つぐない (2007) »レビュー

「つぐない」はなされたのか?

70点 2008/06/10 by odyss

つぐない

難しいテーマの映画だと思う。つぐない、といっても、責任を担える成人の罪ではなく、ローティーンの罪だからだ。

といって、このテーマ一本で映画が作られているわけでもない。特に前半は、両大戦間に生きる英国ブルジョワの風俗小説的な描写が実質的な内容をなしていると見ていい。通奏低音のようなタイプライターのリズミカルな響きが音楽的彩りをも添えている。したがって、前半はそれなりに見ていて面白い。映画的な作られ方をしているからだ。

ただし、それによって作品全体のテーマは曖昧化することになる。この映画は基本的に作家志望の少女視点のはずだが、実際には結ばれなかった恋人同士の描写が多く、テーマを曖昧にしてしまっているからだ。

基本的には出だしと最後によって作家志望の少女が犯した罪とその顛末は一応完結的に語られてはいる。しかしそれは少女の「つぐない」がなされたことを意味するのだろうか? 私がこの映画を見て釈然としないのはそこのところなのである。

いや、結局結ばれなかった恋人同士への「つぐない」は、いかにヒロイン(作家となった妹)が作品を書こうと、なされたことにはならない、と言いたいのではない。或いは逆に、未成年者の「罪」を執拗に追求することはむなしいと言いたいのでもない。人間には、成人であろうと未成年者であろうと意志に反して「罪」を背負ってしまう場合があるのであり、その罪の「つぐない」は、法律的な決着がどうあろうと、人間が不完全で限定された能力をしか持たない以上、つまり神ではない以上、なしとげられるものではないからである。つぐないがなしとげられない、という意識を背負うことがいわば人間の宿命なのだ。

この作品のテーマは、本来そうした切実な認識と結びつくものであるはずだろう。だがそうした切実さが表現された作品になりおおせているとは思われない。テーマが難しすぎたのか。或いは、両大戦間のブルジョワの生活や第二次大戦の悲惨さの描写のなかにテーマは埋もれてしまったのか。そうでなければ、少女が看護婦として死にゆくフランス兵の幻想に付き合う場面に暗示されているように、夢や創作のなかに幸福を求めること、そうした人間に寄り添うことでしか「つぐない」はなされないと、達観した制作者は言いたいのだろうか。

 

1人がこのレビューに共感したと評価しています。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)


掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.

ユーザログイン

Mail
Pass


上映情報

有楽町  日比谷  銀座  渋谷  歌舞伎町  新宿3丁目  新宿  池袋 

他の地域

この映画のファン

  • moviefreak
  • ともも
  • 試写会3
  • 冬眠
  • リュウ、
  • MAROON5
  • けん坊
  • Rabbit32
  • ポンピ堂
  • m子
  • のびた
  • すずらん
  • ちむ
  • moni
  • ピリカ

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画クリップ

動画未投稿です

動画を投稿する

関連DVD

つぐない

  • 定価:3990円(税込)
  • 価格:2912円(税込)
  • OFF:1078円(27%)

 

携帯で見る

qrcode

満足度データ

100点
12人(13%) 
90点
20人(21%) 
80点
17人(18%) 
70点
24人(26%) 
60点
4人(4%) 
50点
6人(6%) 
40点
4人(4%) 
30点
1人(1%) 
20点
1人(1%) 
10点
2人(2%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
91人
満足度平均
75
ファン
17人
観たい人
91人

 

満足度ランキング

満足度 投稿数 観たい ファン 全作品