譜めくりの女 (2006) »レビュー

アルカイク・スマイルはめくれない

80点 2008/04/20 by くりふ

譜めくりの女

一見小さく大人しい包みだが、中では小規模なマグマが煮え滾るような作品。とても好きですね、この類い。
演奏家を目指す、主人公メラニーは肉屋の娘。ピアノを爪弾く幼い手元と、巨大な生肉をブツ切る父親の腕が、カットバックされるイントロが静かに強烈。動物を毎日、解体できる冷静さを、少女は引き継いでいたのでしょう。これが後から効いてきますね。

幼いながら、人生を賭けたチャンスを潰された、
…と思い込み、それを抱えたまま成長する女と、
才能には恵まれるが、加齢と共に脆弱さが露になる女が、
ピアノを接点に、ある感情で結ばれてゆくが…。
寡黙で怖ろしい女心に貫かれた、死人は出ない? 恐怖物語。

つくりはとてもクラシックでしたね。安心してみられて、
そこがかえって新鮮。わかり易く『逆転』へ至る展開がいい。
導入部と対比させたエンディングも、キレイに決まりました。

画面の色彩設計も感心したところ。
黒や青を基調に、黄で息継ぎの場を設けてある印象。
そして、メラニーが肉屋の娘なのに、赤を自ら隠すようで、
周囲もそれに呑まれてゆく感じが、なかなかだと思いました。

本作の核は、メラニー役D・フランソワが全編それで通す、
アルカイク・スマイルでしょうね。幼い顔立ちだから、
とても親しみがある筈なのに、笑っても本心が透けてこない。
本作をみ続けざるを得ない、謎めいた微笑み。さらに彼女、
オスを惹きよせる隠れ巨乳(笑)。胸、活躍してましたね。

リアリティに欠けるな、と思うところもあるのですが、
とにかく、総体でのまとまりがとてもよくて、
85分という程よく、静かだが熱い時間、を堪能できました。

 

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