ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (2007) »レビュー

ダニエル・デイ=ルイスが濃いいっ!!

200点 2008/07/05 by 西の魔女

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

↓↓ 私の拙い感想に、Kさまがわかりやすい考察をレスして下さいました。
映画をご覧になってない方は、観たあとで読まれるとよいかと思います。



オスカーゲットのデイ=ルイス、やはり素晴らしいです。
普段は穏やかで知的な佇まいの英国紳士なのに、
それがまるで別人。しゃべり方も、声も普段と全然違う!!
出演作の間隔が長い彼は、充電たっぷりだからでしょうか、その作品に対するパッションが半端じゃない!
前作「ギャング・オブ・ニューヨーク」は、ちょっとtoo much な印象あったんですが、
今回は、またそれとは全然違ってこれまた強烈です。

でも、ちょ〜〜〜〜っと長い!!
ほぼ、ダニエルを軸に展開するので、途中飽きてしまいました。
一人の男の人生を堪能するには、他のスターを引っ張り出すよりいいのかもしれませんが。
そんな中でも、「リトル・ミス・サンシャイン」のお兄ちゃんこと、ポール・ダノ君が、ダニエルに負けないくらいいい仕事をしています。

ポール・トーマス・アンダーソン監督は、
同年代で応援したい監督の一人ですが、
私、前作の「パンチドランク・ラブ」も今ひとつでした。
私的には、また群像劇を観たい気がします。

LOVE
・石油が噴出するシーン
・この作品、あの巨匠への「捧げもの」だったんですねぇ・・・
PTA監督は「マグノリア」のとき、リスペクト公言してましたよね。エンドロール最後のクレジットに一番感動してしまった。
(最後まで席を立たなかった人は、私を含めてたったの2人)

HATE
・ダニエルの熱演もあいまって、彼の非情さは見ていて辛かった部分も。
・評価の高い音楽については、いささか煽りが過ぎる感があり、私にはちょっとうるさく感じた。
映像と、熱のこもった芝居だけでも見ごたえはあったはず。
ラッセ・ハルストレムは「優れた作品に、わざわざ感情を扇動するような音楽をつける必要はない」とも言っています。
・これまた熱演だった、ポール・ダノですが、
最後の対峙は、もう少し老けたメイクなりを施すことは出来なかったのでしょうか?
息子の年齢を考えれば、彼だけが風貌が変わらないことに違和感アリアリ。ここをクリアすれば、
彼もアカデミー賞にノミネートされて当然だったと思うのに。

 

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  • 吸血鬼のストローは長い

    2008/07/03 by カイタカケン

    こんにちは、西の魔女さま。

    > オスカーゲットのデイ=ルイス、やはり素晴らしいです。
    > 普段は穏やかで知的な佇まいの英国紳士なのに、
    > それがまるで別人。しゃべり方も、声も普段と全然違う!!

    ↑そうそう、声を聞いた時にびっくりしました。

    > そんな中でも、「リトル・ミス・サンシャイン」のお兄ちゃんこと、ポール・ダノ君が、ダニエルに負けないくらいいい仕事をしています。

    ↑イーライ役には当初、別の俳優が予定されていたんですが(Kel O'Neillという俳優さんで、ポール・ダノ君はポール役のみだったそう)
    監督がポール・ダノ君を気に入って急きょ変更になったらしいですね。撮影の一週間ほど前での変更で、ポール君、大変だったと思います。
    ダニエル=ルイスに恐れをなして逃げ出したとの噂も流れたようですが、ダニエル本人は否定している記事を読みました。


    > ・この作品、あの巨匠への「捧げもの」だったんですねぇ・・

    ↑もうココで、泣きそうになりました(涙)
    あの巨匠の遺作の撮影時にも、PTAは同行していたそうです。もしもの時に備えて…後継者として認めておられたんでしょうね。

    > ・これまた熱演だった、ポール・ダノですが、
    > 最後の対峙は、もう少し老けたメイクなりを施すことは出来なかったのでしょうか?
    > 息子の年齢を考えれば、彼だけが風貌が変わらないことに違和感アリアリ。ここをクリアすれば、
    > 彼もアカデミー賞にノミネートされて当然だったと思うのに。

