ペルセポリス (2007)
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中東の憂鬱
2008/01/20
by
りんぼ
中東の現実はなかなか我々には伝わって来ない。報道されるのはニュースの形式でしかなく、それでは現実はなかなか伝わって来ない。この映画が市民レベルの視点で描かれたのは実に興味深い。
こっそりとロックを聴いたり、隠れてパーティーをする辺り、なんだか身近な感じがします。その隣では戦争が起きていて、知り合いがあっけなく命を落とす。そんな現状に等身大の恐怖を感じた。
この映画は、こういったイランの現実を知ることが出来るという点でも価値のある作品といえます。
確かに随所に笑えるシーンはあるのだが、私はほとんど笑えなかった。気持ちはずっと鬱々と沈んで行った映画です。明るく表現されるシーンも裏側にある現実を意識してしまうと明るい気分になれないのだ。だが、それはそれで良いのだとおもう。寧ろ、単純な明るさがこの映画の持ち味ではない。全体的に晴れ上がらない雰囲気が主人公の説明に適しているようにも思える。
彼女は様々な理由で社会に適応出来ない。どこへ行っても異邦人のままの閉塞感がある。その鬱々たる感情が重要なもののように感じた。
決して我々の住む側の世界が理想的に描かれていない。寧ろ空虚な面が浮き彫りになる。その虚ろさは自分にも身近な感覚だ。そういう部分も実に等身大な印象を受ける。
この映画のキーパーソンは主人公の祖母だろう。彼女は随所に登場し、主人公を諭す存在である。彼女の考え方こそ製作者の主張であったようにも思える。だが、噛み砕いてみると彼女の言っていることは難しいことではない。寧ろ人として当然にあるべきもののように聞こえる。
それが言葉通りには実現されない。その埋めがたい差が今の現実だろう。
果たして主人公はエンディングの後、どうなっただろう? それを考えずにはいられない。どちらにせよ、行く先に困難が待ち受けているように思えてならない。
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