ってだまされたように感じた。
ふたりが山にどんどん迷い込んで行くと、観客はこれから彼らがどのようにして救出されるのかとはらはらし、認知症の老人にあまりに無配慮について行く真千子にはらはらし、「山に迷ったときはむしろ頂上に向かった方が良いのだが・・」などと考えていた。ところが監督はもともとそんなスリルには無関心で、観客に対して二人の心象風景に集中して観るように求めていたのだ。そういうわけで映画が終わったとたんに何か肩すかしを食ったような気持ちになったのだ。
真千子と老人は共に、死んだ愛する者への思いのうちに生きている。どちらも似たりよったりで問題解決力のないそのふたりが、携帯の電波も届かず、出口のない森の中を彷徨する中で、次第にしっかりとしたつながりを作っていく。
この映画が取り上げているものは重い。老人介護、子供の死、妻の死、葬り。私もアルツハイマー病の母をかかえているが、観客の多くが何がしかこういう問題を持っているだろう。この映画は、そうした観客に、それらの向こうにある、生きる実感と癒しを感じ取って欲しいと言っているように受け止めた。だがそれは十分に成功していないのではないか。冒頭に言ったように、一番肝心なところで観客は肩すかしを食ったような気分にさせられるからだ。
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