ラスト、コーション (2007)
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愛と鞭
2008/02/22
by
くりふ
まず、邦題も中国語タイトルのまま行けばよかったのに! と思いました。名が体を表した、中々よいものだし、漢字だから何となくでも、日本人には伝わると思うので。地味だけど。カタカナよりはよいだろうと思った。意味については、すでにkokolokoさんのスレに解説があるので省きます。
細部まで気配りされた、味わい甲斐のある作品でした。
色と戒についての、自己の中でのパワーバランス、そして、
他者とのパワーゲームを描いたお話だと、まずは思いました。
で、ゲームに勝つため、セックスを利用するわけですが、
ゲームとして終わらなくなっちゃうわけですね。
やっぱりバランスとるのって難しいわけだし。
そのへんの揺らぎや迷宮入りが、味わい深いと思いました。
残念なのは、セックスを通した変化が記号的に見えたこと。
段階を経る過程を、もっと緻密に描写して欲しかった。
試合の名場面ダイジェストみたいで少し、慌しかったですね。
あんなに『色』んな決め技見せんでいいじゃん、と思う一方、
十日間色欲世界一周、みたいな特急旅行をしたようにも見え、
短期間で二人が、かなりのものを重ねたらしいことは、
理解できましたが。腕枷から指輪へ。
ちなみに、原作にセックスの描写はありませんでした。
T・レオン演じるイーの人物像と行動にも説得力ありましたが、
T・ウェイ演じる主人公チアチーがやっぱり、面白かった。
じぶんが希薄なまま、他者を演じることを先に覚えたような女。
だからこそできたのかもしれぬ、あの行為。そして、
演技の先で掴んでしまったものに気付いた時、彼女は…。
『気付き』の描写が、原作とニュアンスが違うと感じて、
ノリ損ねてしまいました。そこは既読で失敗だったかも(笑)。
個人的には、チアチーが同志に、詳細な『業務報告』をする、
奈落に堕ち始め、というような告白がクライマックスでした。
あと、ライティング細かそー、と思ったのですが、
チアチーの瞳が、色んな光を受け、幾種類にも輝きますね。
彼女の表情の前に、瞳に見とれてしまったところが何箇所も。
市街を監視する兵士の視線で始まる本作、
視線で物語がつながってゆく映画でもあると思います。
イー夫人がジョアン・チェンだとは気付きませんでした。
「ツイン・ピークス」のジョシーは何処へ…(古過ぎる思い出)。
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Re: 愛と鞭
2008/02/22 by
カイタカケン
こんにちは、くりふさま。
> 短期間で二人が、かなりのものを重ねたらしいことは、
> 理解できましたが。腕枷から指輪へ。
ほほぅ、なるほど。
やはり『腕枷から指輪』ですか。
参考にさせて頂きますね、感謝。
> 『気付き』の描写が、原作とニュアンスが違うと感じて、
> ノリ損ねてしまいました。そこは既読で失敗だったかも(笑)
↑原作は読んでいないのですが、
『気付き』のタイミングは宝石店(チアチーの指にはめられたピンクダイヤをうっとりと見るイー)でいいのでしょうか?
ニュアンスが違うというのは、興味深いですね。
ラストも違っているようだし…
> 個人的には、チアチーが同志に、詳細な『業務報告』をする、
> 奈落に堕ち始め、というような告白がクライマックスでした
↑私の個人的ツボは、
香港時代の『色』の練習風景です。
練習相手のイケテナイ所とか、練習を重ねる内に、チアチーが一瞬“あれっ?”ていう表情浮べるんですね(笑)
練習相手の熟練度があの程度なら、アッチでいいじゃんと思ったり(←それだとドラマにはならないのですが)
> あと、ライティング細かそー、と思ったのですが、
> チアチーの瞳が、色んな光を受け、幾種類にも輝きますね。
> 彼女の表情の前に、瞳に見とれてしまったところが何箇所も。
↑ホンと、素晴らしかった♪
色が綺麗なんですね、とっても。
> 市街を監視する兵士の視線で始まる本作、
> 視線で物語がつながってゆく映画でもあると思います。
↑正に視線のタイトロープ状態でしたね。
> イー夫人がジョアン・チェンだとは気付きませんでした。
> 「ツイン・ピークス」のジョシーは何処へ…(古過ぎる思い出)。
↑年齢が近いせいもあって、イー夫人、とっても気に入ってます。
彼女の存在感って凄いんですね、彼女と一緒だとチアチーが霞んでしまう。
マージャンシーンにずっと悩んでいて…
アソコはきっと何かあると私のゴーストが囁くのです(笑) -
カイタカケンさん、まいどー
2008/02/23 by
くりふ
>やはり『腕枷から指輪』ですか。
このアイテムによる流れで、二人の関係を考えてみると、
色々な見方ができそうで面白いな、と思ったのですけどね。
タイトル『戒』には指輪も掛けてあるようですが、指輪には、
繋ぎ止めるとか、囲う、といった意味もありますよね。
イーからチアチーへの、愛情表現の変遷、と思える一方、
『お前は俺のもの』的な思いは変えたくないのかな、とか。
原作では、イーの自虐的とも思える本心の吐露があります。
>『気付き』のタイミング
これ書くと、お話のネタバレ領海侵犯しそうなので…(笑)。
原作との違いは、主観的な思いもあるのでしょうが、
原作では、驚くように、その『瞬間』が来てしまうのに対し、
映画では、薄々自覚があった上で、そのピークを迎える、
というふうに感じた。これは文章と映像表現の違いでもあり、
両方味わえた方がお得な気もしますけどね。
原作のラストは、出来事が同じでも描写が違う、という感じ。
原作の方がドライで、また、描かないことによって、
嫌でも想像してしまい尾を引く、というつくりですね。
映画の方がわかり易く、丁寧ではあります。
>香港時代の『色』の練習風景
笑うとこじゃないのに含み笑い、してしまいました、ここ。
でも男としてはイラつきました。ヘタクソ、代われ! て(笑)。
リハがあーだから、本番続けた結果あーなっちゃったのか?
