コントロール (2007)
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ストロボのように瞬いた生
2008/05/21
by
cheaphemp
アントン・コービンの写真や、PVなどはよく知っていたし、独特の詩を感じさせる作風を好もしくは思っていても、さて、映画となるとどうかな?と正直、斜に構えていた。こうした実在のミュージシャンを描いた作品が、独り善がりだったり、抽象的なイメージ映画に陥りがちであるのは珍しくもない事だ。彼とて勿論、優れたイマジニストには違いない。しかしこの作品は、それだけに溺れることなく、終始リアリストとしての眼がするどく貫かれていたように思う。よって詩心は失われずに、なおかつ極めて簡潔なストーリーテリングがなされている。なるほど、これは事の本質に迫る彼の本職と、まったくの無関係ではなさそうだ。まず、ただありのままの感情を吐き出すだけの音楽と違い、ジョイ・ディヴィジョンの持つ抑制の利いた激しさと、色彩を排除したモノクロームとが、ぴたりと合致する。そして、劇中で仲間がからかい半分にもらした何気ない台詞、「イアンがイアンを打ちのめした」に象徴される、“引き裂かれた自己”に、テーマとして完全にピントが絞られている点。その痛々しいまでの真正直さは、そのままイアン・カーティスの人柄を映す事にもなっているのだ。これはアントン・コービンでなければ撮れなかったし、また被写体も、他の誰でもないイアン・カーティスだからこそ撮れた映画だろう。そして、忘れてならないのが俳優陣。サム・ライリーは難しい役どころを、丁寧に好演していた。クランクインからアップまで、わずか一ヶ月だった事を知り、さらに驚く。この濃密さは、いかに彼らが一瞬の瞬きのなかでテーマに集中していたかを示している。そうそう、音楽の使い方も素晴らしかった!このジャンルとしては久しぶりに完成度の高い映画。
(渋谷シネマライズ)
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