    ↑そうなんです、彼だけが老けないの(笑)
    でも、衣装なんかは随分変っていましたし、ヘアスタイルも変えていましたね。
    イーライはある意味吸血鬼(ヴァンパイア)ですから、永遠の若さを保っていたりして…
    もう一人吸血鬼がいるんですけど(笑)

  • Re: 吸血鬼のストローは長い

    2008/07/03 by 西の魔女

    はじめまして、カイタカケンさん。
    いつも冷静で鋭いレビュー拝見しておりまする。
    私のような、感覚だけのミーハーレビュアーにレス頂くとは、恐縮です!!

    >> オスカーゲットのデイ=ルイス、やはり素晴らしいです。
    >> 普段は穏やかで知的な佇まいの英国紳士なのに、
    >> それがまるで別人。しゃべり方も、声も普段と全然違う!!

    >↑そうそう、声を聞いた時にびっくりしました。

    ですよね〜!最初が台詞なしで、ダニエルの足跡が描かれて、
    ぐいぐい観客を引き込むじゃないですか、言葉を発したらああですもの。私も驚きました。

    >イーライ役には当初、別の俳優が予定されていたんですが(Kel O'Neillという俳優さんで、ポール・ダノ君はポール役のみだったそう)
    >監督がポール・ダノ君を気に入って急きょ変更になったらしいですね。撮影の一週間ほど前での変更で、ポール君、大変だったと思います。

    へぇ〜、そうだったのですか。
    二役ということを知らなかったので、最初ちょっと混乱してしまいました。
    「リトル・ミス・サンシャイン」では、寡黙でしたが(Fワードは強烈でした)今回は打って変わって、よくしゃべる役で・・・
    なんか浮世離れしていて、ピュアと邪悪が同居したような役が彼にぴったりでした。
    実は私は彼に対してかなり同情的です。いかがわしいところもあるけれど、
    コミュニティからは信頼されていたし、そんなに悪い人じゃない(せいぜい小悪党)ような気がするんだけど・・・ダメですか?

    >あの巨匠の遺作の撮影時にも、PTAは同行していたそうです。もしもの時に備えて…後継者として認めておられたんでしょうね。

    ううっ、ええ話や・・・
    絶対また群像劇撮ってもらえそうですね。

    >そうなんです、彼だけが老けないの(笑)
    >でも、衣装なんかは随分変っていましたし、ヘアスタイルも変えていましたね。
    >イーライはある意味吸血鬼(ヴァンパイア)ですから、永遠の若さを保っていたりして…
    >もう一人吸血鬼がいるんですけど(笑)

    ね〜。やっぱり変ですよね。老けないの。
    若い神父役って、ああいう童顔で年齢不詳の配役が多い気が・・・(せいぜい「ショコラ」「アマロ神父」しか浮かんでないけど)
    信仰にのめりこむと年をとらないのかも??

    カイタカケンさんのタイトルの付け方、好きだな〜

  • 聖霊降臨

    2008/07/04 by カイタカケン

    >「リトル・ミス・サンシャイン」では、寡黙でしたが(Fワードは強烈でした)今回は打って変わって、よくしゃべる役で・・・

    ↑確かに『リトル・ミス・サンシャイン』とは正反対の役柄だわ。
    ポール君ってとても目が印象的で…作品に恵まれて着実にキャリアを積んでいって欲しいなぁって思ってます。

    >実は私は彼に対してかなり同情的です。いかがわしいところもあるけれど、
    コミュニティからは信頼されていたし、そんなに悪い人じゃない(せいぜい小悪党)ような気がするんだけど・・・ダメですか?

