サイボーグでも大丈夫 (2006) »レビュー

保障期間、一生。

90点 2007/11/02 by vivie

サイボーグでも大丈夫

オープニングのタイトルバックと音楽に「シザーハンズ」を連想したのですが、作品全体のテイストも、ブキミ可愛い「ビートルジュース」とか、初期のティム・バートンを思わせるものがあります。実はこういうテイストは大好きなもので、映画が始まる前に感じていた眠気(寝不足の上にその日の二本目の鑑賞)も吹っ飛んでしまいました。

精神クリニックを舞台にした、人間をやめサイボーグとして生きることに決めた女の子ヨングンと、母親に捨てられアンチ・ソーシャルになった男の子イルスンの、ちょっと奇妙ではありますが、すごーく可愛いラブ・ファンタジー。パク・チャヌクがこんな映画を撮るなんてビックリしましたが、その意外さもあり、またワルツに乗って展開される真昼の殺戮シーンなど、いかにも彼らしいシーンもありで、とても楽しめました。

ただ、語り口はやはりトリッキーで、妄想も現実も区別なしに並置されたり、中盤までは話がよく見えないんですけど、登場人物のやることなすこと、ヘンだけどとても可愛いんですよね。わたくし的にはすっかり引き込まれました。同好の士がいらしたら、「伝達」とか「靴下スリスリ」とか、一緒に遊びたいです(笑)。

チャヌク作品を観終わっていつも感じるのは、「今という時代を生きる哀しみ」と名づけたいようなものなのですが、本作ではそれが出発点。現実に傷ついた無垢な子供の悲しみを体現するヨングンとイルスン、観ているだけで切なくなります。しかし、ヨングンはイルスンに救われ(このシークェンス、すごくすごく好きです)、ヨングンを救うことでイルスンもまた救われる・・・・。世界の片隅で傷ついた心を触れ合わせるふたり、そんな彼らを包み込む温かさに胸を打たれる作品でもありました。

主演のふたりが素晴らしかったです。自動販売機と会話する姿に思わず微笑んでしまう不思議少女は「箪笥」のお姉さん、全然別人になっていました。天真爛漫な笑顔が愛おしいお面少年はピ。韓流にうとい私でも名前だけは知っていたけど、春の陽光のような歌声が素敵でした。

・・・・帰り道、頭の中はヨーデルだった(笑)。

 

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