ノーカントリー (2007)
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音の映画 & This is America
2008/05/02
by
素子様命
映画館のダラダラ予告の中には
ドルビーシステムの宣伝が含まれていることがあり、
映画館の音響の実力のほどをかいまみることができますが、
この映画はその「映画館の音響」を
フルに生かした映画だなぁと感じました。
このBGMを完全排除したノーミュージック映画は、
それゆえ音楽による「先の出来事の予測」
(ジョーズやオバケが出るシーンって音楽で予測できますよね)
を許さず、
突然沸き起こる大音響にびっくりさせられっぱなしです。
そしてそれが実は「日常」なのだと考えた時
(日常に場面にあわせたBGMなんてないですから)、
この映画の提示してきたアメリカの日常が
そら恐ろしくなる仕掛け。
これだけ音を効果的に使った映画は見たことないなぁと
まずはそこに感心してしまいました。
物語のほうですが、
マフィアの取引金をかすめとった男が
マフィアの雇われ殺し屋に追われるハメになり、
その事件を追う保安官がいて、
という構図になってますが、
テーマはこの事件そのものではない。
事件そのものを描いた映画と思って鑑賞していると、
後半の事件のしまつのつけ方に
追いて行かれることになりそうです。
映画のテーマ部分を担うのは
事件の傍観者的立場になってしまう
トミー・リー・ジョーンズ演ずるところの保安官パートであり、
ここがあるからこそこの映画は、
ただのアクション・サスペンスでないものになっています。
まさしく「No Country for Old Man」(原題)。
私としては新たな殺人鬼映画期待で観に行った映画でしたが、
その期待はいい方向に裏切られました。
彼は殺人鬼などではなく、
おそらくは「死神(=死)」なのでしょう。
救いようのないところまできたアメリカの今を嘆くようでいて、
同時に人間の「生」が
元々持つ不条理さを描きだそうとする試みを、
最後まで大変興味深く注視しました。
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