マイ・ブルーベリー・ナイツ (2007)
»レビュー
かなり好み。
2008/03/27
by
HJ
失恋を忘れる為に旅に出る女性のロードムービー。
いつの時代にも作られる題材で、
これだけ知らされてしまうと、何を今さらって思っても無理はない。
ところがウォン・カーウァイが監督で、これだけのキャストが集まってしまうのに驚き。
しかもノラ・ジョーンズが主演って、いったいどんな映画になっているのかと思った。
自分で曲を作り、詩を書くアーティストは感性が優れた人が多いと聞くし、
脚本を読んで共感する部分があれば、
「演技をする」という形式をこえて、気持ちで表現出来てしまうらしい。
この映画のノラ・ジョーンズを見ているとそんなふうに思えてしまう。
演技していると意識させずに、まるで歌うように感情を表現していたな。
もっとも感心したのは、とあるアパートを訪ねるシーンなのだが、
二度目にここを見上げた彼女の表情がとにかく良い。
今年見た映画の中でもっとも記憶に残る表情だった。
ウォン・カーウァイは主要キャストが決まってから、
彼らのイメージにあわせて詳細に脚本を書いていったそうで、
そのおかげで登場するどの人物もが等身大で演じて見せてくれる。
オスカー受賞後、シリアスな演技ばかり求められそうなレイチェル・ワイズの女の部分の表現もいいし、
ジュード・ロウもほとんど本人そのままのキャラクターで演じているかのよう。
ノラ・ジョーンズ同様に、もう一人のミュージック・アーティストであるショーン・マーシャルの登場も、
演技という枠では表現出来ない雰囲気を見せてくれた。
子供の頃に両親が離婚しながら、その後も互いの連れ子と一緒に生活したという複雑な環境で育ったそうで、
16歳くらいでニューヨークにヒッピーとして出て来たとか。
自分の経験に重なる部分があったのかも知れない。
彼女もサントラに2曲ほど提供しているが、
The Greatestという曲がこの映画のカラーにピッタリハマってしまう。
ウォン・カーウァイはあいかわらずスコープの画面の半分くらいを何かで埋めてしまうが、
泣いているエリザベスをジェレミーが抱いてあげるところのフレームなんか面白かった。
ニューヨークの片隅に二人だけが置き去りにされたような構図。
80年代に人気アーティストの音楽ばかりを使ったミュージック・ビデオのような映画が量産されたが、
今もこうして新しいミュージック・ビデオのような映画が作られるのもありでしょう。
ただし単なるミュージック・ビデオではなく、
先に書いたノラ・ジョーンズの気持ちが、ちゃんと映画のテーマを語ってくれていることは大切。
自分ひとりが辛い想いをしているのではないことを知るのだ。
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