    ↑イーライもあの時代のあの土地に生まれていなければ違う道もあったでしょうね。
    山羊を飼う他ない痩せた土地にしがみつく様に生きて来た開拓移民の息子で、父親は信仰深いといえば聞こえがいいですが、暗愚で思考停止状態。
    イーライには、野心があり、彼にとって信仰の道は権力や富を得るための手段でもあったんですね。
    終盤、ダニエルに脅されるように信仰に対する“告白”を強要されますが、この時イーライは、自らの信仰の最も重要な部分を否定してしまう、これをダニエルに脅されたから、あるいは自身の目的の為(投資に失敗して経済的に逼迫していた)に仕方なく『演じて』見せたと受け取るか、それともあの告白には真実があると見るかの違いだと思うの。

    西の魔女さんの指摘のように、イーライはコミュニティから信頼されています。
    それを疎ましく思う人物、石油発掘の為に地権者の土地(採掘権)を“鶉の代金だけ、石油の分は支払わない“で安く手に入れたダニエルにとって、リトルボストンという小さな町に君臨するトップは2人必要ないんです。
    富と宗教が仲良く手を結んで共闘すれば、これほど恐ろしい事はないのですが(笑)サンデー油井の除幕式で、ダニエルがイーライを出し抜いて住民の人心を掌握してしまいましたね。
    貧しい人々にとって、信仰よりも今日のパン、聖霊のよる怪しげなお払い(笑)よりも新しい病院、ダニエルは住民達に、職と穀物栽培の為の井戸、学校や病院の建設の夢を与えることが出来た、実現したかどうかは不明ですが…

    イーライの教会、第三の啓示教会というのは、おそらくエヴァンジュリカル(プロテスタントの各会派を横断する福音派)がモデルじゃないかと思います。
    イーライはリトルボストンでの覇権争いに敗れた後『ラジオ伝道師』の道に進みました。
    福音派がテレビ伝道師によって急速に拡張した事実を考えると、アメリカ国民なら直ぐにピンとくる所じゃないかと…
    石油が生む『富』に宗教が群がるという、かな〜り痛烈な皮肉があるのじゃないかしら。

    イーライが精霊による悪霊払いの儀式を行っていた時、彼、顔まで紅潮していたでしょう?
    これがイーライの不思議さなんですね。
    自身の野心の為に信仰を利用しているには違いないと思っているんですが、実際に彼はこういった儀式めいた時にトランス状態にもなれる、まるで自分の発する声に陶酔しているかのようでした。
    この危うい感じ、ポール・ダノは上手く演じて見せましたね。

    西の魔女さんが言われるように、精々小悪党に過ぎないイーライを、上手く手の内で転がして利用出来るほどの器がダニエルにはないんですね。
    本当の悪党なら、利用するはずだもの。
    監督は、ダニエルとイーライの確執を『たちの悪い兄弟喧嘩のようなもの』と発言されていましたね。

  • Re: 聖霊降臨

    2008/07/05 by 西の魔女

    興味深い考察ありがとうございます。
    まさに「カイタカケン節」ですね。

    強要の上の告白、ダニエルの場合も、イーライの場合も、私は根底には「本音」があったような気がします。
    出発点は、純粋だったというところも共通かな。

    >イーライが精霊による悪霊払いの儀式を行っていた時、彼、顔まで紅潮していたでしょう?
    >これがイーライの不思議さなんですね。
    >自身の野心の為に信仰を利用しているには違いないと思っているんですが、実際に彼はこういった儀式めいた時にトランス状態にもなれる、まるで自分の発する声に陶酔しているかのようでした。

    ここは、ポール・ダノ最高の見せ場でしたね。
    実際の霊能者なんか見ても、インチキほど演技派なんじゃないだろうか。
    でも、庶民からお金を取るわけじゃなし、
    このあたり見せ方なのか、彼が信仰を利用して権力を得ようとたくらむさまってとうのが、もっとあからさまでもよかったな(賢くない私には特に。笑)
    微妙なところからどんどん助長していったんでしょうけど。(それはダニエルにも言えること)

    は〜、長い、長いって文句言いつつも、
    あの先もすごく気になるな〜〜
    デイ=ルイスの「没落ぶり(勝手に落ちぶれると想像しますが)」演技もさぞやなことでしょう。

