実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 (2007)
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総括
2008/05/08
by
ペンギン
凄い作品である。
このレビューを書くことを、実は何度もためらった。何を書いても上っ面の、的を射ないものになりそうで、いっそ書くのをやめようとも思った。
でも、何かを残したかった。ぼくはこの作品を確かに観たんだという、その思いだけでも。
あさま山荘事件当時、ぼくは高校一年生、もうすぐ二年生になろうという頃だった。
この日は平日だったはずだが、何故かぼくはテレビでこの事件の中継をずっと観ていたという記憶がある。何故家に居たのかは覚えていない。或いは帰宅後のニュース映像で観たのをあたかも同時中継で観ていたと錯覚しているのかもしれない。だとするとぼくにとってこの事件、この映像に与えられたショックがいかに大きかったかと言うことだ。
子供とはいえすでに高校生であるからこの事件を捉えて「連合赤軍は悪い奴らだ」などと短絡的に考えたりはしない。むしろあの時代のティーンエイジャーの風潮として、心は犯人側にあった。悪いのは国家権力、その手先の官憲。そのくらいのことは判る年齢に達していた。
ただどうも、彼らの思想信条と、武器を持って人質を取り立て籠もるという行動とがシンクロしない。この違和感がぼくの中にずっと残ったまま、何も解消されないまま歳を取ってしまった。
もちろんそれは、そこに至るまでの彼らの道程を知らなかったということが非常に大きな原因なのだった。それどころか、恥を晒すようだけど、ぼくは「赤軍派」「連合赤軍」「日本赤軍」がどう違い、またどう繋がっているのか、上下関係なのか入れ子関係なのか、或いは全くの別物なのか、そういうことすらはっきりと知らなかった。ただ何となくひとからげで「知ってるつもり」だったのである。これは「中核派」「革マル派」などについてもそうである。総じて「過激派」と呼んでいた。
レビューを書くのをやめようと思った原因はそこにある。拙い知識でこの出来事を触るのはものすごく愚かな行為に思えた。何より当時から、今なお活動されている心ある運動家の方たちに失礼である。
だが、先にも書いたように何か、観たという痕跡を残したいという思いからこうして書き始めている。
この作品は初めに「事実に基づき、尚かつフィクションを交えたものである」という断りがある。
ここでいうフィクションとはそこに居合わせなかった若松監督の、彼らとその時代、さらには自分自身に対する心情を登場人物に言わせているワンシーンを指しているのだろう。
立て籠もりが切羽詰まったラスト近く、最年少の、作品中一番客観的な立場にいる少年にその役目を与えている。
観ている時はこの感極まった台詞が実はピンと来なかった。この場面で、この立場の彼から発せられる言葉としてなんだか場違いで唐突な台詞に思えたのだ。
しかしこれが監督の、この作品を作る動機となったテーマであり、どこかにこの台詞を挿入し、総てを「総括」するにはあの場面しかなかったのだろう。
彼らの行動のキーワードとして幾度と無く発せられる「総括」という言葉。
とりもなおさず、この作品を撮ることが若松孝二の40年の総括なのだろうか。作中で自身の過去の作品のテーマソングをBGMに使っていることからもこの作品が極めて私的なものであることを物語っている。
若松孝二は一連の出来事に対して、最後の台詞を以て自らの答えを出してはいるが、決して批判めいたことはしていない。なぜなら自らも当事者の一人であることをよく心得ているからである。当時を生きたものは誰も彼らを批判など出来はしない。自問し、自答を絞り出すだけだ。
実はみんなその事から逃げている。今この作品を作り上げた若松孝二という人は本当に勇気のある人なんだと思う。
そしてぼくがこの作品を観て得た答えは、実に陳腐なもので恥ずかしいのだが、「暴力では何も得られない」と言うことの再確認だった。
暴力が作り出すのは恐怖によって生まれる服従と絶望だけであり、団結や、まして希望など決して生まれない。
これがあの日の中継を観てぼくが感じた違和感への答えだった。
マハトマ・ガンジーやダライ・ラマが何故あれほど人望を集めるのか。
もちろん多くの功績はあるが、何よりも「非暴力」を貫き通す「勇気」に他ならない。
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Re: 総括
2008/06/13 by
受験生
> この日は平日だったはずだが、何故かぼくはテレビでこの事件の中継をずっと観ていたという記憶がある。何故家に居たのかは覚えていない。
これ確か、正月休みじゃなかった? -
受験生さんへ
2008/06/13 by
牧坂満
私も大学生の時期であり、飯田橋の喫茶店で実況中継を見ていました。2月19日の事件です。
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Re: 総括
2008/06/14 by
受験生
そうでした。
ちょうど大学受験を控えていて、時間を気にしながら、それでもこの事件が気になって画面に引き込まれていたのを思い出しました。 -
Re: 総括
2008/06/18 by
J
俺、このレビュー好き。
ただそれだけ。
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