長江哀歌 (2006)
»レビュー
浪奔浪流
2007/10/14
by
vivie
本作は、国家的プロジェクトのダム建設により、破壊されて行く街の相貌を捉えた叙事詩であり、運命を受け入れ、しかしそれでも生きて行く人々を描いた叙情詩でもあります。同時に、映画や流行歌といった大衆文化に彩られた庶民列伝でもあり、市井に生きる人々が忘れられない印象を残します。主人公は人を捜してその街を訪れたひとりの男とひとりの女。彼らと、彼らが出会う人々の間にひととき生まれる温かさにも胸を打たれます。
前作「世界」で、ある種の自由を手に入れたかのような印象を受けた賈樟柯、本作ではさらに大きな自由を手にしたかのようです。人間の営為を見つめるその眼差しには、慈愛めいたものまで感じられ、そこに何よりも感銘を受けました。とにかく映画を観終えた時、私の心を捉えたのは、何もかもが愛おしいといった感情でした。
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