とすると実は、悪いのは奴だ!(オイオイ)
本番初回で面白かったのは、イーが衝動的なのに、妙に、
手際よいところ。彼の過去や人物像が垣間見えました。
>マージャンシーンにずっと悩んでいて…
>アソコはきっと何かあると私のゴーストが囁くのです(笑)
パンフに目を通したら、プロデューサーのビル・コンが、
麻雀シーンの撮影が一番大変だった、と発言してました。
中国の文化と伝統の一部なのでとても大切、とも。
原作には「マージャン卓の上は確かに指輪の展覧会だ」という
一節もありました。様々な情報や感情が集中する場であり、
またそれらが集合・離散を繰り返してゆく場でもあって、
私もポイントとなるシーンだな、と思いましたね。 -
こちらこそ、まいど、おおきに。
2008/02/23 by
カイタカケン
>原作では、驚くように、その『瞬間』が来てしまうのに対し、
映画では、薄々自覚があった上で、そのピークを迎える、
というふうに感じた
>原作のラストは、出来事が同じでも描写が違う、という感じ。
原作の方がドライで、また、描かないことによって、
嫌でも想像してしまい尾を引く、というつくりですね。
映画の方がわかり易く、丁寧ではあります。
↑なるほど、原作はそうなっているんですね。
原作も面白そう、ちょっと読んでみようかしら。
『天涯歌女』の場面で一つ山がありましたね。
イーの方はココで決まりかなぁって思っていたんです(←名刺入りの手紙をチアチーに言付けてる)
じゃあ、チアチーの方は?だったんですね。
徐々に変化はありましたし、彼女自身、業務報告の際に心情を吐露していましたから。
唯、宝石店までは完全な確信には至ってなかったんじゃないかって印象を持ってました。
あの指輪はイー夫人の指輪より大きい“ハトの卵”なんです。
でも、その後、イーは通行人を吹っ飛ばして車にダイブしちゃうんですもの(笑)
>タイトル『戒』には指輪も掛けてあるようですが、指輪には、
繋ぎ止めるとか、囲う、といった意味もありますよね。
イーからチアチーへの、愛情表現の変遷、と思える一方、
『お前は俺のもの』的な思いは変えたくないのかな、とか。
↑指輪は支配や契約、誓いのシンボルでもあるので…唯、この考えはどちらかというと西洋的なものなのでどうなんだろう?と思っていたんですが、
一回目の『色』で、縛っちゃいましたから(笑)
逃げ出さないようにって事だと思えるんだけど(←用意が出来たら解いていた)
確かに、手際良かったですね、イーの専属運転手もそうだし、場数踏んでるぞ、きっと(笑)
あの部屋には埃は積もってましたが、香水の残り香がありましたし…
>原作には「マージャン卓の上は確かに指輪の展覧会だ」という
一節もありました
↑香港時代、台風の日のマージャンシーン、
マージャンのルールが分らなくて友人に教えてもらってようやく理解出来ました。
チアチーに有利な様に、イーは牌を捨てているのだそう…イー夫人の表情は見ものでしたね。
上海時代のマージャンシーンは、おっしゃるように『指輪の展覧会』でしょうね。
気になるのは3カラット夫人(←煙草を吸っていた女性)
この場面、香港時代のマージャンシーンより、ある意味恐ろしいの(笑)
3カラット夫人の指輪を買ってやったのは、さて一体誰だったんでしょう?なんて妄想してしまいます。
女達の間で交差する視線は意味深でしたね、そこにイーが会話に加わって…女達のたわいのないお喋りにも、背後には複雑な“歴史”がありそうですね。
汪兆銘政権(日本)、蒋介石の国民政府(イギリス、アメリカ)、共産党(ソ連)の『パワーゲーム』の行方を踏まえた上で、マージャンシーンの寓意を考えるとどうなるか…すっかり、妄想モードです(笑)
では、また何処かで…ありがとうございました。 -
イーのキモチ
2008/02/24 by
くりふ
私が『拘束』的な発想をしたのは、原作の影響ですね。
イーが、胸のうちをはっきり明かしてるんですよ。
車ダイブも含め、イーの心情は原作の方が明解ですね。
また、ざっくり二元化しちゃうと、
原作は『戒』度が強く、映画は『色』度が強い、
と言えるかもしれません。映画の方がウエットですね。
『腕枷から指輪』はまあ、私の主観なので(笑)。ただ、
中国語でも誓い、の意味で、指輪を戒指、と言うそうですね。
また、本作のスタッフは国際色豊かで、そもそも、
監督は台湾出身でも、若くから渡米した人ですよね。
西洋的な考えはそれなりに、入っているように思います。
舞台の一つである上海も、西洋文化とごった煮な場ですよね。
実は中身が中華、外側フレンチ、というファッションで、
チアチーが英語で注文する、カフェのシーンが面白かった。
これホントに中国映画か? なんて一瞬、思いましたね。
(アメリカ映画でもあるわけですが)
ではでは、またどこかのスレでお会いしませう。
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