  • 大地を寝取った男

    2008/07/05 by カイタカケン

    >強要の上の告白、ダニエルの場合も、イーライの場合も、私は根底には「本音」があったような気がします。
    出発点は、純粋だったというところも共通かな。

    ↑そうそう、私もそう思いました。
    ダニエルの“告解”とイーライの“告解”には真実が含まれている、特にダニエルは心底痛いところを指摘されています。
    HWを愛しながらも、自分の経験と才覚だけで世渡りしてきた男、自身でも油田に関する機械の設計をしていたように、プラグマティズムの体現者、道具主義、能力主義者でもありますから。
    ボーリングのシークエンスのダニエルなんて、いじめっ子そのものでしたもの。

    >このあたり見せ方なのか、彼が信仰を利用して権力を得ようとたくらむさまってとうのが、もっとあからさまでもよかったな(賢くない私には特に。笑)
    微妙なところからどんどん助長していったんでしょうけど

    ↑サンデー油田(←後にメアリーの名が付けられますが)で事故があった時、
    ダニエルは事故死した男の荷物から、彼がイーライの教会の信者だった事を知ります。
    その後、イーライの教会を訪ねた際に(←イーライは関節炎の老婦人の悪霊払いの真っ最中だった)イーライから油井の事故は防げたと指摘をされているんですね。
    事故にあった男は12時間シフトの過酷な労働条件にあって、その上、稼いだ金を有効に利用する、あるいは将来に備えて貯蓄する知恵も習慣も持っていない下層階級出身だから、安酒場での飲酒に使ってしまう。
    その習慣がより事故を起こしやすい条件を引き起こす。イーライの指摘は真実なんです。
    ダニエルは利益追求の為に、油井で働く者に過酷な労働を強いている自覚がありますから、油田発掘の妨害にならない様、イーライに譲歩し、彼の為に新しい教会を建築してやりました。
    ダニエルは、この教会建築で借りは返した(口封じした)と思っていたんですが、イーライはさらなる要求、油井に自分の名を付けるように求めました。
    ダニエルから見れば、イーライって野郎はどこまで強欲なんだと(笑)でも、ダニエルは、サンデー牧場の土地を手に入れる際に交わした約束(口約束ではあっても)、石油が出れば5000ドル支払うという約束を守っていないんですね。
    どっちもどっちじゃないかと、観客である第3者の私は思ってしまいます(笑)
    多分、ダニエルとイーライって、お互いの姿を眺めて、自分もひどいことをやってはいるが、アイツよりはマシだと思っていると思うの。

    >デイ=ルイスの「没落ぶり(勝手に落ちぶれると想像しますが)」演技もさぞやなことでしょう。

    ↑西の魔女さんの指摘の通り、
    ダニエルには破滅の道しかないでしょうね。
    ダニエルはそれを自覚している、イーライいじめは、両者の確執の子供じみた延長線上のあったもの、アルコール依存症でもあったダニエルが冗談半分のいじめから暴走した結果ですが、ボウリングのピンを打ち下ろす場面、極端なローアングルのカメラが捕らえるダニエルは、はっきりと『覚醒』していたと、この瞬間だけはそうであったと私には思えたんですね。
    彼は自分の中のある部分を自らの手で葬ったんじゃないかと…
    ラストの台詞は“I’m finished”でしたね。

    では、長々とおじゃましました、また何処かで…ありがとうございました。

  • 書き出しに・・・

    2008/07/05 by 西の魔女

    ↑上の内容が、ラストの台詞等入っているので、
    元カキコの冒頭に注意をつけておきました。

    カイタカケンさん、この映画はもう複数回はご覧になっているのかしら?
    次はスターチャンネル待ちだけど、カイタカさんの解説を頭において、心して再見しますね!

  • ごめんなさい(ぺこり)

    2008/07/05 by カイタカケン

    西の魔女さま、お手数かけてしまって、申し訳ありませんでした。

    かなり好きな作品なので、ついつい、やってしまいました。ビール飲んじゃったし…でも、これって言い訳になっちゃいますね(汗
    一度しか見ていないので、自信は無いのですが、書いている部分は記憶がはっきりしている所です。
    本当にごめんなさい、移動にならなければいいのですが…再見されて発見がありましたなら、是非教えてくださいね。では、どうもありがとうございました。

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