殯(もがり)の森 (2006) »レビュー

恐るべき映画

100点 2008/02/11 by 未登録ユーザ momongah

殯(もがり)の森

こんなに『大切な人の死』というものに真摯に向き合った映画は見たことがない。まだ映画館で一回観ただけですが、本当に「すごい!!」と思いました。セリフなんぞには一切頼らず、「状況」「関係」「時間」など、ハッキリとは見えにくいものによって『再生』を描いて行きます。そこのところがちゃんと撮れているというところが、掛け値無しに「すごい!!」というところです。

ハリウッド的な『起承転結』や『刺激』が好みで、そのあたりのところがハッキリと掴めない人にとっては当然、「ねむい」映画であろうし、「独りよがり」の映画に見えるでしょう。残念ながら、「独りよがり」の人にはあの映画は撮れません。「独りよがり」の人にはあんな繊細な『機微』の部分は撮れないですから。

悪い評価がかなり多いですが、悪い評価をした人も、「大切な人」を亡くした後にこの映画を見れば、『本当に凄い映画だ』ということが分かるかもしれません。

もちろん『自分自身』が一番大切な方には、一生分からない映画でしょう。『自分以外の誰か』を本当に大切に思っている方、必見です。

 

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  • Re: 恐るべき映画

    2008/02/11 by 未登録ユーザ 素子様命

    >>もちろん『自分自身』が一番大切な方には、一生分からない映画でしょう。『自分以外の誰か』を本当に大切に思っている方、必見です。

    ↑最後のこの文章は、他人の感じ方を貶める
    あまり関心しない表現のように思います。
    その前までの文章には
    特に何かモノ申そうという気はしないのですが。

    感じ方は人それぞれ。

    私は数年前に父を癌で失ってまして、
    寝たきりになった父を献身的に自宅介護した母と
    ともにこの映画を見ました。
    ふたりは子供の私から見ても相思相愛の
    仲の良い夫婦でした。
    母自体障害者手帳がもらえるほどの体ですから、
    介護はその身を削るようなものでした。
    その母はこの映画でこっくんこっくんし、
    見終わった後「つまらなかった」と言ったと
    お伝えしておきます。
    (ハリウッドのハデハデ映画も
    涙と人情の邦画もダメな方の、
    映画の趣味は渋いほうなんですけどね。)

    ああいった死者への執着は、
    事故死・自殺死といった
    「突然やってきた死(それも死んだ人が若いケース)」
    でないと理解できないのかもな、
    とは、映画を見た時には感じましたね。

  • Re: 恐るべき映画

    2008/02/19 by 未登録ユーザ momongah

    素子様命さん、ありがとうございます。勉強になりました。

    確かに『『自分以外の誰か』を本当に大切に思っている方、必見です。 』というのは不正確ですね。そういう方の中にも「わからない」とおっしゃる方は沢山おられるでしょうからね。


    ただ、『『自分自身』が一番大切な方には、一生分からない映画』というのは実際そうだろうと思います。自分のことを優先的に配慮するタイプの人は、感情表現の乏しい人からその気持ち、心情を読み取ることが出来ないですから。なぜなら他人に集中し続けることが出来ないですからね。

    でも実際、子供を突然亡くして苦しんでいて、夫婦関係にもその事が暗い影を落としていて、でも、生活の為に自分の感情を押し殺しながら仕事をしている、繊細な人って、尾野真千子さんが演じておられたように、感情表現が乏しくなると思うんですよ。で、誰にも理解されず、助けの手もなかなか差し伸べてもらえない…みたいな。

    もっと感情を出すタイプの人なら、夫と怒鳴りあったりということがあるだろうし、人前で泣いたりすれば、同情してもらえるかもしれないし、その同情に対してキレてみたりとか、なんかそういうことで段々解消されていくし、もう一度人間の環の中に帰って来れ易いと思うんです。



    河瀬監督が描こうとしたのは、なかなか人間の環の中へ帰ってこれない人の方です。



    仕事を始めて少しづつ話すようになり、その次は笑顔も出たり、きっと子供を亡くして以降無かったであろう『遊ぶ』ということもあったり、その次には自分が面倒を看る立場として一対一でしげきさんを墓参りに連れて行き、その途中で子供が亡くなった時のフラッシュバックによってそれまで胸に溜めていた感情を爆発させ、夜になって雨に濡れたしげきさんの体温が下がり「肌と肌を触れ合わせて」体を温める…

    大切な人を亡くして他人との繋がりを喪失してしまった人が、『人と人の繋がり』を回復させていくのをこんなにも細かく細かく、繊細に詳細に描いてあり、観客はそれを見ているのに、やっぱり理解されないということは、ああいう人が本当に居たとしたら、『人と人の繋がり』を回復させることはほぼ絶望的なのではないかと思ってしまいます。実際にはほとんど背景的な部分は分からないでしょうから。


    私としては、こういうものがもっともっと理解されるようになることを祈ります。

    この映画はつまり、「映画は、映画の方から、自分を楽しませてくれなきゃいけない」と思っている観客には、何もプレゼントしてくれないわけです。

    この映画は「この映画の人物はどんな気持ちなんだろう?元気になるのかな?どうすれば元気になるんだろう?」と、自分の方から映画の人物を心配して働きかけていく、そういう観客にだけ、大きなものをプレゼントしてくれるのだと思います。


    同様の映画には、ダルデンヌ兄弟の「イゴールの約束」「息子のまなざし」などが挙げられると思います。

    是非、一度、自分が働きかける姿勢で、そういう作品を見てみてください。理解度、満足度にかなり差が出るはずです。


    素子様命さんのお陰で、自分の中の考察が深まりました。ありがとうございました。

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