クローバーフィールド/HAKAISHA (2008) »レビュー

『GODZILLA』より良い怪獣(物)映画。

80点 2008/04/13 by dante

クローバーフィールド/HAKAISHA

『エイリアス』『LOST』の製作総指揮、『M:i:V』の監督であるハリウッドの仕掛け人J.J.エイブラムスがプロデュースしたパニックモンスタームービー。
監督は彼の少年時代からの親友マット・リーブス。

『トランスフォーマー』の公開時の予告(タイトルなし)で初出、ネット上での口コミ(バイラル)により公開前から話題騒然となっていた今作。“何か”がNYに突如現れ破壊の限りを尽くすという事自体は一切が謎だった。もちろんその“何か”がどんな姿かも。まるでハリウッド版の『GODZILLA』の公開前のような既視感を覚えた。しかしそれはあくまで既視感に過ぎず、予告の中で自由の女神の頭部がこちらに向かってくるシーンの衝撃は『GOZILA』を超えている。ジョン・カーペンター作品の『ニューヨーク1997』においても自由の女神像の頭部がもげるのはあくまでポスターの中でだけだったというのに。

映画を観ても結局あの怪物の正体を知る術はない。モヤモヤした感じが残る気もするが、個人的にはこうしたマクガフィン手法の作品は嫌いではない(そう言えばエイブラムス監督の『M:i:V』に登場したラビットフットの正体も語られずじまいだった)。
だが、事件の全貌を知る事ができないのも当然と言えば当然。今作は謎の怪物に襲われパニックに陥る中逃げまどう姿を、あくまで一市民の視点で描き出したものだから。言うなれば『ブレアウィッチ〜』なノリで物語は進んでいくので、微視的な映像になっている。怪物の姿もなかなか拝めないし、『見えた!』と思ったら本当に一瞬。そこがある意味リアリティ(実際こんな怪物がいたら困るが)とも言えるが。

監督が公然と語っているように、本作のアイデアモチーフは『M:i:3』で来日した時に子供と訪れたおもちゃ屋との事。つまりは“あの”原子怪獣が根底にあるということ。日本のサブタイトルには『HAKAISHA』と名前がつけられているが、これはよくある勝手な邦題ではなく、エイブラムスが自ら考案したもので彼の日本に対する真摯な気持ちが感じられる。一切音楽がない今作のエンドロールで流れる音楽なんかは伊福部 昭に対するオマージュだ。
だが、“何か”=“HAKAISHA”の姿はゴジラとは似ても似つかない。劇中でその姿が見えた時は意外に華奢な体つきに驚きつつも、個人的に身体は『ロード・オブ・ザ・リング』のシェロブ、顔はトロルを細くしたような感じに思えた。だが、後々考えてみたら『スターシップトゥルーパーズ』に出てくる“巨大バグ”、『グエムル−漢江の怪物−』つまり『パトレイバー』の“廃棄物13号”の方が似ているかも。
予告編でも示唆されていたように、“HAKAISHA”の身体からは小型の怪物も産み落とされる。大きな怪物が入れないような狭い場所に逃げても安心できないわけだが、それなんかは動きが機敏になった“デストロイヤー”の幼虫みたいだった。

キャストはなるべくメジャーではない若者ばかりが起用されていて、本当に一般市民に近い立場で展開するので『どうせこいつは助かる』という気持ちは一切なしで、常時ハラハラしながら楽しめる。リメイク版『宇宙戦争』の時みたいに一市民のはずのトム・クルーズにだけビームが当たらないなんて不自然な事は有り得ない、ということ。とはいえ、『テキサス・チェーンソー』『ミーン・ガールズ』『トランスフォーマー』の出演者もちらほら。一般市民に見えつつも、演技力が全くないわけではない俳優達。まさに丁度いい具合となっていた。

早くも続編の動きもある模様。
と言ってもあの怪物と破壊し尽くされた街のその後を描くわけではなく、また別の視点からの“クローバーフィールド”事件が描かれるとの事。『バンテージ・ポイント』みたいなそのやり方だといくらでも続編が作れそうな感じがする。第一作目だからこそ、その衝撃度である程度の興収を稼げただけに続編はよほど気を入れないと飽きられそうな気もする。
むしろ次作ではマクロ的な視点でしつこいくらいに怪物の姿を見せるのもいいし、本家よろしくハリネズミ型の怪獣がNYに現れて“HAKAISHA”と対決というのも良いかも。いやいっその事、当初の噂にあった『キングギドラ』のハリウッド版を作ってほしい。

手ぶれ映像に耐性がない人は鑑賞中・後かなり辛い事となるのでそのへんは注意。それと見終わってスッキリする気持ちを求める人も注意が必要かも。
総合的に見たら革新的な映画と言えるし、自分としては非常に楽しめた。しょっちゅうだとすぐマンネリ化するがたまにならこういう系統の作品は大歓迎。

 

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