無法松の一生 (1958) »レビュー

セルフリメイクの成功例

90点 2008/05/10 by 夢寝由来

稲垣浩監督が1943年の自作を15年ぶりにカラー・シネマスープ版でリメイク。
私は43年版も見たが撮影技術や音声録音の向上及びセリフ表現の自由等の総合面から本作の方が遥かによかった。
三船敏郎の松五郎はどこか「七人の侍」の菊千代キャラを引きずっているようにも見えるが乱暴者の秘めた純情を演じている本作はもっと高く評価されても良いと思う。
同年11月同じ三船主演の名作「隠し砦の三悪人」が公開されたために皮肉にも本作の印象がかすんでしまったのかもしれない。
だがヒロイン未亡人に松竹からフリーになった直後の高峰秀子を向え三船と共演させた事は特筆物です。
三船と高峰の共演作は他にあるのかどうか知らないがかつて1947年頃第一回≪東宝ニューフェイス≫の審査員の一人として高峰が三船の審査をしたというし高峰が松竹移籍後の「二十四の瞳」がキネ旬で首位で「七人の侍」が三位だったという因縁がある。
この一見ミスマッチの顔合わせが意外に功を奏しドラマを盛り上げている。
高峰の持つ控えめながら力強いキャラは息子を育てる母親に適役でこれに暴れん坊だが正義感が強い車引きの三船が心打たれるという定石通りのパターンに見事にフィットしている。
これもリメイクを想定すると未亡人役は黒木瞳か水野真紀が出来そうだが松五郎を演じられる役者は想像つかない。強そうな大男俳優は阿部寛、佐藤浩市、豊川悦司が該当するが彼らは皆、知性が出てしまい≪向こう見ずの純情な暴れん坊≫にはなりきれない。やはり三船の代役は無理だ。

 

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