王妃の紋章 (2006) »レビュー

母ちゃん部屋覗くなよ〜

50点 2008/04/15 by アキラ

王妃の紋章

基本的には『紅夢』みたいなドロドロ路線なんだけど、ワイヤーアクションあり派手な合戦ありと相変わらず欲張りまくった内容。経済自由化と香港返還以後あっさりと商業映画路線に切り替えた第五世代。前世代と比べ実力は低いのに政治的な理由で巨匠に祭り上げられたカイコーやイーモウは確固としたスタンスがなく元々娯楽嗜好が強いので『HERO』以降のCG使いまくりなアクションへの移行は当然の成り行き。軽く香港映画を見る感覚で楽しめます。ただ同じレベルの物を撮れる監督は香港にも大陸にもいくらでもいるって程度。かつて何でもありな香港市場で凶暴な輝きを放っていたツイハークみたいに没個性の大量娯楽さえも凌駕するエネルギーはありません。香港と同じ土俵に上がる事で現れる大陸の巨匠とされた作家たちの馬脚。

表面的には実に壮観な映画でした。話としても多重に仕掛けられた近親相姦とかクーデターと菊の刺繍とか、なかなかトリッキーに作り込まれていて飽きさせません。話の大筋は王である父の策略でトリカブトを呑まされ続けた王妃による瀬戸際の抵抗っていう完全に信頼関係が崩壊した家族の何とも血腥い諍い。この王の存在は何とも不気味です。武道に長け力では敵わない上に絶対的な権力者で腹黒い策略家。夫に毒を呑まされ続けている事を知ったところで抗えない。圧倒的な権力で緩やかに嬲り殺しにされる何とも残酷な状況です。この王のように狡猾で残酷な人間は実際の世の中にもいるのでしょう。ただ予想外の事態に陥ってからの彼の言動は不自然な程に無慈悲過ぎます。力技で誤摩化していたが冷静に考えれば彼自身の利害にすら反する虐殺。

 

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